クレジットカード、電子マネーなど、現金以外の支払い方法が急速に伸びています。
医療機関でもクレジットカードの導入が進んでおり、支払い時に質問されるクリニックも多いのではないでしょうか?
しかし、導入が増えている反面、100%普及しているかといえば、そうではありません。便利なものでありながら、導入を考えていないクリニックが多いという現状もあります。
今回は、クリニックでクレジットカードを導入するのは有りなのか?また、導入した方が集患できる診療科はどれかのか?
これらを検証していきます。
クレジットカードは病院での導入が多い
私たちは、生活の中でクレジットカードを利用する機会が多くあります。
お店での買い物はもちろん、近年ではコロナウイルスの影響もあり、ネットでの商品購入が圧倒的に増えています。手軽にネットで買い物ができるのは、クレジットカードが利用できるからです。
手軽に支払いができるなら「医療機関でもクレジットカードで支払いたい」という声も少なくありません。
日本では、2010年に総務省が国立病院や国立大学病院を対象にしてクレジットカードでの支払いができるように、呼びかけが始まりました。そのため、先に病院での導入が始まったので、導入しているのも病院の方が多いのです。
こうした経緯があり、いまでは限られた病院だけでなくクリニックでもクレジットカードによる支払いが可能となりました。
クリニックは一部に限られる
クレジットカードでの支払いを導入しているクリニックは増えてはいますが、全てのクリニックで導入されているかといえば、100%ではありません。
新規開業のクリニックであっても、クレジットカードの導入を考えているのは、一部のクリニックに限られます。
クリニックでクレジットカードの導入が少ない理由
買い物では便利なクレジットカードですが、クリニックで導入が進まないのはなぜでしょうか?導入が進まない3つの理由をご紹介します。
支払い金額が少額である
クレジットカードを利用するシチュエーションとしては、高額の物を購入する時や手持ちがない時なのではないでしょうか?
クリニックの支払いは、診察と治療を合わせてもほとんどの場合、1万円以内に収まります。さらに、患者様においても通院されていれば、金額に変動はほとんどないので、治療費を見越してお金を用意してきます。逆にいえば、クレジットカードを使うまでもない金額でもあります。
手数料負担が負担になる
クレジットカードを利用する側にいると気づきにくいですが、クレジットカード会社に支払いを請求する場合、手数料が発生します。つまり売上の一部から手数料が引かれてしまうので、減額になります。
例えば、手数料を払って負担に感じないほどに、売上があればクレジットカードでの支払いにはクリニック側にもメリットがあります。
しかし、クリニックの支払いが少額であれば、手数料を引かれることにメリットは感じられません。
窓口で手数料の負担なく、現金で支払いをお願いする方が確実に売上となります。
集患する魅力にはならない
日々の生活全ての支払いをクレジットカードとしている人、ポイントがもらえるから使いたい人、患者様の立場になるとクレジットカードでの支払いにはメリットがあります。
しかし、クレジットカードが使えるからと、クリニックを選ぶ患者様はまだまだ少ないです。むしろ、クレジットカードで支払えることを知らない患者様の方が圧倒的に多いのです。
現時点では、クレジットカードでの集患は期待できないので、導入を見送るという考える医師の方が多いです。
クレジットカードの導入メリットがあるケース
一部とはいえ、クレジットカードを導入しているクリニックがあります。
では、どんなところに導入するとメリットがあるのでしょうか?
高額な請求が多い
診療点数において、高額点数を算定しているクリニックでは、クレジットカードを導入するメリットがあります。
高額点数と言えるのは、主にこちらです。
・手術と扱われる治療
・CT、MRIの撮影
上記の二つは、特に点数が高いので、3割負担でも1万円以上の支払いが発生する可能性が高くなるので、事前に高額になることを伝えたり、クレジットカードが使えることを説明しておくと、患者様も安心して治療を受け入れられます。
自由診療で診察・治療をしている
クリニックにおける診察や治療が保険診療だけとは限りません。メインは保険診療であっても、一部の治療に対しては自由診療としているクリニックもあります。
こうしたケースの場合、普段は現金で支払いをしている患者様も、自由診療の対象となる治療の支払いについてはクレジットカードを希望されることがあります。
自由診療での治療を事前に予約している場合なら、現金での支払いが可能です。しかし、突発的な場合、未収金とあるよりはクレジットカードで決済をした方が安心な場合もあります。
クレジットカードの導入が多い診療科
クリニックで、クレジットカードの導入が多い診療科を紹介します。どんな治療に対してメリットがあるのか参考にしてください。
産科・婦人科
クリニックでお産や手術を行う産科・婦人科では、高額になるためクレジットカードを導入しているところが増えています。
特にお産については、自然分娩の場合は自由診療となるので、平均して50万円の負担になるので患者様にとっては、負担が大きくなります。
消化器内科
消化器内科では、保険診療の枠内で高額となる場合があります。
胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査が、高額の対象となります。
全ての内視鏡検査が高額になるわけではありませんが、ポリープを摘出した場合は検査ではなく、手術扱いになるため診療点数が高くなります。
この場合、患者様の負担は5,6千円程度から3万円以上の負担金額になります。
患者様には、内科の治療で高額になる印象はほとんどありませんから、事前に金額の説明は必須になります。
美容外科・皮膚科・形成外科
美容外科の治療は自由診療が多く、どの治療も高額になります。患者様の年齢も若い女性が多いので、クレジットカードでの支払いを多く希望されます。
また、クリニックでのクレジットカード導入は集患に繋がらないと伝えましたが、自由診療をメインとする美容外科においては、集患に繋がります。
皮膚科・形成外科においては、一部が美容外科と同じ保険適用外の治療があります。脱毛、ほくろ除去などの治療においては「保険適用のクリニックの方が安心する」という患者様もいらっしゃいます。開院したら脱毛などを考えている医師の方には、クレジットカードの導入も検討していただきたいです。
今後の支払いについて
医療費だけに限らず、今後の支払いについては現金の取り扱いは少なっていく可能性があります。
クレジットカード導入の必要性を考える時がやってくると考えられます。
現金以外の支払いを求められる
若い世代の患者様は、クレジットカード、電子マネー、デビットカードなどを普通に使いこなしているので、使えないクリニックは不便だと思うことがあります。
また、世代に関わらずコロナウイルスの感染防止のため、キャッシュレスを希望する患者様は増えています。
大規模病院レベルなら、セルフレジの導入など選択肢もありますが、クリニックレベルでどこまで対応できるかは、検討する必要があります。
海外からの患者様
がん治療など、高度で専門的な治療を希望して海外から来院する患者様がいます。こうした場合、日本のクレジットカードを持っていることは考えられません。また、日本に治療のために来られるだけの富裕層であることも考えられるので、できる限りの対応はしたいところです。
がん治療では、中国の富裕層が来るクリニックが存在します。中国のクレジットカードが利用できるようになっています。
海外からはイレギュラーかもしれませんが、こうした特殊なケースもあることも覚えておいてください。
まとめ
今回は、クリニックでのクレジットカード導入について検証してみました。
限られた治療やクリニックでは導入が進んでいますが、まだ導入するだけのメリットがないのも現状です。
時代の流れによって、導入する日も来ます。
今から考えておいてそんはありません。
いつでも対応できるように検討してください。