クリニックを開院するためには、建物と医療機器を考えるだけでは上手くいきません。もう一つ大事なことがあります。それが、駐車場です。
多くのクリニックでは、駐車場を用意する必要があり、その良し悪しによって患者様がクリニックを決めていると言っても過言ではありません。
もし今、思うような集患ができていなかったら、集患できない原因の一つに「駐車場問題」があるかもしれません。
今回は、駐車場の必要性と、集患できる駐車場のポイントをご紹介します。
駐車場は必要なのか?
クリニックを開院する時に、駐車場が必要なのか、どれくらいの規模にするのかなどを、意外と早い段階で考える必要があります。タイミングとしては、土地探しの時です。
建物と駐車場を合わせた広さの土地を探さなくてはいけないので、建設会社やコンサルの意見を聞きながら早く決める必要があります。
医師でも意見が分かれる
実は、駐車場の必要性については、医師の間でも意見が分かれます。
・台数が少なくても問題ない
・建物より駐車場の広さを重視する必要がある
上記のように、駐車場が集患に繋がると考えていないと思われる医師にとっては、駐車場の広さや台数を深く考えることはありません。
また逆に、車で来院される患者様を考えて、駐車場をどうするべきか悩む医師もいます。
駐車場が必要ないクリニック
クリニックを開院する時に、駐車場が必要ないケースもあります。また、集患のために駐車場を重視する必要がないケースもあります。
都心・駅近にあるクリニック
いわゆる都会にあるクリニックには、駐車場は必要ありません。駐車場の分の土地を購入しても、ほとんどの患者様は車で来院されず公共交通機関を利用されます。
・ビジネス街にクリニックがある
・都心のビルにクリニックがある
・駅から近い、直結したビルにクリニックがある
こうしたクリニックには、駐車場が必要ありませんし、逆に交通の利便性を良さを活用する方が、集患に繋がります。
また、駅から徒歩で来院される患者様もいらっしゃいます。天候によっては通院がしづらい場合もあるので、1,2台の駐車場を用意したり、近くのコインパーキングと提携しておくと、さらに通院がしやすくなります。
駐車場が必要なクリニック
駐車場が必要なクリニックは「移動手段が車であるところ」です。生活に車が欠かせない、1世帯に1台ではなく、1人1台の車を所有しているところで開院する時には、駐車場で集患が大きく変わります。
地方都市
車を所有しているところといえば、都心より地方都市をイメージされます。最寄駅はあるものの、移動には車の方が便利という地方都市は多くあります。
人が多く住んでいる地方都市は、クリニックを経営するメリットもあるので、開院する土地探しの候補にもあがります。リサーチをしてどんな駐車場がいいのかを検討してください。
住宅地
地方都市は、ベットタウンでもあるので住宅地、団地として住宅が密集している場所では、どうしても車が必要になります。
車で行きやすいクリニック=駐車場に不安がないという印象になるので、集患がしやすくなり、初期投資の回収も早くなります。
好ましくない駐車場
クリニックの駐車場は「あればいい」というものではありません。利用される患者様の使いやすいさを考える必要があります。
患者様は駐車場の有無でクリニックを選びますが、不便を感じる駐車場のクリニックは「通院しづらい」と選ぶ対象から外される可能性があります。
入口が狭い
クリニックへの入口は狭かったり、縁石など障害物に当たりそうな入口は、車の運転に慣れている人でも「車を傷つけそうだな」と考えます。そうなれば、必然的に通院の対象が外れてしまいます。
また、交通量の多い道路から狭い入口のクリニックへ入るのは困難なので、行政などに縁石の除去について相談してみましょう。
障害物がある
駐車場内に木が植えてあったり、なんらかの障害物がある場合には、駐車場が狭く感じるので嫌がる患者様もいます。
なぜ狭く感じる駐車場が嫌なのか?スムーズに駐車をしたいけれど、上手くいかないこともあります。向きを変えたり、切り返しの都度、障害物が圧迫感を与えます。
駐車時のストレスは、誰もが避けたいところです。
シンボルツリーを植えたいという医師もいらっしゃいますが、植えることは問題ありませんが、植える位置や木の種類は慎重に選びましょう。
地下駐車場
駐車場で圧迫感を感じるのは、障害物だけではありません。地下駐車場も同じように圧迫を感じます。
駐車時に柱があること、天井が低いこと、これらも駐車時のストレスになります。
また、出入り口が坂であることも利用を避けたいと思う一因です。通行人との接触があれば「事故があった」と噂になってしまうことも通院は避けたいと考えます。
集患できる駐車場のポイント
ポイントが分かれば、いつでも集患できる駐車場にすることができます。
必要台数を考える
ただ広く駐車場を作ればいいとわけではありません。土地を確保するために購入するのも大変です。
必要台数を決めるためには、下記のような計算をします。
1時間に診察する患者数×2
この計算で算出した数字が、あなたのクリニックに必要な駐車場台数です。
1.5倍でもいいですが、駐車場内の動線が十分に取れない可能性があります。
必要台数を基準に駐車場の土地を探しましょう。
余剰分を考える
必要台数に対して「余剰分」が取れるとさらに安心できます。無駄に多くする必要はないのですが、必要台数だけ用意するより少し余裕があるほうが、圧迫なく利用してもらうことができます。
さらに考えてほしいポイント
駐車場の必要台数が決まれば、次に使いやすさを考えてください。
駐車内の動線
クリニックの駐車場内で混雑すると、身動きが取れなくなる場合があります。駐車場内でのトラブルは避けたいので、動線をつけておくといいです。
矢印で示したり、誘導できる案内を掲示しておくと患者様にも分かりやすく、トラブル時のクリニック側の対策にもなります。
スタッフスペース
患者様の駐車場とは別にスタッフの駐車スペースを確保しておく必要があります。
クリニック前の駐車場に、スタッフの駐車スペースまでを確保するのはこんなんです。
対策としては、クリニックの第二駐車場や、別に土地を借りてスタッフ専用駐車場とすることをオススメします。
駐輪場
意外と必要なるのが、駐輪場です。住宅地の中では、車より自転車の方が便利だと考える患者様もいます。
駐輪スペースが、駐車場の障害物にならない位置を考えて設置を考えてください。
患者様目線で考える
集患できる駐車場にするために忘れてはいけないのが「患者様の目線で考えること」です。
ただある駐車場と、患者様の立場になって考えた駐車場とでは、実際に利用した時に違いが分かります。
駐車場が停めやすく、ストレスを感じないというのは、体調の悪い患者様にとっても嬉しいものです。
駐車場に不安を感じないのも、クリニックへの好印象になるので、忘れずに取り入れていきましょう。
まとめ
今回は、集患できる駐車場について、ポイントをご紹介しました。
駐車場の使いやすさがよく、医師やスタッフの対応が良いと評判になり、集患数が急激に伸びる場合には、駐車場の数というより土地を借りて増やしていくことも必要になります。
そうした場合にも、患者様の目線で考えて増やしていきましょう。
駐車場の使いやすさは、確実にクリニックの評価に繋がります。
経営者として、しっかり考えて用意をしていきましょう。