どんなにクリニックを良くしようとしても、患者様からクレームは届きます。
それは、医師やスタッフに努力が足りないというよりは、万人に良いと言われることがないからです。
だからこそ、クレームにビビって、何もできなくなるよりは「次に活かそう」と考えて、クリニックがさらに良くなるように見直すきっかけにすることが必要です。
今回は、患者様から多く挙げられるクレームの事例と、そのクレームの活かし方をご紹介します。
患者様のクレームや不満はなくならない
クリニックもサービス業の一つですから、対応や薬や支払いなど患者様からクレームが挙がります。
クレーム内容は様々ですが、どんなに頑張ってもクレームをゼロにすることは難しいです。
患者様一人一人の考え方、受け取り方が違う
実際に、クレームをゼロに近づける努力はできたとしても、ゼロにならない理由は「一人一人の考え方、受取り方が違う」からです。
どんなに丁寧な対応をしても、何かしら気に入らない、話が違うと、勘違いをさせてしまったり、不安に思うことへの解答がもらえないと不満をぶちまける患者様もいらっしゃいます。
主なクレームの種類
では、実際にどんな状況や対応に対して、患者様はクレームを言われるのでしょうか?
良く聞かれるクレームの種類をご紹介します。
待ち時間について
最も多いクレームとして挙げられるのは「待ち時間」です。
治療内容や診察によって患者様に対応する時間は大きく変わります。また、繁忙期となれば通常の待ち時間より長く待っていただくこともあります。
体調を崩していたり、不安を感じている患者様にとって待ち時間は、永遠にも感じます。緊急性がある患者様を優先する場合「先に待っていたのに」と、不安が不満へと変わりクレームとなります。
予約制にしたり、車で待っていただくなど、クリニック側も対応を考えているのは承知の上ですが、待ち時間問題を解消するのは非常に難しいです。
保険証の確認
保険診療をする上で、確認が必要になるのが保険証です。月に一回、毎回確認とクリニックによって対応が分かれますが、必ず確認が必要です。
これは、クリニックの報酬に関わることなので、内容が変わっていなくても確認したいことです。保険証の資格がない場合は、国保・社保ともに請求をしても返戻されてしまいます。
しかし、患者様には、保険証の重要性をあまり理解されていない方もいらっしゃいます。そのため、変わりもしない保険証を何度も確認することを面倒に感じる方がいらっしゃるのです。この場合は、確認を促すように掲示をしておくことも一つの解決策です。
医師が話を聞いてくれない
患者様は何より医師と話したくて来院されます。とにかく痛みや不安が解消するようにしてほしくて来院されます。
重要なことはもちろん質問しますし、必要であれば検査も実施します。しかし、その時間が短いことに不満を漏らす患者様もいらっしゃいます。
症状に合わせて生活でのアドバイスをしたり、ためになる話をして気持ちよく診察が追われるような小話を用意しておくと、患者様の印象も変わります。
スタッフが冷たい
距離が近すぎることも問題ですが、事務的な対応であったり、話し方が冷たかったり、語尾がきつい時には、すぐに苦情として挙げられます。
このケースの場合、医師や別のスタッフに話すケースがほとんどです。
「〇〇さんは、話し方が冷たい。けど△△さんは優しい」と、こんな感じでクレームとして話すというよりは、愚痴を聞いてもらう感覚で話されます。
このケースの特徴としては、受付、看護師へのクレームが多いことです。単独で注意をするより、接遇マナーとして全スタッフへの指導として対応することが最前です。それでも開園されない時には、初めて単独で注意をしてください。
ここの対応を間違えると、離職するスタッフが出てきます。ひどい場合には集団で離職する可能性もあります。別の問題へと発展させないことも必要です。
電話が繋がらない
クリニックに行くまでもない、ちょっと聞きたいことがあるなど、クリニックへ電話をする患者様がいらっしゃいます。
思いがけず話が長くなるケースもあります。その場合「何度かけても電話が繋がらない」と、クレームになります。電話で予約を取っているクリニックにおいては多いのではないでしょうか?
丁寧な対応が大前提ですが、あまりに長くなりそうな時は医師に相談して、クリニックでの電話対応についてマニュアルを作るなど対応を考える必要があります。
クレームへの対応
クレーム対応といっても、それぞれに内容が違いますし対応の仕方も様々です。
ここでは、クレーム対応への全体の流れをご紹介します。
何より状況確認
まずは、状況を確認する必要があります。
・日時の確認
・対応したスタッフ
・院内のどこで起きたのか
・会話のやりとりを確認
・最終的にどうなったのか
このように時系列と対応した内容をスタッフから聞き出します。また、聞けるような状況であれば患者様からのお話も聞いておきましょう。
ここまでする必要があるのは「クリニック側に非があるのか?」を確認するためです。
なんでも謝っておけばいいと対応していると、クレーマーとなり今後のクリニック経営に影響するケースがあるからです。
クレームですから真摯に受け止める必要はありますが、謝罪するのかは別問題ですので、スタッフに周知しておきましょう。
非があれば謝罪
クレームとなった状況を把握して、クリニック側に非があったことがわかりましたら、誠意を持って謝罪をしてください。謝罪をして、改善策についてもお話してください。
患者様も喧嘩がしたいわけではありませんから、ゆっくり誠意を持って謝罪したり対応をすれば理解が得られます。
改善策を提案して理解を求める
謝罪については非がある場合になりますが、非がなくても改善策は考える必要があります。
今回起きたことに対して、今後繰り返さないように改善策を伝え、理解を求めましょう。
謝罪しない場合の対応については、大きな問題にならないように、コンサルに相談することをオススメします。
クレーム後の対応
クレーム後の対応として、クリニック内での対応についてもご紹介します。
記録として残す
きちんと記録に残しておきます。当事者に状況を確認したように、クレームとなってしまった状況を繰り返さないためでもあります。
こうした書類を作成して残すことに「責められているよう」と、誤解するスタッフもいます。決してそうではないことを、きちんと伝えてください。
医師、スタッフで情報を共有する
報告書の作成ができたら、医師が確認してその後、全スタッフに情報を共有してもらいます。今回は別のスタッフだったことも、いつか自分にも同じようなことが起こるかもしれない、その時に対応ができるように、みんなで助け合えるように共有して周知してもらう必要があります。
患者様にフィードバックする
スーパーなどでお客様の声に対する改善案が掲示されることがあります。どんな小さなクレームであっても丁寧に解答することで、消費者から信頼を得ています。
クリニックでは、あまりないケースですが、待合室などに掲示して患者様にフィードバックするのも一つの解決策です。個人名や本人を特定するような部分を除いて、クリニックからの改善策を伝えましょう。
丁寧な対応こそ、選ばれるクリニックとなる一つの方法です。
まとめ
今回は、患者様のクレームの種類や対応の仕方、そしてさらにクリニックをよくする方法についてご紹介しました。
今回の方法は、多くの患者様を納得させるのは難しいかもしれませんが、当事者となった患者様には誠意が伝わると思います。一人の患者様を満足させることで、良い口コミに繋がりますし「スタッフの対応がいいクリニック」としても認知してもらえます。
クレームが出ることは辛いですが、長く経営を続けるための通過点だと思い、今後も丁寧に対応していきましょう。