クリニック開院後に名称変更することは、めずらしいことではありません。
開業後の早いタイミングでもありますし、長い年月を経てから名称変更するケースもあります。
理由はそれぞれにありますが、実際にクリニックの名称を変えることは何らかのメリットがあるのでしょうか?もしくは大きなデメリットとなり、リスクを背負うだけになってしまうのでしょうか?
今回は、クリニックの名称変更をする、そして、それに伴うメリット・デメリットについてご紹介します。
クリニックの名称変更はめずらしくない
クリニックの名称変更をするということは、聞けば大変なことのように思われます。書類上の手続きに関しては、確かに大変です。
しかし、意外かもしれませんが、開院後に名称変更をすることは決してめずらしいことではありません。
名称変更ののタイミングは、それぞれです。名称変更をする理由によるので、開院して2,3年後だったり、10年以上経ってから名称変更をすることもあります。
クリニックの名称変更をする理由
クリニックの名前を覚えてもらい、初診以後も定期的な診察をしてもらうことで、認知され、クリニックの売上に繋がります。それなのに、名称変更をするということは、ここまでの努力を捨ててしまうようにも思われます。
実際、どんなタイミングで名称変更をしようと思うのでしょうか?名称変更をする理由について、ご紹介します。
何科のクリニックなのか分からない
クリニック名を見る限り「ここは、何科ですか?」と、患者様に伝わらないことがあります。他に開院するライバルとの差別化を狙ったつもりが、患者様に理解されないクリニック名になってしまったケースもあります。
・アルファベットばかりで読めない
・診療科名を違う言葉で表している
上記の二つは、名称変更をする際によくあるケースです。これらは、通院を知られたくない診療科であれば、逆にアリかもしれませんが、都心から離れ住宅地にあるようなクリニックですと「分からない、怪しい」と誤解されやすいので、患者様の来院は期待できません。
集患できない
診療科が分かりづらかったり、何らかの誤解を招きやすいクリニック名だと、集患することはできません。
クリニックを経営するのですから、集患できるクリニックにしなくてはいけません。集患できない理由は他にも挙げられますが、クリニック名も集患できない理由になっているケースは少なくはありません。
経営者が変わった
クリニックの経営者が変わるタイミングで、名称変更をするケースもあります。
経営者が変わるタイミングは、息子や第三者に事業継承された時です。
事業継承の場合、これまで築いてきたものを引き継ぎ、今後もクリニック経営をしていくので、患者様にとっても安心です。
しかし、クリニック名に関しては、自分の思いと違っていたり、まれに診療科が変わることがあるので、名称変更を希望する医師もいます。
標榜する診療科が増えた
クリニック名には、クリニックを経営する医師の専門とする診療科が含まれた名称であることが、ほとんどです。
しかし、途中で診療科の違う医師と二人で、クリニックの診察に関わっていく場合には、その医師の診療科も加えた方がいいと考えることがあります。集患できる診療科であれば、名称変更するメリットは大きくあります。
クリニックの名称変更をするメリット
様々な理由から名称変更がされますが、今度はクリニック名の名称変更をするメリットについて考えてみましょう。
診療科が分かりやすくなる
これまで変わりにくいと思われていたクリニックの名称が、一気に読みやすく分かりやすくなります。
診療科は、自分のやりたいこと、クリニックを開院することへの思いを込める医師の方もいらっしゃるので、名称変更の場合にはそんなところにも注目してみてください。
集患できる
クリニックの名称変更をするだけでと、思われるかと思いますが、集患できるきっかけになることは、間違いありません。
診療科が明確になることで「自分に必要な治療が期待できる」と、多くの見込み患者様を作ることができ、症状や痛みが出た時に診察に行こうと思わせることができます。
結果はすぐにはでなくても、診療科別にある繁忙期には、これまでの集患数以上の数字を期待することはできます。
診療体制の変更が一緒にできる
名称変更を変えることで、業務内容が変わることがあります。そうなると、これまでと同じ診療体制でクリニックをしていくことが、困難になるケースがあります。
例えば、内科で内視鏡カメラに力を入れていく場合、クリニックの名称にも「内視鏡」という言葉を加えることが多くなりました。
内視鏡カメラの場合、多くのクリニックでは外来の診察時間外に行なっています。そのため、内視鏡カメラに特化していくと大幅に時間を取られることとなり、スタッフの就業規則に問題が生じます。
そのため、診察時間を短縮したり、検査日を増やしたりと、クリニックの診療体制も変更することになります。
名称変更を良いタイミングと捉え、クリニックの診療体制を整えることができるのです。
クリニックの名称変更をするデメリット
クリニックの名称変更をすることで得られるメリットがあれば、やはりデメリットとなることもあります。
良い結果を出すための名称変更のはずが、売上を落とす原因となったり、環境が悪くなってしまうことはないか、十分にシミュレーションをしてみましょう。
閉院したと勘違いされる
名称変更することで「これまでの先生は、やめてしまった」と勘違いする患者様もいらっしゃいます。
定期的に通院される患者様には、あらかじめ告知をしているので、こうした勘違いはありませんが、痛みや症状がある時だけ来院される患者様には、理由が分かりませんから「閉院した」と思われることがあります。
医師が変わったと思われる
閉院したとまでは思われなくても「医師が変わった」と思う患者様がいらっしゃいます。患者様の中には「医師」を基準にクリニックを選ぶ患者様がいます。
・話しやすい
・治療が的確
・会うと元気になる
こうした理由で、クリニックに通院していた患者様にとって、医師が変わることは通院もやめてしまう可能性があります。
患者様が離れる
閉院した、医師が変わったと思われたら、患者様は通院をやめてしまう可能性がありますから、患者様が離れていきます。
クリニックにとっては、集患数を増やさないことには売上を伸ばすことはできません。
患者様が離れてしまわないように、名称変更のための事前準備はしておきたいですね。
名称変更時の注意点
名称変更に伴うリスクがある場合、少しでも回避できるように事前に準備をする必要があります。
事前に告知をしておく
一番大切なことは、名称変更をする時には「事前に知ってもらう」ということです。
手段はいろいろあります。少しでも多くの患者様に知ってもらうことを目標にしましょう。
告知期間は、数ヶ月単位で行うことが必要です。どこで告知するのが効果的なのかを考えてください。
院内掲示
クリニックの院内には、患者様の目に止まる位置を考えて、掲示板に以外にも掲示してください。
・受付
・診察室の出入口
・玄関
いくつか掲示しておくことで、患者様の目に止まります。気になることがあれば患者様の方から質問をしてもらえます。問い合わせが多いほど認知してもらえていると確認もできます。
ホームページ
ホームページの告知では事前の告知だけでなく、変更後もしばらく掲示しておくことをオススメします。
痛みや症状がある時だけに来院される患者様、クリニックを探している見込み客(患者様)にも伝わるので、こちらでも伝えていきましょう。
患者様にも協力してもらう
情報を知った患者様から口コミで「名称が変わるらしいよ」というお知らせを期待することができます。
地域の人に知っていただくことが、一番大切なのでこちらも意識しておきましょう。
まとめ
今回は、クリニックの名称変更についてご紹介しました。
クリニックを良くするためのことなので、デメリットとなることは早く対処しておきましょう。
また、名称変更に抵抗がある医師の方も、開院後に方向転換することはありえることなので、難しく考えずクリニックが良くなる方向で取り組んでください。