誰もが訪れる場所であるクリニック。そのクリニックを選ぶ基準は、家が近い、院長先生が有名、口コミが良い、知り合いからの紹介など、理由はさまざまです。
ここでは開業時の最も重要な一つである集患対策について、ポイントを7つに絞ってお伝えしていきます。
1.集患は開業から3ヶ月間が重要
なぜ開業からの3ヶ月が重要であるか、それは「新しいこと」に価値があるからです。例えば近所に新しいレストランやヘアサロン、アパレルショップなどができたら、人はそれだけでどんなところなのかな?と、関心を持ちます。
新しいものに対する好奇心は期待感を生み出し、機会があれば行ってみようといった行動に繋がりやすいものです。
これはクリニックにおいても例外ではなく、同じ原理が働きます。もちろん、病気や怪我で訪れる場所なので、レストラン等に行くほどの気軽さはありませんが、目新しいという価値は確実にあります。
この価値は、当然ながら時間が経てば経つほどに薄れていきます。その効果が最も高いのが、開業から3ヶ月という期間というわけになります。積極的な集患対策はこの期間に行う必要があります。
また、この3ヶ月の期間中に開業時に出した広告等の効果測定をやっておくことも効果的です。この時期に来院するのは新患の方がほとんどなので、開業告知の広告効果が患者数に直結します。
3ヶ月間は窓口でアンケートをとり、クリニックを知ったきっかけや来院の動機などを調査すると良いでしょう。
2.開業時の内覧会は必要か否か
地域住民や関係者各位への事前お披露目の場として、内覧会を実施することが多くあります。その際に気をつけたいことが、「当たり前だから開催する」という理由になっていることです。きちんと目的を明確にして内覧会を開催することがとても重要となります。
内覧会を開催する最大の目的は、クリニックのPRです。初めて地域住民の方々と直接コミュニケーションをとれる機会ですので、少しでも良い印象を持ってもらう必要がありますよね。
表面的な華やかさや豪華さだけに気を取られず、「地域住民への認知」「口コミの誘発」「診療予約の獲得」などの何のためにやる施策なのか、目的意識を持って内覧会の内容を企画することが大切です。
3.長い時間を過ごす待合室は鍵となる
患者さんが、クリニックの中で最も長い時間を過ごすのは待合室である場合が多いです。待合室の印象は、そのままクリニック全体のイメージと直結すると言っても過言ではありません。
その中でも、待合室で一番重要となるのがソファーです。空間に占める割合の大きさもありますが、待ち時間の間ずっと座り続けることで印象に残りやすくなるからです。
デザイン性だけでなく、高齢者や足腰の弱い患者さんにとっても問題ないか、汚れは拭き取りやすくお手入れはしやすいか、といった観点からも確認するようにしましょう。
もう一つ、開業から時間が経つにつれて見落としがちになるのが、掲示板や壁に貼るポスターなどの掲示物です。長時間貼りっぱなしになったポスターは色が褪せ、汚れも目立ってきます。
これらも待合室の印象に大きく影響するものなので、定期的に掲示する物を見直して、常にフレッシュな印象を与えられるようにすることが必要です。
4.長い待ち時間をどのように対策するか
患者さんが抱く医療機関への不満の中で上位にあるのが長い待ち時間です。待ち時間を短くする方法と待つ時間のストレスを軽減させる方法の2つのアプローチを考えることが重要です。
待ち時間を短くする方法としてまず取り組むべきことは、患者さんの時間による偏りを減らす工夫です。受付からの告知や、クリニック内の掲示板で空いている時間を知らせるだけでも有効です。
また、診療終了時に次回予約をするように患者さんに促したり、更には診療予約システムを導入することを検討するのもよいでしょう。
待つ時間のストレスを軽減させる方法としては、簡単に実施できる効果的な対策としてスタッフから患者さんへの声かけがあります。「あと何分くらいお待ちいただけますか?」「何番目にお呼びしますね」などを伝えるだけでも待ち時間のストレスは軽減されます。
5.患者さんが行きたいと感じるホームページになっているか?
クリニックに来院するきっかけは、広告を見てであったり、家族や知人からの紹介であったりと様々ですが、最近では、どのようなきっかけであってもインターネットで調べてから来院するケースが非常に多くなっています。
そのため、ホームページを見た時にここで治療してもらうのはやめた方が良いかもしれないと思い、見込患者さんが離脱してしまうことも多くあります。
ホームページを見て来院をやめてしまう理由で一番多いのが「ホームページが明らかに古臭い」ことです。理由としては、このクリニックはホームページが古くて更新されていないので、使っている機器も古いまま更新されていなく、きちんとした治療が受けられないかもしれないと思ってしまうためです。
クリニックの顔となるホームページですので、店舗同様に力を入れて取り組みましょう。
6.外部要因と内部要因を切り分けて考える
患者数が減ってきたときの原因が、外部要因と内部要因では対策が全く異なってくるので、冷静に分けて考えることが重要です。
外部要因で挙げられる例としては、競合クリニックのオープンや、道路事情の変化、周辺地域の人口構成の変動などが挙げられます。まずは、これらの変化を敏感にキャッチすることが必要となり、その上で対策をとります。
例えば、競合クリニックの特長が院長の若さだった場合、自院のホームページを経験や信頼感を全面に出して差別化させたりと具体策が考えられます。
一方、内部要因はクリニックで提供しているサービスの質に関することになります。改善できる所から速やかに対処していくことが重要です。
例えば、患者さんに対する接遇などは、すぐに見直すことができるポイントです。気持ちの良い対応をしているか、上から目線で話しかけてないか、等のチェックは定期的にスタッフ同士で確認しましょう。
7.近所に競合クリニックが開業したときの対策
クリニックの経営をするなかでできれば遭遇したくないシチュエーションですが、この機会に今まで気づいていなかった自院の経営課題を明らかにして、本質的に改善していくためのキッカケと考え、腰を据えて行動しましょう。
競合のクリニックが何を強みとしているのかきちんと把握し、その上で自院が対抗していくポイントを探ることが必要です。
情報収集の手段としては、製薬会社のMRや医療機器メーカーの営業などの複数のクリニックに出入りしている取引業者から聞き出せることも多くあります。
もちろん自院に通う患者さんたちも貴重な情報源です。受付や診察室での会話の中でそれとなく尋ねてみるのも有効でしょう。
8.まとめ
開業前から、そして開業後もずっと課題となりやすい集患について。常に現状と原因を明らかにして対策をしていくことが大切です。患者さんに末永く愛されるクリニックをつくりあげてくださいね。