クリニック経営を成功を決めるシリーズの3回目は、内科、外科以外のクリニックです。
今回はご紹介する診療科は、医師不足、診療報酬点数が低い、忙しいなど様々な特徴を持っています。
現在、勤務医で開業を考えている方には、患者様のためにという理想だけでなく、クリニック経営として現実はどうなのかを考えるきっかけにしてもらえたら幸いです。
近くにあると安心される4つの診療科から成功のポイントを考えてみましょう。
クリニック経営のワンポイント
クリニック経営で基本となるワンポイントをご紹介します。
今回は「事業継承」です。特殊なケースだと思われがちですが、意外と増えています。
事業継承する
親が長く続けてきたクリニックを継いだり、第三者に継いでもらうなど、ケースによって違いますが、全くゼロから開業する場合とは様々な点が違います。
期待が大きい
すでにクリニックが存在しており、地域で知名度もあるので、クリニックが新しくなる、新しい医師が来るというのは、期待以外の何物でもありません。
これは、これまで誠実な診察と治療を心がけてきた医師への、絶対的な信頼があるからです。これを継承するというのは、医師としてはプレッシャーかもしれませんが、そんな中で自分の実力が試せるのは数少ないチャンスです。
集患の必要がない
期待が高いから、新しい医師が来るからと他のクリニックに変わっていく人は、ほとんどいません。これまでの患者様が継続して来院されるので、ご自身にとっては初めての土地でも集患で困ることはありません。
クリニックを開業して軌道に乗るまでは、集患に悩む医師がほとんどです。そんな中で、安定した収入で始められるのはメリットです。
通院したくなるクリニック
クリニック経営で大切なのは、患者様が通院したくなるクリニックにすることです。ご自身の理想を押し付けるだけのクリニックだったら、残念ながら長く続けることは難しいかもしれません。
地域、町医者として通院したくなるクリニックのポイントを3つご紹介します。
緊急時の対応
最近のクリニックのあり方の特徴として「自宅とクリニックを分ける」ことです。これまでは、自宅とクリニックを併設することが多く、夜間や休日にも対応することができました。しかし、現在は「プライベートと分ける」という考え方が主流となり、緊急時に対応が難しくなっています。
もちろん大規模病院へ行けば、救急外来で診察をしてもらえますが、そこまで必要なのか考えてしまう患者様も少なくありません。
こうしたケースで患者様が判断を間違えないように、事前に対応が分かるように指導することも必要です。緊急性の高い疾患の患者様には迷わず救急外来に行くこと、いくつか考えられる症状を例にして都度の判断ができるようにしましょう。
地域連携のつながり
クリニックでは全ての治療や検査ができるわけではなありません。また、他のクリニックに紹介することもあります。
検査の予約、紹介をスムーズに行えるように、普段から診診連携、病診連携による繋がりを作っておきましょう。
医師とスタッフの対応
最も大切なのは院内の雰囲気や、医師やスタッフの対応です。冷たい印象だとすぐに患者様は離れていきます。また、スタッフ同士や医師と信頼関係が築けていない場合、ギスギスした雰囲気もまた、患者様にはお見通しです。自分への対応はもちろんですが、院内の雰囲気が悪いクリニックは行きたいと思いません。
接遇や職場改善は定期的に行い、チーム医療として患者様を支えていけるような環境作りをしていきましょう。
近くあると安心する診療科の成功ポイント
クリニック経営を成功させるためには、医師の経営者としての手腕も大切ですが、何より地域に馴染んで患者様から信用されることが重要です。
これは診療科に関係なく該当します。
身近にあって欲しい診療科の成功ポイントについて紹介します。
小児科
子供は体調を崩しやすく、少しの変化も見逃せないこともあるため、地域で必要とする声は多くあります。
しかし、近年では診療報酬点数が低いためクリニックを開業しても収入が見込めないため、小児科医の開業が減っています。
そんな中で、小児科のクリニック経営を成功させるポイントは、子供連れて行きやすい環境作りと予防接種の対応です。
