クリニック経営を成功させるポイントはいくつかあります。
土地選び、人材、医療機器など一つの選択が成功へと導いていきます。
しかし、クリニック経営をいっても開業する際の診療科はそれぞれです。内科、外科、皮膚科、精神科など標榜される診療科名は90以上もあります。それらすべてが同じ成功ポイントでクリニック経営が成功するとは限りません。
それぞれの診療科に合わせた成功ポイントがあります。
今回は「内科・外科系・その他」の3回に分けて、それぞれの診療科の成功ポイントをご紹介します。
クリニック経営のワンポイント
最初は、クリニック経営において重要なワンポイントです。
開業してコンサルタントや税理士と経営の戦略をしていく上で大切なことなので、理解して自分の考えを明確にしておくことが大切です。
ターゲットを決める
ここでいうターゲットは、患者様のことをいいます。診療科にもよりますが、幅広い年代層の患者様が診察のために来院されます。しかし、実際にはご自身のクリニックを一番必要としている患者様、もしくは提供する医療を必要とする患者様は誰なのかを明確にしておく必要があります。
ターゲットの決め方は様々ですが、必要とする患者様の人物像を作り上げていくのが一番簡単な方法です。
・性別
・年齢
・結婚の有無
・どこに暮らしている
・どんな病気、症状を抱えている
このように、ご自身の提供する医療、治療を必要としている患者様をイメージしてください。理想が高すぎて「こんな人いる?」となるより「こういう人は、ここいるね」という感じで、共感してもらえるような人物像をイメージしていきましょう。
実際にターゲットが決まれば、以下のことも簡単に決めていくことができます。
土地が決まる
クリニック経営に大事な土地が決まります。
忙しいビジネスマンがターゲットなら、都心部のオフィス街、もしくは駅近の土地が候補となります。
また、子供や主婦、高齢者がターゲットなら、郊外の住宅地、もしくはショッピングモール内が候補となります。
医療機器が決まる
大規模な病院とは違い、クリニックではできる治療とできない治療があります。施設基準によるものですが、ご自身の専門内でも同じです。診察以外に検診を行うのであればレントゲン撮影は必要ですが、糖尿病や高血圧など生活習慣病に対する治療をメインにするのなら、レントゲン撮影は必要ありません。
ターゲットが決まることで、必要となる医療機器も決まります。
内科の成功ポイント
内科としてクリニック経営が成功するポイントをご紹介します。
内科の特徴
内科はクリニック開業の中でも人気で、多くの内科医が開業をしています。地域の中で内科のクリニックは、最も多く点在しています。
ライバルが多いと取られるよりは、一度来院してもらえるきっかけが掴みやすいとも考えられます。
他のどの診療科より、病気となり診察に来る回数が多いのが内科です。新しく開業こと、どんな治療ができるのかを分かりやすく広告することで、興味を持ったもらえますし、信頼関係が続けたら長く通院してもらえますし、家族や知人にも紹介してもらうことができるのも内科ならではの特徴です。
幅広く診察できる
内科というのは、一般的に総合した表現です。実際には専門性があり、同じ内科医同士でもできることが違うのが当然です。
しかし、標榜を専門の診療科だけでは、クリニック経営の観点から見ると実にもったいないといえます。
内科・専門の診療科と、二つを標榜することで、風邪や胃の痛み、だるさ、発熱などの症状を幅広く診察することができ、クリニック経営を収入を上げることができます。
通院のきっかけになる
最初の通院から重症な症状で来院される患者様は、ほとんどいらっしゃいません。
・熱が出た、だるい
・お腹が痛い
・検診で要検査だった
来院されるきっかけは、こんなところではないでしょうか?こうしたきっかけが始まりであり、治療のために通院が始まります。また、検査をしたところさらに治療が必要となる結果がでることもあります。
一人の患者様と深く、長く関わるのも内科の特徴であり、収入を安定さえてくれます。
専門別に見た成功ポイント
さらに、内科の専門別に見る成功ポイントをご紹介します。クリニックとして一番多い内科ですが、人気で集患しやすい診療科もあれば、いまいち認知度の低い診療科と様々です。
消化器内科
内科のみならず、標榜できる診療科の中でも開業が多いのが消化器内科です。
消化器内科で成功を分けるポイントは胃、大腸の内視鏡検査です。これまで胃の内視鏡のみというクリニックも多いかと思いますが、これからはどちらもできることが成功を分けます。
