クリニックを開業しても、やはり医師は忙しいものです。
毎日、外来で患者様を診察するだけなく、診療時間外にも検査や治療を必要とする患者様の対応に追われています。
そんな中でも併用してやらなくてはいけないのが、クリニックの経営に関することです。
クリニック院長は、いわば個人事業主ですから自分で利益を上げていくことを考える必要があります。
そんな忙しいクリニック院長に代わって、経営をサポートできる存在が欲しいと思われるはずです。
今回は、クリニック院長をサポートできる事務長というポジションについて考えてみます。
クリニックに事務長は必要です
結論からいうと、クリニックに事務長は必要です。
可能であれば、開業する時に採用しておくと良いのですが、この時点では必要性についてあまりピンとこないのではないでしょうか?
経営に関する細かな事務仕事は、家族に任せておけば良いと捉えがちですが、事務長の役割というのは、そうした代行業務ではないのです。
事務長の仕事は、経営を支え収益のことから、スタッフの管理など幅広くあります。
少しでも早く、この部分を自分でやるのは大変だと気づき、事務長に任せることがクリニックの繁栄にも繋がっていきます。
開業から経過するごとに悩みは変わる
クリニックを開業する時、または年数が経過した頃とでは、やはり悩みの内容は違ってきます。
こうした院長が抱える悩みからも事務長が必要だなと実感できることがあります。
2-1.開業時は集患の悩み
クリニックを開業する時の最大の悩みは集患です。
新しくて綺麗なクリニックだからといって、患者様が来てくれるとは限りません。
また、一昔前のように「黙っていても患者は来る」なんていう考えでは、絶対に患者様は来院されません。
そこで今、集患のために最も必要とされているのは、インターネットやSNSの活用です。
一般的に欲しい情報を検索するためにインターネットやSNSを活用します。
最近では、「ググる」というより「タグる」と言われるようになり、「ハッシュタグ」を活用した検索方法が主流になりつつあります。
インターネットでクリニックを知ってもらう方法はありますが、そのためにはホームページを作成して戦略的に時間をかけて行います。
安定した集患ができるまでの悩みを一人で抱えるより、事務長と専門家に任せることでスムーズに解決させることができます。
2-2.年目ごろから人事の問題
開業してから2,3年が過ぎると、集患するための悩みを解決してクリニックの経営も少しずつ安定していきます。
しかし、経営が安定してくるこの頃から新しい悩みが発生してきます。それが、人事の悩みです。
特に看護師の離職問題が大きいのではないでしょうか?
どこのクリニックでも看護師を確保するために、雇用に関して報酬や待遇など一番力を入れています。
しかし、それでも離職が高いのは、次がすぐに見つかるから嫌な時はやめればいい、他に良い職場をいつも探しているからです。
スタッフが安定しないクリニックは、患者様から見ても不安要素でありますし、何より今後のクリニック拡大にも大きく影響します。
院長はスタッフの悩みを聞くことはできても改善して対応するまでの時間がありません。
それではやはりスタッフは離れてしまうので、その一歩手前で事務長が食い止めることができたら、スタッフが安定してクリニックの拡大のチャンスが得られます。
2-3.事務長が欲しいと明確になる
これら二つの悩みも、院長が一人で抱えているかと思うと、非常に苦しいことが分かります。
こうした細かい仕事は、今後のクリニック経営には大事なことであり取り組んでいかなくてはいけないことです。
院長自身が真摯に考え、「事務長が欲しい」と明確にわかった時にこそ、採用して見てはいかがでしょうか?
実際に、普通の事務員を雇用するのとは違いますから、信頼できる人に相談したり、人選を手伝ってもらうなど、ここは積極的に院長に頑張って探してほしいところです。
ご自身の右腕となり、気兼ねなく付き合える人を選んでください。
3.提案を実行していきたい
経営に関しては、コンサルタントを入れているという院長もいらっしゃるはずです。
クリニックの経営が安定した収益を上げること、目標に向けて戦略を立てるなど、多くの提案をしてくれます。
ここでは提案と実行について、院長がやり遂げたいことを考えてみます。
3-1.忙しい院長の代わり
コンサルタントから、良い提案があれば誰でも率先して実行したいと考えます。
お金の問題であれば、経営状況によって銀行から融資を受けることも可能です。
しかし、なかなか実行に移せないのは、やはり院長が忙しいということです。
融資や雇用など、やはり片手間に考えられることではありません。じっくり腰を据えて考え答えを出したいです。
そうした時間を確保できる開業医は、ほとんどいないというのが現状です。
夢や目標はあるのに、そのために良い提案もあるのに、実行ができないというのは、院長でなくとも誰もがもどかしいです。
3-2.組織化したい
開業して実績ができると、やはりクリニックを拡大したいと考える医師も少なくはありません。
- 分院の開業
- 介護サービス
- 在宅治療
クリニックを組織化してこうした事業にも乗り出したいところです。
しかし、これらも先述したようにスタッフが安定して確保できていないとできないことでもあります。
新規事業となれば優秀な人材をヘッドハンティングする必要もあります。
クリニックの組織化には、スタッフとの信頼関係がないとできないということを忘れないでください。
組織が大きくなることに、院長一人では限界があります。
3-3.スタッフの教育システム
クリニックの規模に関わらず、大切なことはスタッフに教育の機会を用意することです。
医師や看護師、リハビリスタッフなどは国家資格であり、学会やセミナーなどで最新の治療や仕組みを学ぶ機会があります。
こうした場に行くことを積極的に希望するスタッフがいることは、今後の組織にとっては財産であり、期待ができます。
また、事務スタッフについては、接遇マナーや資格取得など学べるセミナーに参加することで意識も変わってきます。
外部だけでなく、内部でも人材育成のためのシステム作りに務めるなどできることがあります。クリニックとして生き残るためにも、競合との差別化は必要です。
事務長の採用について
院長の実現したいことは、人それぞれ違いますが、上記のようなことをやりたいと思う人は多いはずです。
そんな時に、提案をするコンサルタントの力を借りながら、実質的には事務長が動くことができたら、院長の夢を叶えることができます。
事務長を採用するポイントをまとめてみました。
- 人の話をきちんと聞ける
- 物事をよく理解して提案ができる
- スタッフとの関係を大切にする
- 人を動かすことが得意
- 院長を立てることができる
数字やデータなど、技術的なことも大切ですが、やはり人として信頼できる話せる人を選ぶことがポイントです。
「院長を立てることができる」というのは、おべんちゃらをいうという意味ではなく、あくまでも自分は裏方であること、クリニック・院長・スタッフのために働いているという自覚がある人のことをいいます。
4-1.事務長代行サービス
クリニックにとって必要性が分かっても、正社員として雇用するまでもない場合もあります。
そんな時には、「事務長代行サービス」という事業があります。コンサルタントとは違い、院長から話を聞いて、サポートするべきことを代行して行います。
こうしたサービスを利用してみて、どんな事務長と仕事をしたいかというビジョンを固めることもできます。
院長とクリニックに必要な事務長について考えてみるチャンスとして捉えましょう。
まとめ
クリニックに事務長が必要性についてまとめてみました。
クリニックの代表は医師ですし、現場で患者様をサポートするのはスタッフなので、実際に事務長が患者様から感謝される場面はほとんどありません。
そんな立場でも「クリニックのためになるのなら」と、率先して経営に取り組めるような人が一人いたら、院長やスタッフが笑顔で働いていたら、事務長の努力もクリニックに来院する患者様に伝わるのではないでしょうか。