クリニックの開業に向けて建物の建設が始まると、ご自身の夢見たクリニックが形になっていくのですからワクワクしますよね。
しかし、そんな夢と希望が溢れるばかりに起きるトラブルもあります。クリニックの建設中は思いも寄らないトラブルをご自身も引き起こしてしまうことがあります。
そんな建設中のトラブルや、トラブルを減らす方法についてご紹介します。
こちらの記事を参考にして、ぜひ良い方向へと進めてください。
建設中に起こりやすいトラブル
ご自身の開業の夢が現実となるなら、あれもこれもと詰め込みたくなりますよね。建設会社や設計事務所なども可能な限り期待に応えたいと思いますから、打ち合わせを重ねていきます。
そんな時に起こりやすいトラブルとして、5つのことがあります。
デザインにこだわりすぎる
クリニックの顔ともなる建物には、やはり力が入ります。設計士にも具体的にイメージを伝え、デザインを描き起こしてもらいます。
しかし、なかなか思い通りにいかなかったり、あれもこれもと注文が増えてしまうケースがあります。
納得のいかない建物になってしまうことは不本意ですから、とことん話し合うべきですが、予算や工期のスケジュールもあるので、どこかで折り合いがつけられるといいですね。
予算オーバーになる
デザインはもちろん、資材や耐震や耐火など性能にこだわりすぎて予算オーバーしてしまうことがあります。資金調達前や現場での作業が始まる前なら、なんとかなりそうですが、建設工事が始まってしまったあとでは、追加資金の申請したり、現場でも変更による工期計画の立て直しが入るので、作業が止まってしまいます。
いろいろ調べたり、人から話を聞いて取り入れたくなってしまうタイミングですが、なるべくなら決まってからはトラブルになる元だと心得ておきましょう。
業者同士の情報共有ができていない
途中で資材の変更やでデザインが変更すると、業者にも伝えなくたいけません。変更があればきちんと伝えていきますが、ごくまれに情報共有ができずに誤った作業をしてしまうことがあります。
「言った、言わない」という初歩的なレベルで業者同士がぎくしゃくして、現場のムードが険悪なものになることもあります。
そんな状況で建物が完成しても、なんとなくしこりが残り嫌な印象になってしまいます。
思いがけない手続きが発生する
事前に打ち合わせを重ね、建設工事に必要な手続きは済ませます。また、完成後には保健所などの立ち入り調査もあるので、きちんと進めなくてはいけません。
例えば、途中でデザインを変更することで増築をしたり、予定していなかった医療機器を取り扱うことにしたという場合には、新たに申請書類を作成して手続きをする必要があります。こうした場合は、作業が進められる場合とできない場合があります。行政の許可が降りて初めて作業に入れるケースもあります。
行政への申請には時間がかかります。追加するだけと簡単に考えがちですが、意外と融通が効かないので、難しいということは覚えておきましょう。
工期が遅延する
ここまでのトラブルを説明でご理解いただけると思いますが、なんらかの追加やトラブルによって、現場の作業は止まってしまいます。そうなると予定していた工期が延長されることになります。
遅延によって、ご自身の開業が遅れるばかりでなく、業者のスケジュール変更、近隣住民への説明など、余分な対応が発生してしまいます。
特に近隣住民とのトラブルは、開業してからも尾を引くので避けたいところです。
建設中のトラブルを減らす方法
こうした起こりやすいトラブルを把握したところで、トラブルを回避する方法をご紹介します。
窓口を一本化する
ご自身のクリニックなので、業者とも直接やりとりしたいところですが、ここは建設を依頼した建設会社や設計事務所に任せて、窓口を一本化することをオススメします。
建設現場には多くの業者が出入りして作業をしていきます。決められた工期で作業をして次に繋げていますので、ここで要望を言われていますと業者側も困惑してしまいます。
建設現場を見学して思ったことや知りたいことは、建設会社や設計事務所に聞くようにしたり、要望を伝えてみましょう。専門家が判断して可能なことであれば取り入れてくれるはずです。
定期的な情報共有をする
開業前もギリギリまで勤務医として働く方もいらっしゃると思います。時間が取れないこともあるかと思いますが、定期的に現場の情報を報告してもらうようにしておきましょう。ここまで話したように、積極的に関わって要望をいうパターンもあれば、忙しく現場を見ることもままならない時に「言い忘れた」という形で要望を出されることもしばしばあります。こうしたケースも同様にトラブルの原因になってしまうので回避したいです。
そのためには、定期的に情報が聞けるように、もしくは毎日の進捗を報告してもらえるように、事前に統括している建設会社や設計事務所にお願いしておきましょう。
疑問は早い段階で伝える
お互いに忙しくて、十分な話ができなかった、見切り発車となってしまったというのも、良い結果につながりません。
建設会社や設計事務所の話を聞いて、疑問が残ったり違和感を感じた時にはその場で質問してください。「こんなこと聞いたら笑われる」と、周りを気にする必要はありません。医師であるあなたは、医療のプロであっても建築に関しては素人です。知らないことや分からないことあって当たり前です。遠慮はいりません。なんでも聞いて疑問を解決していきましょう。その方が、業者側もより丁寧に話そうと努力します。分かりやすく話せる人ほど、信頼もできますから、人柄を見るチャンスかもしれませんね。
こんなことも頼れる
建設現場の窓口を一本化することで、建設会社や設計事務所とより深く関われるチャンスがあります。
トータルブランディング
業者にもよりますが、最近ではWEB制作やチラシ、名刺、また補助金申請など建設だけでなく、すべてのことを請け負うことができる業者もいます。こうすることで、必要経費もまとめて分かりますし、経営理念に合ったロゴマークやホームページを作成してもらうこと可能です。
深く付き合うことで、より思いが伝わるのでイメージに近い形で実現できるのはメリットですね。
オリジナル家具を作ってくれる
テレビで見る「大工さんが作ってくれました」という棚や机が登場するシーンを見たことありませんか?あれが可能となることがあります。
お互いに良好な関係で現場の作業が進めることができたら、困っていることやリクエストに応えてあげたいという思いが生まれます。
余った廃材や使えるものを用意することで、作り付けの棚ができたり、子供用に小さなイスト机ができたり、いいことづくめです。あとで既製品を用意するより見た目がよいですし、費用削減になります。
まとめ
建設中に起こりやすいトラブルと、トラブルを減らす方法をご紹介しました。
要望を伝えることは、通常であれば何も問題はありませんが、始まった建設現場ではトラブルの元になってしまいます。
この土地に定着して、長期的にクリニックを経営していくことを考えると建設中のトラブルがあとを引くことになりかねません。開業も建物のメンテナンスをお願いするという意味でも良い形で関わりを続けていきたいですね。
勤務医と続ける中で、どのように情報交換をするのか、途中のデザイン変更はできるのかなど、さまざまな場面で想定されることは事前に話し合いをしてルールを決めておきましょう。
良い関係があるから、クリニックも良い形で残っていけるのです。