子供同士の感染を恐れて受診が遅れるケースも少なくありません。感染対策の取れた待合室、おもちゃや子供が触れるものの衛生管理など、もしくは予約システムを導入するなどして、受診しやすい環境を作りましょう。
そして、予防接種を行い成長に合わせての定期検診や気になる症状を見つけた時には、外来受診を勧めるように、ご両親との信頼構築に努めましょう。
産科・婦人科
お産は決して安全なものではなく、妊婦が命がけで産むのを医師やスタッフがサポートすることが当たり前ですが、いつの時代からか無事の出産ができないのは医師のせいだと、法的に訴えられるようになりました。そのため、産科・婦人科の医師を目指す人すら減少してしまいました。
出産ができるクリニックを探す妊婦が多くなり、開業することで集患には困らない状況です。最近では、ホテルのような病室とサービスを提供するクリニックも多くあります。
こうした取り組みは妊婦や家族からも喜ばれるので、取り入れてください。
また、一人で開業するのではなく、複数の常勤医師と開業することが望ましいです。24時間待ったなしの産科でのリスクを減らしていきましょう。常勤医師が望ましい理由は、万が一訴えられた時に医療体制に問題がなかったことが証明できるからです。
耳鼻咽喉科
花粉症の時期だけが忙しいように思われがちですが、一年を通して耳鼻咽喉科は忙しいです。そこで問題になってくるのが「待ち時間」です。朝一で受付をしても診察までに1、2時間かかるというのも、よく聞く話です。
そんな待ち時間を少しでも解消できるように、患者様の不安やストレスを解消できるように、予約システムの導入をしてください。予約管理のシステムはいろいろありますが、か昨日ような機能があるシステムがオススメです。
・スマホでも予約が取れる
・自分より前に何人待っているのか分かる
・診察が近くなったら知らせる
ただ予約を取るだけでは「きちんと取れているのか」と、不安になる人もいるので、予約確認ができる機能もオススメです。
これだけ電話での問い合わせを減らすこともできるので、スタッフの業務も速やかに勧められます。
めまいや中耳炎、アレルギーなどで受診される患者様も多いので、検査も多くなります。そんな患者様の負担を減らすためにも、院内の導線にも注意したいところです。
精神科・心療内科
日本人のうつ病発症率、自殺率は先進国の中でも多く、非常に問題視されています。そのため、精神科・心療内科への受診は年々増加傾向にあります。
辛く、自ら受診をするのに、診察予約が取れないのが現状です。初診を1ヶ月以上待つ患者様も珍しくはありません。
集患のは問題がありませんが、精神科・心療内科で成功するポイント環境作りと、地域との連携です。
精神科・心療内科に受診していることを知られたくない患者様もいますし、何より通院している人を偏見な目で見る人も少なくありません。こうした背景を考慮してビルの中など、人に紛れて通院できる場所を選んでください。
院内は、個室やプライバシーを守れる空間にして、他の患者様と顔を合わせない導線作りも必要です。
診察で本人と話すのは医師だけですが、情報を共有して医師や心理士、薬剤師といったスタッフと一緒にサポートしていく体制が必要です。
必要であれば、行政とも連携してください。
また、ネットの情報で受診を希望する患者様が多いのも特徴です。ホームページ、医師会などネットで正しい情報を広告していくことも集患に繋がります。
数が少ないからこそ見られている
今回ご紹介したクリニックは、内科のクリニックと比べたら、圧倒的に数が少ないです。ライバルが少ないと、おのずと患者様は来院されクリニック経営は問題がないように思われますが、それは間違いです。
近いから、周りにクリニックからないからという理由だけでは来院は増えません。患者様は必要とあれば、遠くのクリニックに通院します。医師が怖いと思えば、優しい医師を探します。
開業して待っていればいいという解釈は通用しませんので、患者様に見られていることを忘れずに、日々診察をしてください。
まとめ
いかがでしたか?
クリニックの数が少ない診療科の成功ポイントについてご紹介しました。
それぞれに抱える問題があり、改善しようと対策を考えています。
クリニック経営を左右することであれば、早急に対応してください。
現状維持ではなく、常に変化していくことを考えてクリニック経営を成功させていきましょう。