10月からインフルエンザの予防接種を始めているクリニックがほとんどではないでしょうか。
この2ヶ月順調に進んでいたらいいのですが、毎年のことながら上手くいかないこともあります。同じことの繰り返しのようでも上手くいかないのは、誰のせいでもありませんが不思議なものです。
こうした中で、改めて確認したいことが「インフルエンザワクチンの在庫数」です。
接種が上手くいかない理由は後ほどお話しますが、在庫が足りない、余るといった状況が後々出てくることがあります。
シーズンが終わる頃に慌てることがないように、この年末までを一区切りとして確認することをオススメします。
今回は、インフルエンザワクチンの在庫状況から考えられることや、対処の仕方についてご紹介します。
なぜ再確認が必要なのか
シーズンが始まる前に、ワクチンの必要数を考えて購入をします。最近ではワクチンを希望する数分が入荷しないこともあり、どこも取り合いのような状況です。
そして、ここ数年では「新型コロナウイルス」の流行によって、インフルエンザワクチンの予防接種数が落ちていることも入荷する数を悩ませます。
2022年の予想としては、接種希望者が増えるといわれています。
こうした世の中の流れにより在庫の減り方が違うことも考えられます。
そして、クリニックごとにも在庫が変わってしまうケースもあります。
予防接種のキャンセル
患者様の都合によって、予約がキャンセルされることがあります。
主なキャンセル理由はこちらです。
・発熱、体調不良
・新型コロナウイルスに感染した
・インフルエンザに感染した
・自己都合で来院できない
こうした場合、再度予約を取り直すことも可能ですが、それ以外に接種そのものをキャンセルする方もいらっしゃいます。
クリニックでは、こうした時にキャンセル料を取ることはありません。ですから、キャンセルが入れば、そのまま在庫となってしまいます。
無駄にしていないか
ワクチンは1瓶で二人分の接種ができます(大人の場合)。
ですから、1日に接種する人数を調整していく必要があります。患者様だけで埋まらない場合には、スタッフで順番に接種するということもあります。
ワクチンの使用期限に合わせて無駄なく使えているのかも、一度確認したいところです。
ワクチンに触れるスタッフも限られているので、2ヶ月の振り返りとしてミーティングするのもオススメです。
今後の予定数は足りているのか
ワクチンの数は毎日のように確認しますが、慌ただしい中での確認だけでなく落ち着いて確認をするようにしてください。その上で、今後の予定数だけのワクチンが残っているのかを確認してください。
これは、スタッフの仕事を疑っているのではなく、きちんと確認しておくことです。スタッフの中には、この違いが理解できないタイプもいるので、きちんと説明を加えて行うようにしてください。
怖いのは、種類を間違えていないか
そして、今、一番こわいのは「ワクチンを間違えていないか」です。インフルエンザワクチン以外にも、様々なワクチンがありますが、頻繁に接種希望者がいないので間違えることはほぼありません。
しかし、ここ数年で新型コロナウイルスのワクチン接種が増加しています。いまだに流行しているので、インフルエンザのようにシーズンが終われば予防接種が減るということがありません。
ワクチンを間違えたり、量を間違えたりと、あってはいけないことですが、ニュースとして取り上げられることがあります。
きちんと保管方法を決めて、スタッフも間違えないように確認し合うことを怠らないでください。
在庫状況が変わっていたらすること
実際にインフルエンザワクチンの在庫数を確認したら、結果は三つのパターンになります。
・予定通りの在庫数であった
・在庫が余る
・在庫が足りない
予定通りの在庫数であれば、何も問題はありませんのでこれまで通りに使用をしてください。
もし、予定と違った場合には、下記のように対応を考えてください。
在庫が余る場合
予め、必要とされるワクチンを購入するので希望する患者様が少ない場合には、在庫が余ってきてもおかしくはありません。
大幅に余ることが考えられる時には、このような対応が考えられます。
キャンセル待ちの人に連絡する
インフルエンザワクチンは、事前に予約を取ります。購入できるワクチンに対して予約できる人数も決まってきます。
そのため、クリニックによっては、キャンセルが入ることを見越して「キャンセル待ち」の受付をしています。
一度お問い合わせをいただいた方を優先することは、クリニックの印象としてもいいので、キャンセル待ちの方に連絡をしてみましょう。
お互いのタイミングが合えば、ワクチンを無駄にすることはありません。
接種可能のお知らせを出す
キャンセル待ちの予約を取っていなかったり、そちらを優先してもまだ余る場合には、院内の掲示やホームページにてお知らせを出してください。
予防接種を希望しながら予約が取れない人、感染者が増えてるからやっぱり接種したい人、こうした人たちは、ホームページなどで接種可能なクリニックを探しています。
待つばかりでは期限も来てしまうので、情報は多くの人に届けられるようにしておきましょう。
卸業者にも知らせる
クリニックからの発信だけでは不安を感じる場合、卸業者にも伝えておくことをオススメします。
在庫が確保できずに探しているクリニックもあります。こうしたワクチンのやり取りは公には行われません。必要となれば譲ることを伝えておくだけでも、必要なところで使用してもらえるので、在庫赤字になることはありません。
在庫が足りない場合
在庫が足りない場合が一番焦ると思います。患者様からの信頼を失うきっかけにもなります。そのため、年末であっても早急な対応をしてください。
正確な数を把握する
再度、在庫の数を確認しましょう。できればスタッフを変えて複数の人の目で確認をしてください。こうした時に冷静でいられる人はいません。
正確な在庫数が分かった上で、何本のワクチンが必要なのかを確認してください。どれだけの本数を、どこから入手できるのかを考えていきます。
仕入れを確認する
クリニックの仕入先となる卸業者から購入ができるのかを確認してください。追加で入荷したワクチン、メーカーへの問い合わせ、可能な限り協力をしてもらい、ワクチンを仕入れてください。
ここでクリニックがメーカーに問い合わせるよりも、卸業者から連絡してもらう方が優位に働くことがあります。日頃の信頼関係があるからです。
状況を話して協力をお願いしましょう。
卸業者を通じて探す
こちらは、在庫が余った時の対応の逆になります。卸業者を通じて、ワクチンの在庫が余っているクリニックを探してもらいます。クリニック同士、直接的な繋がりがなくても卸業者が仲介することで、ワクチンを手にすることができます。
さらには、年内で接種希望者が落ち着くクリニックもあります。インフルエンザワクチンを接種して、体内で抗体ができるまでには時間がかかるからです。
内科、小児科、耳鼻咽喉科以外のクリニックで、少しだけ持っていたけど必要がなくなったとなれば、融通もききます。
こちらも卸業者に頼ってみましょう。
在庫不足のキャンセルを避けよう
思うような購入ができない可能性があるインフルエンザワクチンは、予防接種の予約の取り方にも工夫が必要です。
・在庫と同じ数の予約を取らないこと
・キャンセル待ちの予約を取る
・不測の事態を考えておくこと
どんな状況であっても、一度予約を受けたらクリニックの都合でキャンセルすることだけは避けましょう。これは評判を落とす結果になります。
患者様からの信頼だけは失いたくないので、きちんと対応をしていきましょう。