経営者としてクリニックを成功させていくためには、勤務医として培った「診療」の技術に加え、「経営」や「広報」などの知識が必要になります。
インターネットやSNSが普及している現代では、検索すればすぐにヒントが見つかったり、コンサルに依頼をしたりすることもできます。
しかし、これらの情報がすべて正しいとは限りません。
情報を正しいのか見極めたり、コンサルが言っていることが本当に必要なことなのかを検討したりするためには、まず正しい知識を得ておく必要があります。
そこで今回は、これから開業を検討している方や、クリニックを経営している方に向けたクリニックの「経営」や「広報」などに関する本をご紹介します。
どの本も経営や広報をはじめ、クリニック経営者として役立つ情報が満載です。
クリニック経営を成功させるためのツールとして、参考にされてみて下さい。
クリニック開業の諸手続について学べる本
まずクリニック開業を思い立ったばかりの方へ、開業に関する諸手続について学べる本をご紹介します。
すでに開業されている方でも「事業計画を再検討したい」、「患者が集まらない」など、課題のある方にはお勧めです。
『クリニック開業を思い立ったら最初に読む本』
同書は、設計や事業計画、開業に関する諸手続がまとめられています。
クリニックを開業するにあたり、自身が提供する医療に基づいた医療機器やスタッフ、設備などを準備する必要があります。
そのため、資金調達や、その後の運営を決める事業計画が非常に重要となります。
同書では、クリニック開業にあたって押さえておくべき事業計画の立て方や、設計・建築、設備に関する情報が1冊にまとめられています。
また税理士・建築士・行政書士など、実際に現場での経験が豊富な専門家によって紹介されています。
開業を思い立ったばかりの方や、現在事業計画に疑問を持っている方へおすすめの本です。
『クリニック開業ロケットスタート戦略 ―開院3年でその後の開業医人生が決まる』
同書では、特にクリニックの「経営」について焦点が当てられています。
「開業してから3年目までに行うこと」、というように具体的に目標が設定されている1冊です。
経営マインドの身に着け方や、他院に差をつけるノウハウが実例をまじえ分かりやすく解説されています。
経営に関する知識が全くない方でも、実例を交えながら分かりやすくまとめられているので安心して読み進むことができますよ。
『50のしくじり事例に学ぶ 診療所開業ガイドブック』
同書では、クリニック開業や経営に関する失敗例や対策法を紹介・解説しています。
紹介されている内容は、建設や事業計画、資金調達、人事、医療機器導入などです。
どれも開業にあたって、必要不可欠な手続きやテクニックばかりです。
これらの50にのぼる失敗例が、対策法を交えながら紹介・解説されています。そのため開業前や、すでに開業されている方にも役立つ1冊です。
失敗例と正しい知識を知っておくことは、成長や発展に繋がります。
すでにクリニックを開業されている方は、当てはまる部分がないかチェックしてみるのも良さそうですね。
クリニック経営や税務の知識が学べる本
次は、クリニック経営の中でも「税務」に関して学べる本をご紹介します。
医局に勤務していると、どうしても経費や税務に関しては知識不足になりがちです。
開業を目指す方や、勤務医としても役立つ税務に関する本をご紹介します。
『勤務医・開業医が知っておきたい 病院の税務と経営管理』
同書では、業務や資金、税務に関する情報がまとめられています。
開業医の経費の定義や、確定申告方法などがイラストを交えながら詳しく解説されています。
そのため、税務の知識が全くない方にもイメージしやすい内容となっています。
いずれ開業を検討している勤務医や、クリニック経営者として知っておくべき税の知識、経営管理手法が学べる1冊です。
クリニックの広報について学べる
インターネットが普及している現在、インターネットを使用した情報収集が当たり前の時代になっています。
医療情報や病院検索に関しても、インターネットで検索をする人は増加傾向にあります。
そのため、クリニック経営においてもオフィシャルサイトを用いた広報活動が重要になってきています。
『クリニック広報戦略の教科書―自院のオフィシャルサイトを活用してGoogleに開業する』
同書では、医療広告ガイドライン(2018年6月改訂)の内容を踏まえながら、オフィシャルWebサイトの作り方や使い方が詳しく解説されています。
ホームページ作成業者は様々ありますが、自身で特色のあるオフィシャルサイトを開設・運用するメリットは多くあります。
具体的には、提供する医療に関するサイトを作成することで、他院と差別化を図れたり、低コストでサイトを解説・運用できたり、といったメリットがあげられます。
ただし満足のいくオフィシャルサイトが開設できたとしても、Googleに評価されなければ意味がありません。
すでにオフィシャルサイトを開設されている方の中でも、「検索上位にならない」、「来てもらいたい患者さんにサイトを閲覧してもらえない」などの課題がある方は、必見です。
地域医療連携について学ぶ
2025年問題(団塊の世代が後期高齢者になる年)まで、残すところ5年となりました。
国は新たに介護医療院を創設するなど、地域包括ケアを推し進めています。
開業を検討している方をはじめ、勤務医や医療や介護に携わる方は、地域包括ケアや地域医療連携について動向や今後の展望を知っておく必要があります。
そこで現在の地域包括ケアについて学べる本を紹介します。
『地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク』
同書の著者は、日本を代表する医療経済・政策学者である二木立氏です。
2018年度診療報酬・介護報酬改定に焦点を当て、現在の地域包括ケアや地域医療構想についてまとめられた1冊です。
地域包括ケアの話題では、他職種連携の重要性や、対象を拡大する重要性が記述されています。
また地域包括ケアにおける、ソーシャルワーカーの役割や期待を紹介しています。
そのほか、新設された介護医療院や地域包括ケアの今後についても論じられています。
開業を検討されている方をはじめ、医療や介護に携わっている方が、地域医療連携について詳しく学べる1冊です。
まとめ
いかがでしたか?
今回はクリニック開業を検討している方や、開業医へおすすめの本をご紹介しました。
開業医にとって、経営や政策動向、広報についての知識は必要不可欠です。
「どの本から読めばいいのか分からない」、「集患が思うように出来ていない」など、本をお探しの方や、課題を抱えている方は是非一度ご紹介した本を読むことをおすすめします。
今後のクリニック開業や、クリニック経営の参考にされてみて下さい。