医師だから、開業すれば儲かるのかといえば、そうではありません。
きちんとした計画と戦略がなければ、開業してもクリニック経営で成功を収めることはできません。
では、実際に何をすれば儲かるのかといえば、知らないことばかりですから、コンサルタント、建設会社、医薬品メーカーといった、事情が分かる人たちに頼るのが一番です!
今回は、開業までのプロセスについて、どんなことを考え、打ち合わせをしていくのか?また、誰に頼るべきなのかをご紹介します。
開業をするなら、誰に頼るのか?
開業するとなれば、一人で進めて行くことは非常に難しいです。経営、建物、融資、人事など様々なことに対応しなくてはいけません。これだけのことを一人で行って、失敗するぐらいなら、誰かに頼って成功した方がいいと思いませんか?
実際にどんな人たちに相談をして頼っていくのか、頼るべき人たちをご紹介します。
医療コンサルタント
クリニックの経営、事業継承など、医療に関するコンサルを専門とするコンサルタントがいます。コンサルタントなら誰でもいいわけではありません。
クリニック開業に関する知識があり、これまでに実績があるコンサルタントに依頼することで、融資をお願いする金融機関の選び方がわかりますし、開業の返済や収益について数字で考える戦略を立てることができます。
建設会社
コンサルタントとは違った角度から、クリニック経営のアドバイスや建設会社ならではの強みがあります。
例えば、開業を考える地域において土地情報や地域性など、将来的にどんな発展が望めるのかを知ることができます。
また、医療施設をメインとする建設会社に相談をすれば、これまでの実績からより良い動線作りや、患者様のお困りごと解決するアドバイスをもらうことができます。
医薬品メーカー
様々なクリニックと付き合いのある医薬品メーカーには、携わっているクリニックのリアルな情報を聞くことができます。
コンサルや建設会社と違い、現場に近い立場からの意見は貴重です。
また、今後の付き合っていくことになりますから、営業マンを見極めるチャンスでもあります。
クリニック経営はリサーチで決まる
それぞれに頼るポイントや選び方はありますが、一つ決め手となることがあります。
それは、マーケティングを知り、エビデンスが取れた情報を提供してくれることです。
どんなに経験があっても、情報が古かったり、ネットで調べただけの情報では、クリニック経営が上手くいくとは思えません。
非常に大切なことなので、選定していくためのポイントは事前に抑えておきましょう。
リサーチは徹底的に
マーケティング戦略を決めるためには、リサーチが非常に重要になります。
これからご自身が開業するクリニックが、どこの地域で、どんな世代に需要があり、しっかりと集患でき、収益を上げていくことができるのかを見極める判断材料になります。
リサーチが上手くいかなければ、開業後のクリニック経営に響くので、必要であれば繰り返し行うことも視野に入れておきましょう。
開業までの8のプロセス
では、具体的に開業までのプロセスをご紹介していきます。
どのプロセスにも、ご自身の考えや理想、クリニックへの思いが問われます。参考にしてコンサルタントなど、関係者に伝えられるようにしておくと、話をスムーズに進めていくことができます。
コンセプト
これは、医師であるあなたへのリサーチともいえます。
・土地を所有しているか
・建設希望地
・開業時期
・標榜する診療科
・診療時間
難しいことは考えずに、ご自身の思うままに伝えてください。
土地探し
開業する場所は、どんなクリニックにしたいのかによって、大きく変わります。また、開業を機に、新天地や郷里へと移住される方もいらっしゃいます。勤め先に近い地域を選んでも、その土地の習慣や人間性まで分からないものです。
土地探しについては、リサーチ力が試されるところでもあります。コンサルタントや建設会社のどちらにも意見を聞いてみるのは、とても重要なことです。
さらには、現地に足を運んで実際にどんな場所なのか、ご自身の目で確認することをオススメします。
周辺調査
土地探しとも重なりますが、クリニックに来院が見込まれる患者様がどれくらいいるのか、また、周辺に同じようなクリニックの有無について調査していきます。
交通量や、公共機関、など様々なデータから、クリニック経営が成り立っていくのかを考えていきます。
事業収支
周辺調査からクリニック経営に向けての数字が明確になっていきます。
開業後に期待される事情収支の概算から、クリニックでできることを考えます。ここでいうできることとは「診療内容」を指しています。様々な検査や治療をやりたいと思っても、開業後に初期投資が回収できなければ、クリニック経営はいつまでも赤字になってしまいます。
つまり、クリニックの規模が決まることで、初期投資に必要な金額も決まるのです。
設計・インテリア・医療機器・設備
土地以外にも初期投資に必要なものがあります。
クリニックの顔とも言える建物の設計、イメージに合わせたインテリアや内装、さらにはクリニックの規模に合わせて、医療機器と設備について決めていきます。
ここでは、予算の問題はありますが、ご自身の納得がいくまでそれぞれの専門家と打ち合わせを繰り返すことが必要です。
開業をすれば、1日の大半をクリニックで過ごすことになります。少しでも居心地が悪いと感じれば、ご自身の気分が悪いだけでなく、来院される患者様にも伝わってしまい、居心地の悪いクリニックになってしまいます。
アドバイスが聞きながら、ご自身でも情報を集め希望することを、きちんと伝えられるようにしておきましょう。
初期投資・事業計画
ここまでのプロセスで、おおよその初期投資費用が分かってきます。一括で支払いができる金額ではありませんから、銀行からの融資を考えなくてはいけません。
融資を借りるためには、事業計画書の作成が必要となりますが、これが一筋縄にはいきません。どうしたら銀行がお金を貸してくれるのか、どこの銀行なら融資の話を聞いてくれるのか、専門家に依頼をしましょう。
契約・建設工事
融資先が決まり契約をする、そして設計で合意に達したら、こちらも契約となり、いよいよ建物の建設が始まります。
まだ気は抜けませんが、具体的に物事が動き出すので、少し緊張もほぐれてくる頃です。
スタッフの募集と内覧会
開業日に合わせた段取りが進み始めたら、スタッフの募集を始めます。こちらは、募集案内や窓口となってくれる業者を頼りに、募集のあった方々の面接をします。
実績や経験も必要ですが、人柄を見て、クリニックですから清潔感など、様々な角度から「一緒に働きたい」と思う人材を集めましょう。
4.開業に必要なプロセス
開業までのプロセスに合わせて、開業後に必要となるプロセスをご紹介します。
建物のメンテナンス
長く付き合う建物を維持していくためには、定期的なメンテナンスが必要になります。
見た目的には分からないことでもきちんと機能しているのか、また壁や外壁など汚れなども建物の老朽化を早める原因になるので、必要であれば工事を依頼しましょう。
経営コンセル
開業までのコンサルだけでなく、クリニック経営を軌道に乗せていくためには、やはり専門家に頼るのが一番です。
「頼るまでに成長していない」と考えがちですが、それは違います。「できないから、経営のことは分からないから頼る」という思考でコンサルを依頼できると、ご自身の負担を減らすことも可能です。
5.まとめ
どのプロセスにも、専門家や業者への依頼が必要となります。
「開業できればいい」という考えから、全てを任せてしまうのは後悔することになります。
長く付き合っていく、お金を借りれ返済していく、これらは医師であるご自身が今後していくことです。
他の誰でもない、あなた自身が納得するものでなければ、負担に感じるだけで辛いものになります。
勤務医を続けながらの準備は非常に大変ですが、少しでも関わりが持てるように打ち合わせの日程を調整したり、現地に出向くなどしていきましょう。