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クリニックでもできる阪神大震や東日本大震災で見えた5つの課題

医療の現場を取り巻く環境は、感染症対策の強化や診療のデジタル化などの要件が加わったことで、ますます複雑化しています。

また、少子高齢化や地域コミュニティの構造変化が進む中で、クリニックが求められる役割も大きく変わりつつあります。

さらに、阪神大震災や東日本大震災のような大規模災害が発生した際には、一戸建てでのクリニック開業にも想定外のリスクが伴うことを改めて実感された医師の方も多いかもしれません。

災害時に患者様の安全と医療を守るためには、建築や設計段階から適切な備えを行い、経営面でも防災体制を整えておくことが欠かせません。

今回は、過去の震災で見えた課題を出発点として、クリニックが取り組むべき災害対策についてご紹介します。

専門家の視点や実践的なノウハウを理解しながら、ご自身のクリニックに合った対策、できることを考えてみるきっかけにしてください。

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目次

クリニックの災害対策の必要性と基本概要

災害リスクが高まる背景

近年は大規模な地震や台風による被害が頻発し、地域全体が長期的な混乱を余儀なくされるケースが増えています。

クリニックにおいては、こうした災害時に停電や断水が発生し、医療設備や電子機器が使えなくなるだけでなく、建物自体が損壊するリスクも考慮しなければなりません。

さらに、想定を超える被害が発生した場合、経営側はスタッフや患者様の安全確保とともに、医療行為を継続できるかどうかという課題にも直面します。

このように災害リスクが一段と高まる背景には、都市の集中や地球規模の気候変動など、さまざまな要因が存在します。

クリニックが診療を通じて地域医療を担っている以上、災害が起きた際にも医療を途絶えさせないための備えが、今まで以上に求められていることがいえます。

クリニックにおける事業継続の重要性

医療機関が災害時にも適切な医療を提供し続けることは、患者様の安心と安全を守る上で非常に大切なことです。

クリニックは大病院に比べて規模が小さい分、日頃から備蓄する資源や医療機器の数にも限界があります。

しかし、適切な建築設計と綿密な防災計画を組み合わせることで、災害後の混乱を最小限に抑えながら診療を続行できる可能性が高まります。

特に、非常用電源や情報管理システムの冗長化など、クリニックに合わせた事業継続の仕組みは整えておきたいことです。

災害時には地域全体で救護が必要になるため、周辺医療機関との連携を強化し、クリニックを迅速に再稼働させるための準備をしておくことが、多くの患者様の命をつなぐ要となっていきます。

阪神大震災や東日本大震災で学ぶ実践的教訓

震災から見えたクリニック機能の課題

阪神大震災の際には、建物の倒壊だけでなく、ライフラインの断絶が長期化したことでクリニックの機能も大きく損なわれました。

医療器具への電力供給が止まり、給水や通信手段までもが限られてしまった結果、患者様への対応や治療の継続が難しくなったケースが多く見受けられました。

また、震災直後は被災地に医療スタッフが集まりにくくなる傾向もあり、通常業務を行うだけでも相当な困難が伴ったといわれています。

こうした状況を振り返ると、建物の耐震性や非常用電源、医療スタッフの確保など、あらゆる事態を想定した準備の大切さが改めて浮き彫りになったといえるでしょう。

医療現場が直面した問題点の分析

東日本大震災では、津波による大規模な浸水やライフラインの途絶が、地域社会の機能を一気に奪い去りました。

クリニックとしては、住民の避難場所になることも想定されていた一方で、医薬品や医療材料の補充が滞り、交通インフラが麻痺する中で、患者様への診療継続が難しくなった事例も多かったようです。

特に、医療データのバックアップが紙ベースに偏っていたり、電子カルテへの移行が不十分だったりした医療機関では、情報面で混乱が生じやすくなり、医療スタッフや行政との迅速な連携にも支障をきたすことがありました。

このような課題を振り返ると、クリニックが環境やインフラに大きく依存していることを再認識する機会にもなり、より包括的な防災体制を考えるきっかけになったと考えられます。

カルテ・レントゲンのデジタル化とセキュリティ対策

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デジタル化に必要なシステムと導入手順

電子カルテシステムとデジタルレントゲンを導入することは、災害時だけでなく平時の診療業務にも大きなメリットをもたらします。

導入にあたっては院内ネットワークの構築や電子カルテソフトの選定など、いくつかの段階を踏んで準備を進めることが一般的です。最初に既存の運用方法との整合性を考えながら、コストと業務効率のバランスを検討し、それを踏まえた上でシステム会社や専門家と協議を重ねることが必要です。

