新型コロナウイルスは、いまや誰が感染してもおかしくない状況になっています。
少し咳をしただけでも不安になってしまう人もいるはずです。
しかし、そんな不安や疑いがある人が一斉に受診を希望してしまったら、医療機関は対応だけに追われてしまい、本当に治療を必要とする人への対応が遅れてしまいます。
そんな状況を作らないために、厚生労働省から方針があります。
検査の対応など問題はありますが、現時点で正しいガイドラインを知っておきたいところです。
今回は、厚生労働省の方針に沿って、診察から退院までの流れをご紹介します。
(2020年4月26日時点での厚生労働省の情報を元にまとめた記事になります)
新型コロナウイルスの感染を疑う時の対応
通常なら私たちは、体に何らかの症状や違和感を感じた時に、医療機関に受診をします。
そこには、なんら制限はなく、自己判断によるものとなります。
しかし、新型コロナウイルスのように、感染拡大が考えれる場合には自己判断で医療機関へ受診をすることはできません。
いまは「他者に移さない」ことが最優先だと理解してください。
すぐには診察してもらえない
上記でもご紹介したように、医療機関へ行ってもすぐには診察してもらえません。「行けばなんとかなる」ということはないので、きちんと段階を踏んでください。
まずは、ご自身の症状について把握してください。
- 風邪のような症状がある
- 37.5度以上の発熱がある
次に、どんな人に対して2つの症状が続いているかを把握してください。
1.強いだるさがある
2.高齢者・妊婦の方・基礎疾患がある方(糖尿病など)
3.どちらにも該当しない
1に該当する方は、すぐに相談をして受診してください。
2に該当する方は、2つの症状が2日続いた時点で相談をしてください。
3に該当する方は、2つの症状が4日続いた時点で相談してください。
受診は必要ありません。自宅にて安静に過ごしてください。その後も症状が改善しない場合には、再度相談をしてください。
これまでの症例で、1と2に関しては重症化しやすいということで、対応が早められています。
相談窓口を確認して受診について決める
この時点でもまだ受診はできません。
2つのパターンで相談窓口が用意されているので、いずれかの窓口に電話相談をしてください。
現在、各都道府県には「帰国者・接触者相談センター」という新型コロナウイルスに関する相談窓口が設けられています。
まずは、こちらに電話をして症状や経過を伝えてください。症状などから受診の必要の有無有無が伝えられます。受診が必要となった場合には、「帰国者・接触者外来」のある医療機関を紹介してもらい、受診をしてください。
専門外来で受診をする
新型コロナウイルスの診察や検査ができる医療機関は限られているので、窓口で紹介されていない医療機関へは行かないでください。
また、対応する医療機関側でもプレハブを建てたり、車に乗ったままで診察するなど、感染を拡大させない方法をとっているので、必ず支持に従ってください。
検査の実施
外来を受診して症状や体の状態から、検査の必要の有無が判断されます。
ここで「検査は不要」と判断された方は、自宅療養とされ安静に過ごしてください。
現在、日本では2つの検査が実施されています。
それが、PCR検査と抗体検査です。
PCR検査
PCR検査は、ウイルスの遺伝子を検出する検査です。
検査をするために、喉や鼻から、液や痰などを採取していきます。PCR検査のすごいところは、わずかなウイルスでも検出することが高性能であること。
ただし、検査結果が出るまでに数時間かかるため、一度に対応できる人数に限りができてしまいます。
抗体検査
血液を採取して、過去にウイルスに感染して抗体があるのか、または感染からの経過時間を調べることができます。
検査は簡単で結果も数分で確認することができますが、検査の精度ではPCR検査より下がります。
検査後の対応について
検査によって、ご自身が陽性または陰性なのかという結果が分かります。
ここでも対応がそれぞれに違うので、確認してください。
陽性で入院治療
陽性で症状が重く、呼吸が苦しいなどの場合には、入院をして治療をしていきます。
発熱がある場合には熱が下がるように薬が投与されます。
呼吸が著しく低下している場合には人工呼吸器を使用して、状態を安定させることに努めます。
いずれも対症療法と呼ばれるものです。病気の原因や発症した場所の特定ができておらず、症状を緩和させるために行われる治療をいいます。
新型コロナウイルスでは、治療薬がないので根本的に治療することができません。
陽性で軽症者の対応
また、新型コロナウイルスでは、陽性であっても症状が軽症である場合があります。対応できる医療機関がすでに満床である場合などは、自宅ではなくホテルなどで「宿泊療養」という形になります。
各都道府県単位でも協力を要請しているので、今後もしばらく続くことが考えられます。
陰性の場合
検査の結果が陰性の場合には、自宅療養となり安静にしている必要があります。
しかし、陰性だったとはいえ経過を観察する必要があります。症状が改善されない時には再度受診が必要となります。
医療機関からも今後について指示があるので、その指示に従ってください。
退院に基準について
感染した患者、症状がなくてもウイルスを保有している患者の退院基準があります。
なにより、治療の甲斐があって症状が快方へと向かっていることが大前提です。
1.医師の判断により「症状軽快」となってから24時間後にPCR検査を行います。
2.検査結果にて陰性が確認される
3.その後、さらに24時間後にPCR検査を行います。
4.2回の検査が陰性であることが確認できたら、退院の許可が出ます。
退院の基準については、一度変更があったので、上記の行程であることを見直してください。
まとめ
簡易的にですが、受診から退院までの流れをご紹介しました。
最後に、新型コロナウイルスの症状や経過についても把握しておきましょう。
最初は、風邪によく似た症状が現れます。
・発熱
・咳や喉の痛み
・鼻づまり
さらに、こうした症状はないけれど「匂いがしない・味がない」という報告がされています。
これらの症状は発症から一週間程度続きます。全体の80%を占めるともいわれ、軽症のまま治るとされています。
一週間経っても症状が改善されない方は、肺炎症状が現れます。
・呼吸困難
・咳・痰が出る
約20%の方に現れるとされ、入院治療が必要となります。
10日以上経っても症状が改善しない、増悪している場合には、人工呼吸器を装着して呼吸管理が必要となります。約5%に現れ、その中には致命的となる場合があります。
短期間の間に症状が重症化していくことが分かります。軽症であっても急変することがあります。
これらはあくまでも、厚生労働省の方針であり現状は日々変化しています。
情報に過敏になるのはよくありませんが、正しい情報が把握できるだけの心の余裕が欲しいと考えます。