クリニックや医院を開業する時に欠かせないのは、駐車場です。
郊外や住宅となれば、交通手段は車ですから、ほとんどの患者様が「通院=車」と考えています。
実は、この駐車場がクリニックの経営に大きく関係してくることを、ご存知でしょうか?意外と知られていませんが、駐車場の良し悪しでクリニックの来院数が大きく変わることは事実です。
では、実際にどんな駐車場が患者様に喜ばれるのか、駐車場があるメリットと合わせてご紹介します。
駐車場があるメリット
最初に、クリニックに駐車場があるメリットについてです。
最寄りの駅から近いから、駐車場は不要と考える医師もいらっしゃるかもしれませんが、3つのメリットからも、その必要性があることが分かります。
遠方からの来院も見込める
クリニックを開業するにあたり、医師は経営者という肩書きが加わります。つまり、診察や治療に専念するだけでなく、クリニックの売り上げや利益を考えなくてはいけません。そのためには、来院される患者様を減らさないことは必須となります。
どのようにしたら、来院される患者様を維持していけるのか? そのきっかけの一つは、駐車場です。車で15分、距離にして約10キロであれば来院は可能と考えられます。特に郊外で車での移動がメインだと考える地域では、普通のことともいえます。
もし、駐車場がなければ近隣の住民だけが対象となるため、風邪や花粉症などのシーズンには来院数を伸ばすことはできても、それ以外は激減してしまいます。
広いエリアで一定の来院患者数が確保できたら、経営者としても安心できます。
家族を連れて来られる
こんなイメージはありませんか? 「クリニックに行く=体調が悪い」体調が悪い時は、体を動かすことも辛く外出することも大変です。クリニックで診察してもらい、適切な処置を仰ぎたくても1人では無理という場合には、家族に車を運転してもらい来院するという手段があります。
そして、小さな子供や体が不自由な家族を連れて行く場合にも、車は欠かせません。
車で待機ができる
混雑する時間には待合室も座れなかったり、待ち時間が長くなれば同じ姿勢で座り続けるのは、大人・子供関係なく辛くなります。そして季節によっては、感染が考えられる症状の場合、またはインフルエンザが流行している時には、待合室で他の患者様と接触することは危険です。
こうした場合に、車の中で待機してもらうことは増えています。ネットで診察状況が分かったり、スマホに連絡をもらうなど、クリニックと患者様の連絡が取りやすくなったことで可能としています。
患者様が喜ぶ駐車場のポイントは4つ
駐車場があるだけでも患者様に喜ばれます。そして、経営的に利点があることも分かりました。
では、患者様はどんな駐車場を望んでいるのでしょうか?
家族を連れて来院となれば、ほとんどの場合で運転しているのは女性です。さらには高齢者というケースも多くあります。男性に比べて、女性や高齢者は運転が苦手という方が多いので、駐車場内での不安やトラブルを回避する場所であることもの患者様の安心に繋がります。
出入り口が広い
クリニックへの出入口は、横幅広くまっすぐ進入できることが望ましいです。
開放的なイメージは、クリニックの印象も良くなるので壁や門などを必要以上に設けないことをオススメします。
理想的な広さとしては、入る車と出る車がすれ違える程度です。
台の駐車スペースが広い
多くの車が駐車できるように駐車台数は確保したいところですが、1台の駐車スペースは広い方が患者様には喜ばれます。
・1台の駐車スペースの幅は3メートル
・車止めを設ける
・ラインは丸みのある線にする
メリットでもお伝えしたように、付添人として来院する場合に車の乗り降りは大変です。車椅子やベビーカーを使用する場合には、車から出す必要があります。車のドアやトランクを大きく開けたいですよね。
そんな時に気になるのは、隣の車です。ぶつけしまってトラブルとなっては、患者様同士も嫌な思いをしますし、クリニック側も責任を問われてしまいます。事故のない駐車場でなければなりません。
数台分でも問題ありませんので、駐車スペースの広い駐車場を設けてください。
駐車場に障害物がない
できる限り、駐車場には障害物を作らないようにしましょう。
景観や外部から見えないようにと、木を植えたり花壇を作ることがあります。クリニックの印象としては好感が持てますし、癒し効果もあります。
しかし、運転が苦手な人から見れば木も花も障害物であり、「敷地内の物を壊しちゃいけない」とプレッシャーになってしまいます。
意外なものがトラブルの原因となるので、配置する時は駐車の邪魔にならないかを考えてくださね。
屋根付き駐車場がある
雨の日、患者様の車の乗り降りや、車椅子やベビーカーを出したりしまったりは、濡れてしまうなど、大変です。
こんな時にあると喜ばれるのが、屋根付き駐車場です。
付添人の人は、患者様やお子さん、高齢者が濡れてしまうことを懸念されています。こうした優しい気持ちに寄り添えるクリニックであることも、診察を希望するきっかけとなります。
敷地内の全ての駐車スペースに屋根をつけると、今度は柱ができ駐車時のプレッシャーとなるので、一部分の駐車スペースだけで問題ありません。
満車時の配慮を忘れずに
そして忘れていけないのは、満車時の配慮です。
ポイントを抑えて駐車場を作ると、圧倒的に駐車台数が少なくなります。駐車場があるからと安心して来院される患者様が不安になります。
対応不十分だった場合、患者様の印象が悪くなるだけでなく、路上駐車など近隣とのトラブルが発生してしまいます。
対応策としては2つあります。
近くに駐車場を借りる
クリニック近くの駐車場や土地を借りて、第二駐車場としてください。
月極め駐車場を契約すれば、すでに整備がされているのでそのまま利用していただくことができます。
土地を借りた場合には、整備も必要となるので大家さんとの打ち合わせが必要となります。近隣の方とのトラブルは避けたいので、業者に相談するなど円満に借りられるように手続きしていきましょう。
コインパーキングの料金負担
クリニックの周辺にコインパーキングがあれば、こちらを利用しましょう。診察に時間がかかることもあるので、安全な場所に車を駐車しておけるのは、患者様の不安を一つ解消することができます。
また、発生する料金についてはクリニック側で負担してください。事前に契約しているコインパーキングをご案内して駐車してもらい、帰りの際にサービス券を渡してください。
費用は回収できる
駐車場においてこれだけのことをすれば、気になるのが費用です。
開業時の予算を超えてしまうことも。さらに開業後に改修工事ともなればお金もかかりますし、患者様にご迷惑をかけることになります。
こうした不安はありますが、患者様の目線で考えた場合、駐車場の問題がクリアになるだけで、安心して来院することができます。診察や治療に直接関係部分でも、「あそこのクリニックは行きやすい」となり、自然とかかりつけ医として選んでいます。
実際に、来院患者数が駐車場の改修工事後に倍の患者数になったという報告もあります。費用を回収することは可能と考えられます。
まとめ
患者様に喜ばれる駐車場として、4つのポイントをご紹介しました。
実際に、クリニックの駐車場でトラブルがあるのか?
こんな疑問を持たれる医師の方もいると思いますが、年間に数回は駐車場のトラブルがあるというクリニックは少なくありません。駐車スペースの配置などに問題があったとされています。
運転が苦手な人にとって、「狭い・距離感がわからない・見えない」という場所での駐車は不安です。避けたい気持ちも分かります。
駐車場があることは大きなメリットです。そのメリットを最大限に活かしていきたいですね。