まだ暖かい日が続いていますが、冬の到来とともに新型コロナウイルスの第三波がやってきました。インフルエンザや風邪と同様に、免疫力の低下するこの時期に感染者が急激に増加しています。
どこのクリニックでも、効果的な感染予防が分からないまま、様々な感染対策を行なっているのではないでしょうか?そして、こういう時に思うのは「他院ではどうしてるのだろう?」ではないでしょうか?実際に良いものであれば、自身のクリニックでも取り入れたいものです。
そこで今回は、他院で実施されているコロナウイルス感染予防対策をまとめてご紹介します。
共通して行なっている対策
コロナウイルスの流行にともない、日常で当たり前になってきた対策があります。もちろんクリニックでも行なっています。
マスク
患者様には、クリニックへの来院時にマスクの着用をお願いしています。スタッフも着用しています。一時は、クリニックでも入手が困難な時がありましたが、最近では普通に流通しているので、マスク着用もお願いしやすくなりました。
体温測定
感染を疑う症状の一つに「37 .5度以上の発熱」があります。クリニック来院日だけでなく、二週間以内の発熱の有無を確認されるクリニックがほとんどです。
産科では、妊婦だけでなく、家族や日常的に接触する人の体温測定をお願いするケースもあります。
スタッフの体温測定としては、朝夕と出勤時の体温測定を行なっています。記録として残し、院内での感染予防対策としています。
院内の換気
3密にも挙げられるように、密閉空間にならないように、空気が流れるように換気を行なっています。体調が悪くて来院される方がほとんどなので、窓を開けたままというわけにはいきません。そこで取り入れられているのが、空気清浄器です。空気を循環させるタイプや、ウイルス対策もできるタイプと種類は多くあります。一つに絞るというよりは場所と用途に合わせて複数のタイプを使用しているケースが多いです。
市販のものから、業務用まで、すでに設置されているエアコンを利用して換気ができないか、設計士に相談される医師もいらっしゃいます。
受付のビニールカーテン
患者様とスタッフ間で感染しないように、受付ではビニールカーテンが設置されています。
アクリル板というよりは、ビニールカーテンの方が圧倒的に多いようです。
聞き取りづらかったり、隙間から声をかけてしまうこともありますが、一度に複数の患者様が立ち並ばないように、一人ずつお声がけするようにスタッフも心がけています。
院内に消毒液を設置
消毒することも徹底されています。
感染は人と人の接触だけでなく、触れた物から感染することがあるため、院内の至る所に消毒液を設置しています。
・出入り口付近
・処置室やリハビリ室の入り口
・お手洗い
・廊下
消毒液も複数の人が触れるものなので、直接触れないようにペダル式の足で踏み込むタイプや、手をかざして自動で出てくるものなど工夫がされています。
診察室での対策
診察室も感染予防に加え、密にならないように対策がされています。
ドア・机・椅子の消毒
基本的には患者様の診察が終わる都度、消毒を行なっているところがほとんどです。
また、診察の間隔が空く時には定期的に消毒をしておくこと、お呼びする前に消毒をするように心がけています。
ドアの開閉はスタッフ
密にならないように診察室のドアも開けておけると良いのですが、守秘義務があるためそれはできません。そこで少しでも患者様が触れる場所を少なくするために、ドアの開閉をスタッフが行うというケースもありました。
開閉を行うのは、診察につく看護師が行なっています。
医師の聴診器と舌圧子
最近では、医師の触診も減っていますが、聴診器や舌圧子にも対策が必要です。
消毒はもちろん、なるべく使い回しがないように複数用意される医師もいらっしゃいます。
使用後も洗浄として消毒をして衛生的に保てるようにされています。
また、医師の中にはマスクも定期的に交換しているケースもありました。マスクも100%感染予防ができるわけではないので、自身のマスクや備品が感染経路とならないように予防されています。
検査時の対策
感染を恐れて検査をしないわけにはいきませんので、こちらでの対策も必要です。
レントゲン撮影や採血、点滴処置などでは、患者様が触れるところの消毒と換気を徹底することで予防対策となりますが、内科の内視鏡検査においては最も注意が必要です。
前処置の回避
検査の前処置では、これまでのやり方を見直して感染が考えられる処置や方法を改善しています。また、待合室とは別に検査される患者様の待機場所での密を避けるように個室を用意するクリニックもあります。
個人防護服着用
感染を予防するために、通常の検査では着用しない防護服、フェイスシールドなどを着用して検査を行なっています。患者様が驚いてしまうこともありますが、十分に説明をしてお互いの不安を解消するためとご理解いただけています。
環境汚染の予防
内視鏡検査では、胃液が逆流して吐き出してしまうことがあります。同様のことが大腸カメラ検査でも起こります。
こうした場合、ウイルスに汚染されることも考えられるので、処理方法や清掃、衛生と環境汚染の予防も必要です。
汚染物の処理方法は、検査時以外でも考えられるので、予め院内でルールを決めて感染しないように徹底しなくてはいけません。
待合室での対策
待合室は、院内で最も密になりやすく感染しやすい場所です。
患者様に「病院へ行くと感染する」と思われるのは、待合室での状況を考えているのではないでしょうか。
診察は予約制
定期的に通院されている患者様を対象に、予約制にしているクリニックがあります。会計時に次回の予約を取ることで、来院数を制限でき密が避けられますし、患者様の滞在時間を短縮することができます。
これからの季節、内科や耳鼻咽喉科では風邪症状の患者様が増加するので、対応のマニュアル作成や、設備、環境を整えておきましょう。
問診票の事前記入
新規患者様には問診票に記入してもらう必要があります。こちらは患者様にご協力をいただき、事前に記入してもらえるシステム作りがされています。
多くのクリニックでは、クリニックのWEBサイトから様式をダウンロードしてもらい、記入をお願いしています。また、感染の疑いや風邪症状の方は電話で問い合わせしていただくので、その際に直接伺うこともできます。
自動会計機の導入
公開
総合病院で見かける自動会計機の導入を考えているクリニックもあるようです。
接触を避けるという意味では得策ですが、今後の必要性が問われます。
患者様へのお願い
院内で感染予防対策を徹底して、患者様に安心して来院していただける環境を整えることも必要ですが、患者様のご協力なしでは成り立ちません。
・マスクや体温など、ご協力いただきたいことを院内外に掲示する
・来院時に消毒をお願いする
こうした院内でできることの他に、クリニックのWEBサイトで取り組みや安全性を伝えるために、情報を発信されています。WEB情報を頼りにしている人が増えているので、こちらからも患者様へお願いすることができます。
まとめ
クリニック経営者としては、新型コロナウイルスによる減収は予想外のことです。クリニックを閉院する医師も少なくありません。
感染予防対策は、本来なら医療機関が先頭に立ち、一般の方々に指導する側です。しかし、感染経路が分からない新型コロナウイルスには、効果的な予防方法がないので、医療機関側も先頭にたって指導することができません。
他院での感染予防対策を参考にして、そして患者様のご協力を得て乗り越えていきましょう。