クリニックの問題として挙げられる一つに「待ち時間」があります。
ある程度待つことを想定して患者様もいらっしゃいますが、予想してたより長い時間待っていると、どうしてもイライラされます。
こうした待ち時間を緩和するために、オンライ予約を導入するクリニックが増えています。来院せずに自宅から診察の予約を取ることで待ち時間を予測することができます。
非常に便利なシステムですが、待ち時間をゼロにするには至っていません。
また、システムの導入によっても賛否両論あります。
そこで今回は、オンライン予約によるメリット・デメリットをご紹介します。
今後、導入を考えているクリニックについては、クリニック側からの目線で見るオンライン予約について参考にしてください。
クリニックのオンライン予約とは
クリニックにおけるオンライン予約とは、診察の予約を指します。治療・リハビリ・検査については、医師の判断によるのでオンラインで予約を取ることはオススメできません。
システムについては、各種メーカーで開発されているので、ご希望に合うものを選ぶことができます。
オンライン予約の中でできることは、以下のようなことができます。
・診察の順番
・診察の進行状況
・予約のキャンセル・変更
これだけのことがオンライン上でできます。
患者様から見るオンライン予約の評価
患者様から側から見るオンライン予約とは、どんなものでしょうか？
自宅にいながら、クリニックの予約が取れて診察の進行状況が変わるので、来院する時間の目安ができます。
こうしたメリットを全ての患者様が感じているかといえば、やはりそうではありません。
オンラインのシステムに慣れていない患者様にとっては、予約を取るまでに一苦労です。
そもそも、クリニックがオンライン予約を開始したことを知らないという患者様もいるようです。
認知してもらうにも時間がかかるようです。
クリニックの診療科によって患者様の年齢層が違いますが、現段階では、オンライン予約を難しいと感じている声の方が多いようです。
クリニック側から見たオンライン予約のメリット
クリニック側から見たオンライン予約には、どんなメリットがあるのでしょうか？
導入することで待ち時間をはじめとする問題が、どれくらい解消できるのかがポイントです。
受付業務が軽減される
受付の業務を軽減することができます。
例えば、これまで電話で予約受付をしていたなら、電話の回数が減ります。いつも話中でつながらないという苦情を減らすことができます。
窓口、電話、どちらの予約でも、他の患者様をお待たせすることが減ります。
電子カルテと連携することができる
オンライン予約が入ることで、カルテIDに基づいてリストができるので、カルテを準備する必要がありません。
電子カルテでも名前検索をしてカルテを準備する必要があります。短い時間ですが、この時間すら忙しい時にはストレスです。
自動で用意されることでカルテを間違えるということもありません。
診察を分散させることができる
クリニックの待ち時間が発生する原因の一つとして、来院時間が集中しやすいことです。
・月曜日の朝一
・受付終了間際
曜日や時間によって、来院が集中しやすい時間帯があります。この時間に重なった患者様は通常より待つ時間が長くなるため、クレームとなりやすいです。
オンライン予約では、あらかじめ時間枠で予約できる人数が決められています。もしくは、先着順で順番が決まります。
混雑を避けることができるようになれば、患者様のクレームを減らすことができます。
飛び込み来院の削減
飛び込み来院とは、予約なしで来院される患者様のことをいいます。
予約の患者様が優先されるので、待ち時間が長くなることを了承していただいた上で、診察の順番に入れることになります。
飛び込み来院が削減すると患者様をお待たせすることが減りますし、スタッフの働き方としても終わりが分かりやすいです。
患者様を獲得しやすい
オンライン予約は、窓口で取ることもできます。
例えば、定期的に診察をされる患者様は会計時、支払い後に予約して行くことができます。また、電話での問い合わせにも対応することができます。
こうした再来院の患者様にとっては、スムーズに次の診察が決まるので非常に便利です。
新規の患者様にとっては、ホームページで調べてから来院されるケースが多いので、ホームページからの流入で予約を取ることができるのは他に患者様が流れないようになります。
こうした流れでオンライン予約を活用することで、患者様にとっても便利さを実感してもらうことができます。
クリニック側から見たオンライン予約のデメリット
オンライン予約のデメリットはどんなところにあるのでしょうか？
予約時間通りに診察ができない
予約を取ったのに、予約通りに診察が受けられない。普通に考えると、クレームになる話です。
しかし、クリニックの診察では、一人一人の対応が違います。新規の患者様であれば医師との対話時間が長くなります。ここを機械的に時間を切って終わらせればクレームになります。
つまり、話が長くなることでその後の診察時間は遅れるので、結果、患者様をお待たせすることになります。
連絡なしの予約のキャンセル
一度予約を入れたのにも関わらず、来院されないというケースがあります。
何らかの理由で来院されないのですが、やはりクリニック側としては困ります。
オンライン予約のやり方と一緒に、変更やキャンセルの操作についてもご案内しておくと、次回よりスムーズな予約診療をすることができます。
思うように予約の分散がされない
クリニック側としては、平均的に患者様の予約が入ることが理想です。
けれど、思うように分散されないのが現状です。
予約が多く忙しい時間帯もあれば、予約の少ない時間帯もあります。
混雑を避けるための予約枠も、本来の意味を持たなくなるのは残念です。
患者様が減る
どうしてもオンライン予約に抵抗を感じる患者様は一定数いらっしゃいます。
・操作が分からない
・予約したのに入っていなかった
こうした苦い経験をされると、無意識に抵抗するようになり別のクリニックを探す患者様がいます。
その傾向は高齢者様に多くみられるので、内科・整形外科など高齢者の患者様が多い診療科のクリニックでは、導入する際にさまざまなシミュレーションをして検討することをオススメします。
待ち時間の問題は導入だけでは解消されない
オンライン予約のメリット・デメリットを検証してみると、システムを導入するだけでは、待ち時間問題は解消されないようです。
・予約が集中しやすい
・診察時間は時間が読めない
クリニックでは、当日でないと分からないことが多くあります。規則正しい診察をすることは非常に難しいです。
・予約を分散させる工夫
・状況に応じて予約枠の人数を変える
スムーズな診察はクリニック側だけでなく、患者様も望むことです。システムをうまく活かせる工夫を考える必要はあるようです。
まとめ
オンライン予約のメリット・デメリットについてご紹介しました。
よりスムーズな診察になるように導入されるクリニックがほとんどですが、現実は「待ち時間の解消」とは言えないようです。
けれど、最大のメリットは、飛び込みで受診を希望する患者様が減ることです。近年の働き方改革にあるように規定を超える残業時間は就労規則に違反します。終わりが見えない働き方に辞めていくスタッフも多くいます。
スタッフが安心して働ける環境を提供できるのはクリニックとしても強みになります。良いスタッフを確保しておくためにはオンライン予約は良いシステムだといえます。
導入することで効率良く活用できるように、スタッフと検討してください。
