新型コロナウイルスの感染が拡大する一方で、診療報酬の内容も少しずつ変わり始めています。
例えば、これまで来院をしなければ診察して薬をもらうことができませんでした。これは、クリニックの利益のためというよりは、保険診療でクリニックを開業している以上は絶対に守らなけらばいけないことでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大するほどに、患者様は感染を恐れて来院しなくなりました。持病が悪化したり、治療が必要な症状があっても我慢してしまうことが問題視されました。
そのため、診療報酬の改正が行われこれまでとは違った形で、診察ができるようになりました。それが電話診察です。
電話診察だけでなく、検査結果、予約などに対応できます。
これによってクリニックで問題視されているのが「電話対応の増加」です。
電話対応が増えることで日々の業務に影響が出ているクリニックもあります。そして、クレームが増えている傾向にもあります。
そこで今回は、増加する電話対応を3つのポイントに分けていきます。そこからクリニックとしてどういう対応をしたらいいのかをご紹介いたします。
電話対応が増えることで影響すること
クリニックに来院すると、新型コロナウイルスに感染するという不安から、来院することが怖いと感じる人が増えました。
感染が広がり始めた当初は、正しい対応方法が分からず、クリニック側もどうしたら良いのか手探りな状態だったはずです。今では、国が推奨する方法で感染予防対策がされているので、来院される患者様が戻りつつあります。
しかし、一部では感染を恐れていたり、感染したり濃厚接触者となり来院が困難な患者様がいらっしゃるので、電話での診察を行なっています。これによって、これまで来院が絶対だった診療報酬が大きく変わりました。
これに伴い、電話が鳴る回数は必然的に増えています。基本的には問い合わせが増加している傾向にあります。
・診察に関すること
・各種予約について
・コロナに関する検査、ワクチンに関すること
こうした問い合わせは減ることはありません。状況が変わるたびに必ず問い合わせがあります。
日常の業務に影響が出る
電話での問い合わせが増えることで、真っ先に影響が出るのは日常業務です。
電話を鳴ったまま放置しておくことはできません。待合室の患者様にも迷惑をかけてしまいます。
電話に出ることで、業務の手は止まってしまいます。内容によっては医師や看護師への確認が必要な場合があるので、時間を取られてしまいます。
問い合わせ内容が簡潔なものでも、繰り返し作業の手が止まることは地味にストレスです。
スタッフに影響が出る
日常の業務に影響が出ることで、仕事の進捗が遅くなるのでストレスが溜まります。
ストレスが溜まることで、心に余裕がないので仕事のミスも出やすくなります。
ストレスが溜まり、心に余裕がないことで患者様への対応、スタッフへの気遣いなど、対人間関係にも大きく影響が出るので、最後には自分を責めるようになり休職、退職となりかねません。
「そんな大げさな・・・」と思われるかもしれませんが、電話対応は顔が見えない分言葉がキツく聞こえたり、誤った理解をされやすいのでクレームの原因になりやすいです。対応に間違いがなくても、後にも響きやすいです。
こうした面での配慮が必要になるので、問題があれば早めに改善する方がいいです。
電話対応で辛い思いをしない方法
では、実際に電話対応でスタッフが辛い思いをしない方法をご紹介します。これはスタッフを守るためでもありますが、経営者とクリニックを守る方法でもあります。
問い合わせ内容を分類する
最初にすることは、どんな問い合わせがあるのか。そして、内容を分類していきます。
ここまでに様々な問い合わせがあることをご紹介しました。ここでご紹介した内容は、一般的に多いとされることであって、必ずしもあなたのクリニックに当てはまるとは限りません。
例えば、新型コロナウイルスのワクチン接種の問い合わせは、内科を標榜する内科もしくは、行政より指定されたクリニックのみになります。皮膚科や整形外科にほとんどありません。
他には、感染を疑う人の診察については、内科、小児科に集中します。インフルエンザのように耳鼻咽喉科に問い合わせる方もいらっしゃるかもしれません。
このような違いを踏まえて、ご自身のクリニックで多い電話対応の内容を把握してください。
把握ができたら、3つのカテゴリを意識して問い合わせ内容を分類してください。
3つの分類とは
実際には3つの分類に分けることができます。
・新型コロナウイルスに関する問い合わせ
・緊急性が高い症状に関する問い合わせ
・予約方法など手順が知りたい問い合わせ
現在の電話対応の内容は、この3つに分けることができます。
普段から問い合わせを聞いていると、全く違うようにも感じますが、こうして分類してみると、内容がよく似ていることに気づかされます。
3つの分類ごとに迅速に対応する方法
分類ごとに対応が違います。
それぞれご紹介します。
まずは、前提として電話対応のサービスを利用することをオススメします。自動音声での対応、SNSとの連携など様々なサービスが用意されており、電話対応のストレスを減らしてくれます。
新型コロナウイルスに関する問い合わせ
患者様が疑問に思うところは共通しています。
・熱がある時の受診手順
・ワクチン接種はできるのか
・自分はコロナなのか
これは一例ですが、同じような質問が繰り返されます。
問い合わせた本人は一度きりでも、スタッフは繰り返し同じことをお伝えすることになります。
こうしたケースには、自動音声サービスにて事前にメッセージを用意して、加えてご自身のホームページで確認してほしいことを、スタッフに変わって伝えてもらうのです。
自動音声での対応なら、電話を受ける必要がないのでスタッフの手を止めることもありません。
緊急性が高い症状に関する問い合わせ
こちらは、電話をつないでほしいケースです。自動音声は「Yes No」で判断できるケース以外は、判断を誤りやすいです。
内容も緊急性が高いので、やりとり一つ間違えることで、大きなクレームへと発展しやすいので、これはクリニックの電話につないでくれるように設定して対応しましょう。
予約方法など手順が知りたい問い合わせ
こちらに関しては、予約管理システムやSNSで対応できるようなシステムを利用することで、問い合わせ件数を減らすことができます。
日頃から、患者様に認知してもらえるように院内、ホームページにてお知らせをして手順を紹介してください。
ワクチン接種の予約の場合は、ワクチンの在庫数と入荷をよく把握しておくことが大事です。
診察の予約については、電話で構わないというクリニックも状況が変わってくるときは一度検討したいところです。
まとめ
電話対応を少しでも楽にできる、ストレスを溜めない方法をご紹介しました。
一部自動音声で対応することで、電話の鳴る音を聞かなくてすむのでスタッフも電話を受けるストレスを軽減できるのではないでしょうか?
ただし、判断が難しい症状や治療を必要とするケースは機械任せにはできません。適切な対応を心がけて、医師の指示に従って進めていきましょう。
電話対応は、ストレスを溜めやすく、トラブルの原因となりやすいです。
院内での統一した認識ができているのか?電話対応でのマナーはできているのか?初歩的な部分ではありますが、改めてスタッフの力量を確認しても良いのではないでしょうか。
ご自身の目でご確認ください。