寒くなると気になるのが、風邪やインフルエンザの感染です。
内科、耳鼻咽喉科にとっては繁忙期に入ります。
そして、この時期に毎年大変なのは「インフルエンザの予防接種」です。
ここ数年は、新型コロナウイルスの流行により予防接種を希望する人は少ないですが、今年は感染状況が落ち着いてるので、インフルエンザへの感染を心配する声があります。
そこで今回は、2022年のインフルエンザの予防接種を無事に終わらせるポイントについてご紹介します。
苦情を一件でも減らせるように、また一年に一回ですから忘れていることなど、それぞれのポイントを踏まえてご覧ください。
この記事の目次
2022年はインフルエンザが流行するのか?
ここ数年インフルエンザは流行していますが、圧倒的に感染する人が減少しています。
この理由はあきらかに、新型コロナウイルスの流行により手洗い、うがい、消毒が徹底されていること、一人一人の意識が高かったことです。
連日の感染状況の報道、感染が減少しない状況に対する不安からおこった減少です。
だから、インフルエンザ自体は毎年流行をしていても、大きな問題として取り上げられることなくシーズンを終えていたというのが現状です。
予防接種の希望は例年通り
そんな中、インフルエンザの予防接種を希望する患者様が減少したかといえば、そうではありません。予防接種に関しては例年通り、希望者が多数でクリニック側はワクチンの確保が大変でした。
行政の助成が始まる10月から予防接種は始まりますが、問い合わせが増えあっという間に確保したワクチンがなくなるような状況です。
一度でも予防接種の予約で苦労された患者様は「我先に」と行動が早くなりますから、感染は広がっていないとしても予防接種を希望される方が減ることはありません。
インフルエンザの予防接種で大変なこと
インフルエンザの予防接種で大変なことは、受付です。
どこのクリニックでもそうですが、今は「完全予約制」です。ワクチンはクリニック同士で取り合いなのが現状ですから、余分を持つということはほぼ不可能に近いです。
まずは、ワクチンの確保が大変です。
予約制を認知させる
ワクチンが足りない、予防接種できるクリニックを探しているという話は、毎年の話題です。こんな状況ですから「予約制」であることは認知されていますが、周りの様子を見てから決めるという人も少なくありません。
院内の掲示、ホームページでのお知らせで必ず予約制であることを認知させておきましょう。患者様を不安にさせる訳ではありませんが、ワクチンの数には限りがあることを加えて伝えておく方が、より理解してもらいやすくなります。
院内で申し込み手順を徹底する
毎年のことであっても、予防接種についての問い合わせが殺到します。ここでの対応を間違えると、のちに苦情となるということを忘れないでください。
まずは、患者様よりスタッフに申し込みの手順を覚えてもらうことを徹底しましょう。
・申し込み方法
・費用
・実施期間
・予約変更とキャンセル
この四点は、しっかりルールを決めてスタッフに覚えてもらうこと。そして分からない時や認識が曖昧な時には適当な返事をするのではなく、窓口にいる医療事務スタッフに聞いてもらうように案内をするように決めて、伝えてください。
院内で「言った、言わない」の小さなトラブルや揉め事をしっかり回避できる状態にするのも経営者の手腕です。
こんな些細なことが、小さなクリニックでは大きな問題となることを忘れないでください。
新型コロナウイルスのワクチンに関する問い合わせ
インフルエンザの予防接種に関する問い合わせで増えているのは「新型コロナウイルスのワクチンに関すること」です。
強制ではありませんが、ほとんどの患者様、希望者様は新型コロナウイルスのワクチンを接種している、予定しているなどの状況にあります。
基本的にはインフルエンザの予防接種を受けることはできますが、確認は必要です。こちらに関しては、情報をまとめてスタッフに正しく伝えておきましょう。
・ワクチン接種済み
・これから予定している
・接種する間隔は必要なのか
このように考えられる問い合わせ内容について回答を事前に用意しておくと、非常にスムーズな対応をすることができます。
苦情を減らすために伝えておく情報
確実に希望者様が知りたい情報をまとめてお伝えします。こちらでの情報は必ず伝える必要があるものです。
まずは、基本情報をお伝えすること、その上で「当院には必要だな」と思われる情報をプラスして、ご自身のクリニックでの対応へとアレンジしてください。
費用について
予防接種にかかる費用をわかりやすく伝えてください。
・一般
・子供
・高齢者
大きく3つに分けることができます。
分ける理由の1つは市町村からの助成です。
インフルエンザの予防接種は自由診療ですから、クリニックごとに料金が違います。しかし、高齢者を対象に費用の助成があるので、お知らせする時には費用の違いが分かるようにしておきましょう。
そして、もう1つは子供です。生後6ヶ月から接種が可能です。市町村によっては助成や公費での接種が可能なケースがあります。
助成の内容は市町村ごとに違いますし、公費での接種は対応できるクリニックが限られています。
できること、できないことを明確にすること。さらには必要な書類があれば加えて伝えるようにしてください。
予約受付の注意点
予約の受付方法は分かりやすく、そして認知してもらうことがポイントです。
予防接種の希望者のほとんどは、外来にみえる患者様と患者様の家族です。
・顔見知りだから
・顔パスでいつでも受けれる
・話してあるから
普段から知ってくれてるからと、患者様の思い違いで正規の予約をしていないのに接種ができると勘違いされる患者様はいらっしゃいます。地方に多い傾向かもしれません。
こうした思い過ごしを一人でも減らせるように、院内の掲示で予約方法を明確にしておきましょう。
最近の傾向としては「電話での予約は受け付けていない」です。聞き間違いが多く、苦情になりやすいので受け付けていないことをお知らせで伝えてください。
ワクチンの在庫に限りがあること
繰り返しになりますが、在庫に限りがあることは伝えましょう。
どこのクリニックでも予約が取れないとなれば「キャンセル待ちができるのか?」という問い合わせが増えてきます。
ほぼワクチンの確保はされているので難しいことは伝えてください。状況によっては可能な時もありますが、確約はできません。
思い込みや勝手な判断でスタッフが予約を取らないように注意してください。
予約変更、キャンセルについて
必死に予約をされても、変更、キャンセルはあります。こちらのケースもルールを決めておきましょう。
予約は接種日を決めるのではなく、ワクチンの確保だということはあまり理解されていません。
もちろん、ワクチンを無駄にしたくないので、接種人数を決める必要はあります。まずは、変更できることを伝えて安心させてください。
問題はキャンセルとなった時です。ワクチンを無駄にしない対策を考えてください。在庫として残すことはできません。
まとめ
インフルエンザの予防接種を無事に終わらせるポイントをご紹介しました。
まだまだマスクの着用、消毒が徹底されているので感染する人は少ないことが予想されます。
しかし、去年と違うのは新型コロナウイルスに対する不安が低いことです。油断が生まれるということ。
気が緩めば、インフルエンザの感染も増えます。より身近なインフルエンザの感染は、不安となりワクチンの接種希望へと繋がります。
こうした状況で、対応の違い、間違った情報は苦情やトラブルの原因となります。
院内でスタッフと確認しながら、無事に乗り切ってください。