最近では、情報はインターネットでということが当たり前になり、ホームページはなくてはならないものになっています。
クリニックを選ぶ時もまずホームページというのが常識です。
どんな患者さんも、クリニックを選ぶときは、自分の症状に対して、知識や経験があって、安心できる医師がいるところにいきたいと思うものです。
しかし、その情報が信頼できるかどうかについては必ずしも確信は持てないのが現状です。
実はこんな時に力を発揮するのがリアル広告「看板」です。
つい忘れがちかもしれませんが、「看板」のもつ役割と機能には捨てがたい魅力と力があります。
その魅力と力を見直してみたいと思います。
看板の特性
医療機関の広告媒体にはホームページ、屋外看板、タウン誌などへの広告、電話帳への広告、ポスティングや折り込みチラシなどがあります。
情報はあふれるほどありますが、さて、どの情報が信頼できるかについては迷い、確信がもてません。
こんな場合「信頼」に導くものとしては「口コミ」が取り上げられます。
それはいつもお付き合いのある身近な人からの直接の情報であるというのが信頼する理由です。
日々の生活領域に存在し、常に身近に接する、いつも目にする「看板」はこの条件に合い、さらに、リアルを代表するメディアの中でもその安定性で有利な立場にあります。
検索するまでもなく目の前にあり、「看板」のある場所とその内容は、それを目にした人の日常生活の中にきちんと記憶されます。
そして、診療が必要になったときに思い出されて、選択されることになり、いわば、潜在需要を呼び起こす結果になります。
見てもらえる看板
看板は離れた位置から見るため「離れた位置から文字が読める」ことが大切です。
また、短い時間(数秒間)で文字が読み取れるのでなければ意味がない。
そのためには文字の大きさ、そして書体が重要です。距離のある所からパット見てわかる、そのことによって看板に注目する時間が変わってくるともいわれます。
ストレスなく看板を見ていただくことは「見てもらえる看板」の必要条件です。
イメージを決める看板
看板や外観はクリニックの「顔」であり、まだ来院したことがない方にとってみれば看板や外観が印象を決定づける数少ない要素の一つです。
クリニックの質の高い丁寧な診療の実際を伝える看板であってほしものです。
それが、
汚れている。
日に焼けて色があせている。
破れたり壊れたりしている。
電球が切れているなどであれば。
それはそのままマイナスのイメージに結び付き、クリニックそのもののイメージとなってしまいます。
看板はクリニックを代表することは忘れないでいただきたい。
看板にのせる情報
それでは看板にどのような内容を載せるかについて検討します。
第一に「何を診てもらえる」が必須の情報です。
そのためには、クリニック名より「診療科目」を先に伝える。
「呼吸器内科 ●●医院」というように、まず何を診てくれるクリニックかを知ってもらいましょう。
クリニックの名称に診療科目が入っている場合はおおよそわかりますが、それでも診療科目を明示することは必須です。
患者さんが自分の症状を見てもらえるかと思ったときに、答えてくれる内容であってほしいものです。
また、診療科目をそのまま記載している場合は、それだけでは患者が迷うこと多くあります。
例えば「喉が痛いけれど、内科に行けばいいの?呼吸器科に行けばいいの?それとも耳鼻咽喉科?」や
「お腹が痛いけれど、内科と消化器内科どっちに行けばいいかわからない」などです。
医師にとっては、当たり前の事も患者さんにとっては、わからない事だらけです。
それにこたえる内容が看板に記載されていることで、患者さんをクリニックに結び付けてくれるのが看板です。
注意事項
ここで一つ注意しなければならないこと、医療の宣伝広告には医療法による規制があということです。
最近ではその規制も緩和されてきており、基本的な情報は大丈夫になってきましたが、客観的な事実を証明できない内容や誇大広告は規制の対象になることは承知しておいてください。
看板の役割
「看板」は屋外広告の一つで、常時または一定の期間、屋外で不特定多数に向け表示されるもので、その役割は次のようになります。
- クリニックの存在と場所を知っていただく。
- クリニックへの道案内をする。
このような目的に沿っていくつかの種類の看板が存在し、それぞれ特色を持っています。
看板の種類
「クリニックの屋外看板」
一番効果が高いのはクリニックそのものに設置する屋外看板です。
クリニックそのものの存在をその場で示してくれる、まさに「ここにクリニックがある」ことを近隣の方や通行人など不特定多数の人に対してアピールします。
「駅の看板」
駅の構内やホームに掲出する看板で、地域の人々が最も多く集まる場所です。
看板ひとつあたり、1日に注目される頻度は膨大なものになり、クリニックの立地条件や科目によっては非常に有効です。
通勤や通学、駅を利用する人に見ていただく広告ですので、専門性があり診療圏が広いクリニック向きです。
