コロナ禍において、厳しい経営が続くクリニックがほとんどではないでしょうか?
医療崩壊という言葉を聞くように、コロナウイルスの治療にあたる医療機関だけでなく、クリニックでも不安な状況が続いていることが伺えます。
今後、コロナウイルスが収束してくればクリニック経営にも明るい兆しが見えてきます。そんな時が来たら、どこのクリニックよりもいち早く集患できるように今からやっておきたいことがあります。
それが、クリニック経営の実態です。
コロナ禍を理由に、経営不振である状況を放置していませんか?
こんな状況だからを理由にしてのんびりするよりも、少しでも黒字経営になるように、見直しておくポイントがあります。
今回は、見直すポイントと「ムダ」と言われないための対策について、ご紹介します。
日本のクリニック経営状況
コロナ禍により、医療機関の存続は深刻な問題となっています。
ニュースでは病床数の不足や医療従事者の不足などを大きく取り上げていますが、クリニックを経営する医師にとっては、集患できない状況、適切な治療ができなかったりと、経営自体が難しい問題があります。
さらに、ここ数年でクリニックを開業する医師は増加傾向にあります。患者様から治療に関する不満や医療事故など、すぐに訴訟とされるケースが増えているため、比較的リスクが低いクリニックの開業を選ぶ医師が増えていることが伺えます。
有床クリニックの減少
診療報酬の医療点数からクリニック経営を見た場合、これまで有床診療所(19床以上のベットがあるクリニック)としていたクリニックも、無床のクリニックへと変更しています。
これは、有床診療所の医療点数が低いため、入院させることのメリットがなくなり、経営も赤字となっているからです。
有床で差別化をしていたクリニックには損失も大きいですが、生き残っていくためには仕方のないことだと考えられます。
黒字にする見直しポイント
ライバルのクリニックが増えていく中で、コロナ禍を理由に何もしないわけにはいきませんん。
そこでまずは、黒字にするために見直してほしいことがあります。
クリニック経営の現状を知る
まずは、現状を把握してください。ざっくり自分の判断ではなく、数字として見てください。
・どれくらいの利益が上げられているのか
・毎月の診療報酬の増減
・固定費の金額
いつか見るポイントはありますが、まずは現状を知ることが大切です。
・知ることで自分のクリニックがどういう状態であるのかが分かります
・何をすべきか見えてきます
・必要であれば専門家に相談をします
現状が分かれば、やるべきことが見えてくるので、頭の中が整理され、行動に移すことができます。
ムダな経費を見つける
一番取り掛かりやすいポイントしては「ムダな経費を見つける」ことです。
ムダな経費を見つけやすいのは3つあります。
人件費
クリニックにおいて、スタッフの人数を減らすことは大きな損失となるので、まず見直すのは勤務時間です。
クリニックの場合、診療時間がそのまま就業時間になります。そして繁忙期には患者様の数が急激に増えるため、残業時間が多くなります。
こうした勤務体制を見直していきましょう。
残業時間が多いのであれば、勤務をシフト制にするのも1つの対策です。全員が残業するより、一部のスタッフが残業するだけなら、人件費を削減することができます。
ランニングコスト
水や電気といった光熱費、コピー機の使用方法、毎日の業務に欠かせないものがいつくかあります。
毎月の固定の金額が多いと感じられたら削減できるポイントを探してください。
衛生や消毒などコスト以上に優先するべき点はありますが、利用方法を工夫するだけで費用を減らすことができます。
広告費
紙やチラシというより、近年ではSNSやネットでの広告に力を入れているクリニックが多いです。
実際に、お金を支払い広告を出しているだけの結果が得られているのかを考えてみましょう。結果が出ていないのなら、見せ方や広告を出すところをもう一度考えてみてください。
また、SEO対策にも力を入れているのであれば、依頼する業者が成果を出しているのか、今後の目標にあった戦略を考えるなど、こちらも見直し可能な部分があります。
設備、医療機器の導入時期
クリニックが増えているため、ライバルとの差別化を考えた時に、提案されるのは「新しい設備や医療機器の導入」です。
クリニックで手術や精密な検査ができるのは、患者様にも喜ばれますし、診療報酬としても高額な医療点数を算定することができます。
メリットはありますが、それを導入するのは今がいいのでしょうか?
購入となれば、銀行からの融資が必要となり、借金が増えます。無理にリスクを背負うことは妥当とはいえません。
ムダにしないための対策
見直しができたら、即実践にしてください。
そして、さらにムダを増やさないための対策を考えてください。
面接時の見極め
どんなに優秀なスタッフであっても、働き方のスタイルや目指すところが違っていては、ベストパフォーマンスを発揮することなく、退職するケースがあります。
また逆に「この程度いい」という、ゆるさを感じる人はクリニックに大きな損失を与えますし、他のスタッフに悪影響を与えてしまいます。
・どんなスタッフが必要なのか
・一緒に頑張ってくれるのか
・経営理念に共感してくれるのか
面接時にはこんな風にポイントを抑えて、求職者を見極めましょう。
コスト削減
数字上、いらないと感じたところをいきなり「コスト削減」といっても、スタッフには伝わりません。
まずは、現在の利用状況をスタッフから聞いてみましょう。その上で削減できるポイントを考え、スタッフの協力を仰ぎましょう。
医師として、自分も現場を知っているつもりでも、独断での判断は禁物です。時間がかかったとしても、状況を確認してから実行に移してください。
業務の効率化
医療業界でもIT化が進んでいます。紙カルテから電子カルテになり、保管場所の問題なども少しずつ解消されていますし、日々の業務も楽になっています。
こうしたITを取り入れることで、スタッフの業務が楽になったり、残業時間が短縮できるなら、取り入れることを考えてみましょう。
患者様を待たせることでの苦情は、どこのクリニックでも課題であります。待ち時間が短いというのは、良い口コミとして広がり集患にも繋がります。
スタッフの大切さを知る
何より大切に考えてほしいのは、スタッフのことです。
・スタッフが気持ちよく働ける
・同じ目標を持っている
・高い技術で働いてくれる
こうしたベストな状態でスタッフが働ける環境を用意することは、経営者として大切なことです。
人材不足の医療業界においては、次があるからと安易に辞めていくスタッフも少なくありません。
どんな環境であれば働きやすいのか、どんな言葉をかけたら喜ぶのか、経営者から歩み寄る姿勢で接していくことが大切です。
地域で必要なクリニックになる
最後に医師とスタッフで作り上げていくクリニックは、どうあるべきなのでしょうか?
それは、選んだ土地や地域の人たちに必要とされるクリニックになることです。
地域医療、長く愛されるクリニックと簡単に言いがちですが、実際にそうなるためには、時間をかけて信頼されていくことが重要です。
ワンマンで、いるだけでいいクリニックは、もう通用しません。
どんなクリニックが必要とされているのか、スタッフと考えていけたら、経営も黒字に転換していきます。