クリニックに来院された患者様が最初に顔を合わせるのが、医療事務員です。
第一印象で人の印象は決まるというように、クリニックの最初の印象を決めます。
印象が決まるからといって、顔の容姿だけでスタッフを選んでいたら仕事ができなくて困っている。逆に経験を評価して採用したのに、愛想がなくて困っている。
では、どんなところに気をつけて採用をしたらうまくいくのでしょうか？
今回は失敗しない医療事務員の選び方のポイントをご紹介します。
医療事務の仕事
外から見ると、医療事務という仕事は非常に簡単なものだと勘違いされます。また、同じ医療業界で働く人の中にも「笑っていたらいい」と思っている人もいます。
実際、大規模な病院の場合は、細かく業務が分かれているので専任のスタッフがいます。しかし、クリニックではそれら全てを限られた医療事務員が行うことになります。
窓口業務
診察券と保険証の受け取り、確認、会計業務をします。
初診の患者様には症状の確認、問診票のお願いも窓口業務となります。
クリニックではこれに加えて、待合室で待つ患者様の対応、電話、場合によっては診察室への誘導も含まれます。
レセプト業務
診察、治療に対して会計業務をします。こちらは窓口で患者様の負担分を計算します。それに対してレセプト業務は、国への請求分を提出する作業をレセプト業務といいます。
診療報酬点数にあるルールによって、決められた点数を算定することができ、患者様と国からそれぞれに請求することができます。
診療報酬点数について勉強をして、ルールを知っていなければこちらの業務をすることはできません。
採用する時点での経験の有無はクリニックによって違いますが、覚える意志がない人には勤まりません。
失敗しない医療事務員の選び方
意外と仕事が多い医療事務員は、ただやる気があるだけでは勤まりません。窓口に座っているだけでいいと思い応募してくる人もいます。採用後に「イメージと違った」とすぐに辞められては困ります。
面接時に失敗しない人選をしたいところです。実際に、こんな人を選ぶと失敗が少ないポイントをご紹介します。
人に喜ばれる仕事がしたい人
誰かの役に立ちたい、喜ばれる仕事がしたいと考えている人を見つけましょう。こうした思いがある人は、待合室で待つ患者様にも目を配ることができ、辛そうな人がいれば声をかけて対応することができます。
窓口では、患者様の話から困っていること、症状を具体的に聞くことができるので、診察にも役に立ちます。
人の痛みに共感できる人
クリニックに来院される患者様は、痛みや辛さを抱えています。体がうまく動かない人もいます。こうした患者様の痛みに共感できる人、力になれる人を選んでください。
流れ作業用に「痛みがある」と捉えてしまうと、診察時間まで待てるのか、椅子に座っていることができるのかなど必要とするサポートを見落としてしまうことがあります。
中には、自分の仕事以外のことだと関心がない人もいます。
こうしたことが分かる質問が用意できると、痛みに共感できるか判断することができます。
プライベートを持ち込まない
職場に自分のプライベートなことを持ち込む人がいます。
例えば、家族間の問題や愚痴をスタッフに話す人。もしくは上手くいっていないことで職場で八つ当たりをする人。
さらには、辛いことがあり、テンションが上がらないために仕事が進まない人。極端な人だと無断欠席をする人もいます。
こうした人は、面接時から分かります。見抜くポイントとしては話し方です。一つの質問に対して話が長い人、誰かと比較するような話し方、抱えている問題を話し出すなど、特徴が如実に現れます。
こうした人と話しているイメージをしてください。聞いているのが辛くなりませんか？こうした人が一人でもいると、職場が辛いだけでなく患者様にも悪影響を与えます。
秘密が守れる人
守秘義務があるので、来院歴、病気のこと、症状についてなど患者様の話を外で漏らしてはいけません。これができるようで、意外とできない人がいます。
誰とは言っていない、クリニックの話はしていないなど、意識が低いため自分が守秘義務に違反していることに気づいていない人がいます。
話の中で、クリニックのこと、患者様のことは一切話さないと言える人かを見抜く必要があります。
秘密が守れるということは、責任感もあることがいえます。自分の仕事をしっかり理解しているから話さないのですから、業務に対しても一生懸命に働いてくれます。
学ぶことが好きな人
医療事務員は、常に学びが必要になります。
診療報酬点数、医療保険、各種制度などずっと変わらないように思われますが、少しずつ変化があります。
勉強することが苦手、記憶力が悪いと自分で言ってしまう人は、採用をお断りしてもいいです。現状維持がいいという人は、医療事務員に向いていません。
経験値を上げたい人
学ぶことが好きな人に似ていますが、向上心がある人を選びましょう。医療事務は経験年数が長いからといって、役にたつかといえばそうではありません。勉強と同様に現状維持であったり、働く意欲が低い人もいます。
クリニックをもっと良くしていきたい、点数を高くできる方法を考えたり、クリニックが成長できるように考えられる人を採用したいです。
向上心の高い人は、面接時に目がキラキラしています。将来を考えてワクワクしているから目が輝いているのです。
協調性がある
クリニックは、女性ばかりの少人数です。スタッフ同士が仲が悪いとクリニックの経営にも影響します。
話したくないから嫌がらせをする。わざと大きな声で悪口を言う。情報を共有しない。思っている以上に幼稚で卑劣なことをする人がいます。
関わらないように一人でいるようなタイプも、いざという時に見て見ぬふりをすることも考えられます。
誰とでも話ができる、困っていれば協力できるという人も採用してください。こちらは、友人や家族との接し方を質問することで人柄が見えてきますので、面接時に確認してみましょう。
注意してほしいポイント
面接時に注意して欲しいのは「人が良すぎる人」です。この人たちを採用すると、今後はトラブルメーカーとなる可能性があります。
すぐに謝る人
些細なことでも、すぐに謝る人がいます。これは人が怖いから、先に謝ればことが済むと考えている人たちです。
一見、採用してもいいと思われがちですが、トラブルを回避する癖があります。解決する能力が乏しいです。
また、謝る相手が患者様だった場合、クリニックに非がないことまで謝ってしまうことがあります。例えば、苦情だった場合、スタッフが謝ればクリニックが謝ったこととなり、正式な謝罪を求められるケースにもなります。
こうしたトラブルを、自分が作り出していることにも気づいていないこともあるので要注意です。
所作が汚い人
これは物の扱い方が雑な人、動作が雑な人をいいます。クリニックでは誰がどこで見ているか分かりません。
診察券の扱い方、話し方は、そのままクリニックのイメージになります。所作が汚い人が窓口にいたら、患者様の印象は悪くなります。
笑顔に騙されない
こちらは「すぐに謝ってしまう人」と同様に、責任能力が低いです。笑ってごまかしてしまうので、トラブルが起きても隠してしまうケースがあります。
計算を間違えたり、請求方法を間違えても見て見ぬ振りをされたら、クリニックの印象が悪くなりますし、長く請求方法を間違えていたら監査の対象になることもあります。
笑顔は大切ですが、ただ笑っている人と間違えないようにしてください。
まとめ
今回は、医療事務員の選び方についてご紹介しました。
少し前までは人気職種でしたが、最近は「帰りが遅い、大変」ということで、クリニック
で働くことを希望しない医療事務員が増えています。
良いスタッフに恵まれている時、これから整えたいと考えるなら、人選と同様に働き方を考える必要があります。
良いスタッフが見つかるように応援します。
