開院するなら、自分のこだわりで「こうしたい、ああしたい」という理想がありますよね。最近では、建物の外観からクリニックとは分からないこともあります。
デザインや建築の技術の進化によって、できることが増え施主の希望を叶えることができるようになりました。
そして、建物の次に気になるのが、内装やインテリアです。
今回は、待合室へのこだわりや、「あったらいいな」と思うポイントについてご紹介します。
待合室はクリニックの顔
クリニックは、医師の技術の良さ以外にも、患者様から求められるものが多くあります。
・スタッフの対応
・清潔感
・待ち時間の工夫
患者様自身への対応はもちろん、待合室で待っている時など、様々なタイミングで見られてると思っていた方が間違いはありません。
医療系のサイトには、各クリニックの評価や口コミの書き込みができるサイトがあります。ネット情報に頼る現代において、ここに悪評を書き込まれることは、命取りとなります。
そんな中でも力を入れて取り組んでほしいのが、「待合室」です。
玄関から入り、最初に目にする場所が待合室です。入った瞬間のイメージが、そのままクリニックの評価になるといっても過言ではありません。
そして、来院された患者様が一番長く滞在する場所でもあります。
最近では、予約制にするクリニックも増えていますが、基本的には待合室にて診察の順番を待つことになります。診察や治療状況によって左右される待ち時間を、少しでも快適過ごしていただくことが、待合室の役目です。
待合室にこだわる理由
クリニックを開院する時に、理念を考えます。
・どんな診療をしたいのか
・患者様への思い
こうした医師としての思いを理念として、クリニックイメージを膨らませていきます。
待合室にこだわる理由は、この理念に基づいた部分も多いため、医師自身の思いが、こだわりへとなっていきます。
そんな中から、こだわる主な理由を3つご紹介します。
患者様の居心地の良さ
先述したように、来院された患者様が一番長く滞在する場所が待合室です。
クリニックだけでなく、大規模病院でもそうですが、診察までの待ち時間短縮は常に課題として挙げられます。
その日の患者様の状態や、治療内容、さらには急患の対応ということで待ち時間が長くなる要因が多くあります。
それは、患者様から見ても仕方のない状況だと、ご理解いただけたら何よりですが、そこに「それが当たり前」だからと思ってしまえば、待合室にこだわることもないでしょう。
しかし、ほとんどのクリニックが患者様に配慮して、居心地の良さを考えています。
例えば、空間の活かし方です。
人間の心理として、薄暗くて狭い空間には長くいられません。不安と恐怖心が生まれるため、「この場から、早く逃げたい」と考えます。
もし、クリニックの待合室がそういう空間と感じたら、「早く診察してほしい」と焦ってしまい、待つことができなくなります。
そのためには、いくつか方法があります。
・天井を高くする
・照明の色に気をつける
・外の風景が見えるようにする
・インテリアの色を暖色系にする
まずは、天井を高くすることをオススメします。
診療科目によっては、外から見えないことが望ましい場合があります。天井なら、どの診療科目であっても、差し支えがないため取り入れやすいと考えます。
設計の段階に、こだわりとして伝えれば、設計士が空間を活かした待合室をデザインしてくれます。
居心地の良さは、診察を待つ患者様にとって、大事な場所です。
最近では、診察時間より待ち時間の方が長いと、苦情として挙げられることがあります。
経過良好で、定期の薬のみで終えることができれば、それは患者様にとって良いことですが、気持ちが満たされたかは別の問題です。
「待ってて良かった」と思える診察をすることも、居心地の良さに繋がります。
集客に繋がる
クリニックを開院するということは、同時に経営者になることを意味します。勤務医の頃のように、診察して治療だけをするというわけにはいきません。
経営者となれば、スタッフの報酬、資金、返済なども医師が対応していくことになります。そのためには、一人でも多くの患者様に来院してもらいたいものです。
患者様には「どこのクリニックに行くか」という選択肢があります。選ぶ基準は、患者様それぞれにありますが、待合室の良さは必ず入っていることは、覚えておきたいところです。
・掃除が行き届いている
・掲示物が最新の情報である
・椅子の座り心地が良い
患者様も待っている間にチェックをしているわけではありませんが、ホコリや古い掲示物というのは目につくものです。
待ち時間が長くなった場合、座っている時間も当然のことながら、長くなってしまいます。
この3つが基本となります。こうした目立たない部分に目を向けることで、集客に繋がる可能性があります。
通院するモチベーション
患者様としては、医師の腕が良くて評判の良いクリニックで診察を受けたいものです。しかし、それだけでは患者様がこない場合があります。
建物や待合室が古く、汚いと、「ちゃんと治療してもらえるかな?」と心配になります。体調を崩している患者様の不安を煽ってしまうことになります。
新しくないとダメということではなく、綺麗に困った時に頼りたいなと思う建物と、待合室を保つことが大事です。
「あのクリニックは綺麗だし、通いやすい」という患者様のモチベーションに繋がります。
おしゃれな待合室にあるもの
では、患者様が「行きたいな」と思う綺麗でおしゃれなクリニックの待合室には、どんなものがあるでしょうか?