例えば、産婦人科・婦人科・美容整形・心療内科や周辺にない専門的な科目を標榜しているなど特徴のあるクリニックに有効です。
ただし、契約期間、初期費用、広告料などの料金は駅の規模と乗降客数、また掲出場所により大きな差があると同時に、高額になる場合もあり、費用対効果を十分検討する必要があります。
「野立て看板」
交差点付近やクリニック周辺に掲出することにより、誘導・告知効果を期待できます。
ある程度の表示面積を確保できるため、診療時間や休診日など詳細を記載することも可能です。
料金は、1坪くらいの面積で、その地域の月極駐車料金が目安と言われておりますが、地権者との交渉となりますので、かなりバラつきがあります。
契約や支払い期間も交渉になりますが、6ヶ月か年間が一般的です。契約も地権者と直接か広告代理店を通してとなりますが、看板が倒れた場合の責任の所在や撤去時の料金など確認する必要があります。
「電柱広告」
電柱広告は、道路上に掲出できる広告で街中や主要道路などに掲出できるため、不特定多数の人に幅広くアピールでき、きめ細かい誘導案内が可能です。
使用の目的にあわせ広範囲に掲出することができ、また、1本あたりのコストも低く掲出場所の自由度が非常に高いアイテムです。
診療圏に応じて掲出範囲を選定したり、人が集まる場所にピンポイントで掲出したりすることが可能です。
例えば小児科や耳鼻咽喉科ですと周辺の小学校や幼稚園、公園の前などが効果的ですし、科目を問わずに、マンションや団地、スーパー、郵便局周辺などもお勧めです。
このような場所は、反復して目に留まる為、継続的な告知にも有効です。
電柱広告の料金概算は、中部電力管内・初回制作費10,000円、月額広告料は地域により差がありますが1箇所名古屋市2000円前後、他県内1500円前後となります。
契約は、電柱ごとの契約となりますので、認知度を確認しながら追加や移転などができます。
看板の「見え」に関するディープな知識
「看板を見る側から」
看板は誰かに見てもらうために設置するものです。
「誰か」とは、その看板が対象としているターゲットを指し、同じ人であっても身を置く場と状況によって別の対象になります。
具体的にあげると下記のような対象=「誰か」のことです。
クリニック側の舗道にいる歩行者と反対側の舗道にいる歩行者
駅のホームに立ち、向かいの看板を眺めている人
走行中のドライバーと自転車移動している人
交差点で信号待ちをしているドライバーとバス停でバスを待っている人
上記にあげたように、看板の対象にはさまざまな状況の人が想定されます。
看板の効果を上げるためにはそのターゲットに合わせた工夫が必要となります。
同じ道路沿いに設置する看板でも、歩行者を対象としたものとドライバーを対象にしたものでは、掲載情報やデザインが大きく変わります。
ドライバー向け看板の場合「7秒手前から発見される」場所に設置する必要があります。
ドライバーがクリニックの看板に気づき、駐車場に入ろうとするには、一般的に「約7秒」必要だとされています。
例えば、制限時速が40kmであれば、クリニックより80m手前で看板が発見される必要があります。
また、この7秒という数値は急ぎ足の歩行者に対しても同様です。
7秒手前の位置から発見されなければ、看板に気づけずに通り過ぎてしまう可能性が高いのです。
「看板の配置の側面から」
通常、歩行者もドライバーも進行方向を真っ直ぐ見ています。
したがって看板は、基本的に進行方向に対して直角に、対象者の正面に設置した方が効果的です。
この点で有利なのが道路上に突き出した「突き出し看板」です。
愛知県広告条例では、敷地外も1m 以下なら車道や歩道上に看板を突き出して掲示できます(道から看板の底辺までの高さが、車道は4.5m、歩道は2.5m 以上必要となります)。
歩行者の視点を最優先に看板を配置するのが基本です。
このように、単に看板といってもなんとなく置けばいいというものではありません。
「誰に見てもらいたいのか?」という視点で改めて看板の配置を検討することは有効です。
「看板の掲載情報」
看板というのは、通常じっくり見てもらえるものではなく、数秒しか見られない広告です。
この「数秒間」で認識できる情報というのはかなり限られてきます。
看板のデザインや掲載内容を考える際に、数秒間しか見られないことを踏まえて伝えるべき情報を整理する必要があります。
たとえ数秒で見る情報でも、通勤・通学や日常生活においてその道を使用する地域の人々は、毎日「自宅→目的地」「目的地→自宅」と2回クリニックの前を通過していくことになります。
それほどに日常生活に溶け込むことで「数秒で見る情報が」気が付かないうちに見る人のうちに存在感を増していくのです。
まとめ
ネット情報が溢れる現代に、リアル広告「看板」の魅力と有効性を看板の種類、それぞれの特性に触れながらご紹介いたしました。
それぞれの特性を生かしながら看板を見直すことで、リアル広告がネット情報と結びつき、「広告」の有効性の増大と信頼感の醸成を図ることができるのではないかと思います。