クリニックを開院することで、自分のペースで仕事ができたり、煩わしい人間関係に悩まされることがなくなります。しかし、おつきあいが全くなくなるわけではありません。もしかしたら、一人になることで悩みが増えるかもしれません。
そんなおつきあいの中で「開院祝い」に悩んだことはありませんか?
喜ばれるものを贈りたい、印象を良くしたいと思うと、何を贈ったらいいのか、どんどん悩んでしまいます。
今回は、開院祝いのマナーや選ばれる贈り物、そしてNGな情報をご紹介します。
開業医はおつきあいが大事
他業種の経営者と同様に、開業医もおつきあいが大切になります。
おつきあいと聞くと、医療機器や設備、建設、不動産など、開院に向けてお世話になった業者、薬や衛生品など開院後にお世話になる業者などが挙げられると思いますが、やはり一番大切にしなくてはいけないのが、同業者である医師です。
開業医にはどんなおつきあいがあるのでしょう?
それはやはり、出身大学、勤務医時代にお世話になった医師の人たちです。医師という特別な仕事であっても、会社に勤めるサラリーマンと違いはありません。
出身大学の医局から系列の病院へと配属されます。院長、部長、医局長というように役職があります。さらには大学の先輩・後輩の関係もあるため組織の中にピラミッドができます。
実際に経験されていることなので、良いことも苦労もご存知のはずです。
クリニックを開業することで、その関係が切れるのかと言われれば、そうではありません。クリニックにない医療機器、例えばCT・MRIの撮影をお願いすることがあります。診察や治療で悩むことがあれば相談することもありますし、患者様を紹介することもあります。
日頃の関係性が良好であるほど、こうしたことはスムーズに運びます。そして、患者様にとっても最適な診察、治療を受けることができます。
経営者的に言えば、収益に繋がるので、出身大学、勤務医の繋がりというのは、開業医になっても大事にして欲しいのです。
1-1.きっちりマナーは知っておきたい
では、良いおつきあいを続けていくためには、何が必要となるのでしょうか?
それは「マナー」です。TPOに合わせて失礼のない対応ができることが必要です。全てを完璧に覚えることは非常に難しいのですが、せめて一般的に「礼儀正しい」と思われる所作をを身につけ、開業、冠婚葬祭の時には速やかに対応できることが望ましいです。
一般的なマナーであれば、ネットや本で調べて対応してください。また、大学によっては独自のマナーがある場合もあるので、その際には先輩医師に聞いてみることが大切です。
知っておきたい開業祝いのマナー
様々な場面で、正しい対応(マナー)を求められることがあります。
特に、医師は開業を目的とする場合があり、お祝いを贈るケースに多く遭遇します。また、同時に医師同士がお祝いを贈りますから、一人だけ的外れなことをしていれば目立ちますし「マナーがなっていない」をということで、あなたの印象を下げてしまうことも考えられます。
開業祝いに関するマナーについて、知っておいて損はしない情報をご紹介していきます。
お届けするタイミング
そもそも「開業祝いはどうやって渡すべきなのか?」です。
可能であれば直接お会いして、お祝いの言葉を伝えて、お祝いの品を渡すことがいいです。
しかし、お互いに医師ですから忙しく予定が合わないこともあります。そんな時には無理をせず、配送会社を利用して贈ることもマナー違反になりません。
・内覧会に参加する
多くのクリニックでは、クリニックを開院する前に、関係者、地域の方々、業者などを招待する「内覧会」が開催されます。
この日に予定を合わせて、出席した際に挨拶をして渡すことができます。建物や設備など、ご自身のクリニックに活用できるヒントが多くありますし、クリニック経営に必要な情報や人脈つくりにも繋がります。
しかし、開業祝いにお花を贈る予定である場合は内覧会の朝、または前日にお届けできるように手配することをオススメします。 お花のサイズにもよりますが、内覧会にいらっしゃるお客様の応対もありますし、いらっしゃったお客様から見ても、お花があることで華やかになります。
・開院日に届ける
内覧会に行けない場合、開院日にあわせて配送会社から配送してもらうこともできます。
この場合も、お花であれば内覧会と同様に対応してください。
それ以外のものでしたら、開院日に合わせてお届けしてもいいですが、はいたつじかんの指定をしておくと、より丁寧な対応をすることができます。
開業祝いの選ぶ基準
開業祝いに贈るものはどうやって決めているのでしょうか?
不要なものを贈ってしまえば、それがそのままご自身の評価になってしまうので、避けておきたいとこです。
まずは、残るものと残らないもの、どちらにするか決めてください。
形として残るものを贈る場合には、事前にリサーチしてみましょう。開院に合わせて様々なものを用意していますが、なかには「欲しいけど、開院日になくても問題ない」というものがあります。その中から、お祝いに相応しいもの用意しましょう。
形として残らないものを贈るなら、やはりお花が一番です。内覧会や開院日にお花が一つも届いていないクリニックでは、信用度が落ちてしまいます。また、地域によってはクリニック開院や店舗の開店時に並ぶ花をもらっていく風習があります。華やかな演出をするだけでなく、集患にも一役買ってくれるます。
どちらも決めかねる、または関係性が薄いという場合には、医局が用意する贈り物に参加するという方法もあります。お知らせや幹事から連絡が入るので、その時に参加を希望してください。
開業祝いの予算について
予算を決めてから贈り物を考えるというのも、方法の一つです。金額が決まれば、選ぶ範囲が絞られるので選択肢を減り、選びやすくなります。
予算は5,000円〜50,000円といわれています。同じ組織のメンバーであっても関係性によりますので、元同僚や先輩医師に相談して金額はきめてください。
開業祝いで選ばれる贈り物
実際に贈って喜ばれるものをご紹介します。
お花
ダントツに多いのはお花です。開院時の華やかさを演出してくれますし、集患としても役立ちます。
観葉植物
院内に置いておくことで、患者様の心を癒すことができます。しかし、クリニックに必要かと聞かれれば、必ずしも必要ではありません。後回しにしがちのものです。
現金・各種金券
最終的に決まらなければ、現金やギフト券、商品券を用意して贈ることもいいです。
本当に欲しいもの、クリニックにあると便利なものを購入する時に、役立ててもらうことができます。
家電製品
今や必要不可欠となった、空気清浄機、加湿器などを贈ると、非常に喜ばれます。
高額なものですから、予算の設定にご注意ください。
一番人気!お花の立札のマナー
お祝いを贈る際にマナーがあるように、お花の立札にもマナーがあります。
必ず、下記のことを書いてください。
・お祝いの言葉
・贈り主の名前
・贈り主のクリニック名
立札もご自身の宣伝になります。きちんと用意してください。
開業祝いでNGな贈り物
贈り物としてNGな物があるので、ご注意ください。
スリッパ・履物
自分より立場が上、先輩や指導医に当たる人に、腰より下に身につけるものを贈るのはNGです。
相手を踏みつける意味があります。
火事や赤字を連想するもの
贈り物として最近は見かけませんが、ライターや灰皿、キャンドルなど「火気類」と、赤色のものは、火事や赤字を連想するので避けてください。
まとめ
開業祝いについてご紹介しました。
医師であっても、一人の力で開院してクリニックを経営していくことは簡単なことではありません。
業者や税理士などのおつきあいには目が向いても、医師同士の縦つながりは見落としがちです。こちらも大切にしてください。
くれぐれも、好き嫌いで判断せずおつきあいを続けて、今後助けてもらいましょう。