ちょっとした工夫で集客に繋がるなら、設備や備品を整えたいですよね。
大型テレビジョン
大きな画面で、テレビ放送やDVDを流すだけで待ち時間を短く感じていただけます。
大きなテレビを設置する場所がない場合は、少し目線の高い位置にすることで、多くの患者様に見てもらうことが可能になります。
音声に関しては、体調の悪い方もいるので「消音」して字幕機能を利用することをオススメします。
そして、来院される患者様層に合わせて、誰でも楽しめそうな番組、DVDを選択しましょう。
ドリンクサーバー
自販機を置いても構いませんが、フリードリングがあることは患者様に喜ばれます。気分の悪い時や、処置後に気軽に飲めるドリンクサーバーがあることは安心です。
ドリンクサーバーの本体もタイプはいろいろです。ビルやテナントに入っているクリニックでも設置することは可能です。
キッズルーム
小児科や耳鼻咽喉科などは、待合室そのものがキッズルームみたいになりますが、待合室の一部分にキッズルームを設けておきましょう。
おもちゃや本、子供の好きそうなアイテムを用意して待ち時間に利用してもらいます。
一点、問題視されることは、「清潔に保つこと」です。不特定多数の子供が触れるだけでなく、口に入れてしまうこともしばしばあります。
ウィルスの感染ルートは、飛沫や唾液での感染が多いので、こまめに消毒してください。
雑誌とタブレット
待合室の定番ともいえる雑誌は、必ず用意しておきたいものです。
どんなジャンルのものを用意したらいいのか悩んでしまいますよね。さすがに患者様の趣味までは把握できません。
できる限り、広い範囲で用意してください。雑誌のセンスも問われます。
しかし、多くの雑誌を用意することは、意外と大変です。そんな時には、タブレットを用意してください。アプリを利用して雑誌を読むことも、書籍やコミックを読むことも可能となります。
取り入れてほしいもの
ここまでは、定番であったり、すでに取り入れているクリニックも多いはずです。ここからは、患者様の「あったらいいな」を叶えるものとなります。
バリアフリー
クリニックに来院される患者様の中には、体になんらかのハンデがある方もいらっしゃいます。また、内科や整形外科では高齢者の患者様も多いので、事前に配慮しておきたいです。
・段差のないフロア
・廊下やトイレに手すり
・車椅子の幅に合わせた出入り口
ユニバーサルデザインを参考に考えてみましょう。
点字
点字のあるクリニックは、あまり見かけませんが、点字があることで、目が見えない方、視力が弱い人が安心して来院できるクリニックにしてほしいですね。
まとめ
待合室の良し悪しでもクリニックの集客へと繋がることが分かりました。
そして、そのために必要な設備や備品が整えることで、大きく変化するなら、ご自身のクリニックを今一度、見直してもいいですね。