企業のようにクリニックでも在庫管理が必要です。
貴院ではしっかりできていますか?
医薬品、衛生用品の在庫管理は、確保しておくことも大事ですし、その取り扱いにも十分注意が必要となります。
ただ使用できる品物を切らさなければいいというものではありません。この在庫管理によって、クリニックの経営状況が分かります。保管の仕方や扱いにも人柄がでます。
そこで今回は、クリニックにおける在庫管理のポイントをご紹介します。
在庫管理をするメリット
クリニックには様々な医薬品と衛生用品があります。今は電子カルテが主流なので紙カルテの在庫は必要ありませんが、紙カルテを採用しているところでは用紙の在庫管理も必要になります。
では実際に在庫管理することで、こんなメリットを生み出します。
医薬品・衛生用品が把握できる
医薬品・衛生用品ともに、使用しているものが大きく変更されることはほとんどありませんが、取り扱っているものを全て把握しているかといえば、そうともいえません。
「必要かも?」と仕入れてそのまま使用期限が来たということもあります。
在庫管理はただ数を把握するだけでなく、名称を覚え、用途を知っておくためにも役に立ちます。
在庫のコントロールができる
診療科、治療方法によって取り扱う物は違います。
例えば、内科で大腸カメラの検査を行うクリニックなら、検査前の投与薬、検査時の麻酔、止血剤、検査時に着用する使い捨ての検査着など、カメラ検査に必要となる医薬品と衛生用品の在庫は多くなります。
逆に、大腸カメラの検査をしない内科では、検査に関する品物は不要となるので在庫として持つ必要がありません。
医薬品の中では、使用頻度の高いもの、低いものがあります。
つまり、在庫を均一に持つ必要はありません。使用頻度が高ければ在庫を増やし、低いと分かれば在庫を増やさないように、きちんと使いきれるように管理していきます。
こうしたコントロールができるのも、普段から在庫管理をしているからです。
整理整頓がされる
そもそも医薬品と衛生用品は管理が難しいです。気温など保管方法が特殊なケースもありますし、扱える職種も問われます。
そのため、クリニックの在庫管理は看護師が行なっているところがほとんどです。
そもそもの取り扱いが難しいので、きちんと整理整頓がされています。
正しく在庫の数を知っておくこと、確認するためには、保管室にて整理整頓されていることが必要です。汚れやホコリもなくなります。院内だけでなく、保管室も綺麗に保つことができます。
正しい在庫管理を始めるためにやっておくこと
在庫管理をきちんと行うためには、職場の環境や考え方を知っておく必要があります。
ただ業務の一つだからといって、いい加減な気持ちがされていたら、クリニックの経営を伸ばしていくことは難しいです。
基本となる5つのことをご紹介します。
整理する
保管室の整理をします。ここでいう整理とは、室内における必要なものと不要なものを分けることです。
まずは、不要なものを排除してスペースを作るところから始めます。必要と不要の判断がスタッフだけではつけられないということであれば、最初は院長が立ち会いましょう。そうすることで、基準が分かるようになります。
基準が分かれば、作業が始められますし、それでも悩むものだけを後ほど確認するというルールを作れば効率もよくなります。
整頓
整頓は、収納を意味します。不要なものを捨てることでスペースができますから、以前より収納が楽になります。
この時のポイントは、
・見やすい
・取り出しやすい
・場所が覚えやすい
こうした使う人の立場で考えていくと、間違えも防ぐことができます。
清掃
ゴミと汚れは大敵です。定期的な掃除を心がけましょう。
クリニックでは、汚れた衛生用品は一切使えません。こうしたことを踏まえて在庫管理ができるようになると、より綺麗に保とうという意識も芽生えるので、スタッフの取り扱いも変わってくるはずです。
清潔
清掃にも似ていますが、清潔な環境を維持することが大事です。温度管理、日光に当たらないなど取り扱いがデリケートですから、清潔な空間を保ち続けることが大事です。
それぞれのスタッフが取り扱いを理解することで、清潔な空間の保ち方の方法を学んでいくので、管理不十分で使えないという状況はなくなります。
スタッフへの指導
実際に在庫管理するのは、看護師がほとんどです。そのため、事務スタッフの中には、取り扱いを知らずに、放置している可能性もあります。
「知らなかった」という一言で高額な医薬品を無駄にしていたら、クリニックの経営はうまくいきません。
在庫管理するスタッフだけでなく、全スタッフに対して取り扱いの指導をしておくと、失敗は減ります。
まずはこうした基礎の部分を徹底的に覚えてもらいましょう。
在庫管理で利益を考える
在庫管理では、定期的に「棚卸し」と呼ばれる作業で在庫を管理します。
工場のような大きなところであれば、1日かけて全従業員でやることもあります。
しかし、クリニックの場合は取扱者が限られるので、できるスタッフで定期的に行う方が効率がいいです。
在庫管理からクリニックの利益を考えるために、一番大事なことは「帳簿と実際の数が合うこと」です。
一つでも合わない時は、原因を考えて明確にしてください。
クリニックの利益は、売上高から売上原価を引くことで計上できます。医療材料の場合、診療報酬の点数に含まれてしまうので、通常の計算とは誤差が出るかもしれません。
それでも、売上にあった使用頻度、在庫数でクリニック経営ができているかが分かります。
上手な在庫管理のポイント
棚卸しの時期に焦らないように、日頃の管理が大切です。
ここでは上手な在庫管理のポイントをご紹介します。
まずは、ルールを作ります。
ただ入れて出してという作業をしていると在庫が合わない確率は高くなっていきます。
仕入れ時の管理
品物を発注して納品されたら、伝票と品物の検品を行なってください。ここで違った場合、合わない時の原因を追求することは難しいです。
そして、帳簿に入荷の内容を入力してください。
さらには、使用期限が近いものから使えるように収納にも工夫をしておきたいです。
保管はそれぞれに決められた方法で
保管については品物によって違う場合は、それぞれの場所へ保管をしてください。温度管理が必要な物は、早めに作業を終えて収納するようにしてください。
常温でいいものは、それぞれの所定の位置に収納してください。
この時に注意したいのは、名称や単位数の違いに注意してください。医療ミスの原因になります。また、ラベルに変更があった場合も医師とスタッフに報告してください。現場での戸惑いは、患者様を不安にさせます。
使用したら帳簿に入力する
使用時は帳簿への入力を忘れないでください。管理にうるさい医薬品は数が合わないと大問題になります。
また、発注時に帳簿の数を参考にしている場合には、実際の数と違うので在庫を多く抱えてしまう原因にもなります。使用したら速やかに入力してもらうように徹底しましょう。
まとめ
在庫管理を通して、クリニックの経営を考えてみました。
患者様の対応や治療を支える医薬品、衛生用品というのは、本来裏方なのであって当たり前のようにも捉えがちです。
しかし、一つ見方を変えるだけでクリニックの利益にも影響があり、管理が必要なものだということが分かります。
管理が甘いなと思った場合には、少しでも早く取り組むことをオススメします。
なぜなら、溜まるほどに地味で面倒な作業だからです。