初診で来院される理由は、胃、大腸は不調、検診の再検査などがほとんどです。その際に、検査を勧めます。内視鏡検査は胃と大腸を同日に行うことができます。一度に終わることで患者様には負担が少ないこと、まとめて予約が取れるから多くの患者様を検査することができます。
また、検査中にポリープが見つかれば「内視鏡の切除術」として診療報酬点数も高い点数を算定することができます。
消化器内科のほとんどで内視鏡検査を行なっていますが、ライバルとの差別化をするために実施して欲しいのは「検査の実績、患者様の声」を見える化することです。
月、年単位での検査数は、多いほどに医師の腕の良さをアピールできます。患者様の声は、痛いとか辛いという患者様の不安を解消させ、検査を受ける方を増やすことができます。
人気の診療科なので、さまざまな工夫をしてライバルと差をつけていきましょう。
呼吸器内科
呼吸器内科は、クリニックとしてはまだ少ないです。喘息、息切れなど患者数は圧倒的に多いのに対してクリニックが不足しているような状態ですから、呼吸器内科として開業するのは、今がチャンスとも言えます。
通常の内科には、呼吸に関する検査がほとんどできません。
・総合呼吸抵抗測定装置
・スパイロメーター
・呼気NO濃度測定器
喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など一人一人に合った治療、薬を提供するために欠かせないものです。多くの患者様が大規模病院まで通院する理由は、クリニックではこうした医療機器がないことも理由の一つです。
実際、重症な方や緊急性の高い方は、大規模病院での対応が必要となるので、日頃から病診連携の繋がりが重要になります。
成功のポイントは、一般的な内科との違いをアピールすること、呼吸器内科のクリニックとして、できることできないことを明確にして対応していくことになります。
循環器内科
クリニックの数が少ないこと以上に、循環器内科は「どこを診察してくれるの?」と思われるほど、認知度が低いです。一般的には、循環器内科=心臓疾患と認識できる人はほとんどいません。
循環器内科として開業するには、まず「覚えてもらうこと、理解してもらうこと」を考えてください。
例えば、クリニック名の工夫をして「心臓の病気を診てくれるクリニック」と覚えてもらいましょう。
そして、心臓疾患の多くがカテーテル治療を必要とします。クリニックで心臓疾患のカテーテル治療は、リスクが高すぎます。しかし、最近では下肢閉塞性動脈硬化症の治療をクリニックで実施するところが増えています。
どのような治療なのか、どんな症状なのか、分かりやすいように伝えてください。
循環器内科は、これから予防医療の観点から見ても必要な診療科です。いち早く予防医療を取り入れて、集患に力を入れることも長い目で見た成功のポイントとなります。
内分泌内科
糖尿病や腎臓、ホルモンのバランスなどをメインとする内分泌内科は、診療科の知名度としては低いです。しかし、生活習慣病として誰もが知る「糖尿病」を前面にしてクリニック経営することが成功に繋がります。
内分泌内科は、糖尿病や生活習慣病をメインとする診察、治療なら、医療機器はほとんど必要ありません。
医療機器が必要ない分、力を入れて欲しいのは人材の確保です。投薬や食事療法を続け採血をして、改善していくようにフォローをしていくます。これを一人だけで行うのには限界があるので、管理栄養士、運動療法士など有資格者をスタッフとしてチーム医療で取り組んでください。
管理栄養士による栄養指導は管理料が算定できます。運動療法士は予防医療が注目されるいま、患者様が求めているものの一つです。
他の診療科とは違った診療にはなりますが、予防医療、健康寿命など将来的に成功が望めるクリニックになっていきます。
地域との連携が必要
専門別に成功するポイントをご紹介しましたが、これらを叶えるために必要となるのは、診診連携、病診連携といった地域や大規模病院との繋がりです。
クリニック経営の成功のために、できないことは必ずあります。それをお互いに助け合える環境を整えておきましょう。
まとめ
内科のクリニック経営を成功させるポイントをご紹介しました。
できることにフォーカスして、それを必要とする患者様に提供していくことは、非常にシンプルですが、患者様からすると「内科はどこも同じ」と思われがちです。
強みをどう見せるのか考えて、集患や収入に繋げていきましょう。