初期導入の段階では、スタッフが新しい仕組みに慣れるための時間も必要となりますが、使い勝手が向上すれば、患者様の情報を迅速に共有する場面などで役立つはずです。

データバックアップとセキュリティ確保

院内の重要データを失わないために、定期的なバックアップの実施は欠かせません。

特に、電子カルテに関しては、データが消失すると患者様の診療履歴を正確に把握できなくなる恐れがあり、診療の継続に支障をきたす可能性があります。
そのため、物理的なサーバーを運用する場合でも、異なる場所にバックアップを保管したり、複数のメディアに分散して保存しておくことが重要です。

さらに、セキュリティ面ではアクセス権限の設定を適切に行い、不正なアクセスやデータ改ざんのリスクを最小限に抑える仕組みを整えておきましょう。

クラウド管理のメリット・デメリット

データをクラウド上で運用する方法は、ハードウェア障害や院内トラブルの影響を受けにくい利点があります。

また、インターネット環境が確保されていれば別の場所からデータにアクセスできるため、地域全体が被災した場合にも遠隔地からの支援を得やすいという面が特徴です。

しかし、セキュリティ管理を提供企業に依存する部分があることや、通信環境がない状態ではアクセスが困難になるなど、リスクや課題も考えられます。
最終的にはコストや運用体制を総合的に検討した上で、自院のニーズと災害リスクに合った管理方法を選択することが望ましいです。

非常用電源と備蓄物資の整え方

停電対策の基本と非常用電源の選び方

クリニックで長時間の停電が発生した場合、電子カルテや医療機器が使えなくなるだけでなく、照明や空調など患者様に必要な環境を維持することも困難になります。

このような事態を避けるためには、非常用電源を確保することがとても重要です。
クリニックの規模であっても、ポータブルな発電機やUPS(無停電電源装置)を用意することで、最低限の電力を一時的にまかなうことができます。

非常用電源を選ぶ際には、運用コストや発電容量、燃料の保管や補給のしやすさなどを考慮することが大切です。院内の医療機器や電子機器がどの程度の電力を必要としているかをあらかじめ把握し、必要な容量を見極めておくと、いざという時に慌てずに済みます。

備蓄物資リストと管理のポイント

災害時に備えておきたい物資としては、水や非常食、医薬品のほか、衛生用品や日用品など多岐にわたります。

ただし、いざという場面で必要なものが見当たらない、もしくは劣化してしまっていたという事態を避けるために、定期的な点検や入れ替えが欠かせません。

保管場所についても、地震などで物が落下したり浸水したりしないように工夫しておくと安心です。クリニックの規模や診療科目によっては必要な物資の種類や量が異なるため、自院の診療スタイルに合わせたリストを作成すると管理しやすくなります。

更新時期を決めて在庫を確認し、スタッフ同士で情報共有を行うことで、常に最適な備蓄物資を準備しておくができます。

スタッフ連携と患者保護のためのマニュアル作成

パース

マニュアル作成の手順と項目例

災害時にはスタッフが混乱しやすくなるため、行動指針や手順を明確に記載したマニュアルを整備しておくと安心です。

まずは、災害の種類に応じて想定される被害や課題を洗い出し、それぞれの状況下でスタッフ全員がどのような動きをとるべきかを具体的に示すところから始めると進めやすくなります。

マニュアルには、患者様やスタッフの安全を最優先に、避難経路や負傷者が出た場合の対応、周辺医療機関への連絡方法なども明記しておくと役立ちます。

小さな規模のクリニックであっても役割分担を明確にし、担当者の連絡先や医療物資の保管場所も含めて記載しておくと、いざという時に混乱を最小限に抑えることができるでしょう。

定期訓練とスタッフ教育の重要性

マニュアルが完成しても、実際に使いこなせなければ十分な効果は得られません。
定期的に訓練を行い、スタッフ同士の連携を深め流ことができたら、非常時にも落ち着いて行動でができるようになります。

医療機器の取り扱いや患者様誘導のシミュレーションを、可能であれば診療時間外や休診日などを活用して実践し、スタッフが体験できる機会を作ってみましょう。

災害が起きない時はなかなか実感しにくいことでも、訓練を通じて手順を確認しておくことで、万一の時にも日頃の訓練が大きな力を発揮してくれます。

まとめ

クリニックの災害対策を考えるうえでは、建物の安全性や非常用電源の確保といったハード面だけでなく、患者様を最優先に行動するためのスタッフ連携やマニュアル作成などのソフト面も欠かせません。

特に、阪神大震災や東日本大震災の経験から見えてきた課題は、想定を超えた被害にどれだけ柔軟に対応できるかという点にあります。

医療データをデジタル化することで、紙資料の消失リスクを減らしつつ「遠隔から支援を受ける」ことができる環境を整える方法は、可能な限り変えていく方向で進めてほしいことの一つです。

また、備蓄物資や非常用電源の整備は災害発生時のライフラインを補い、診療を継続するための大きな助けになります。

定期的なスタッフ教育や訓練を行い、いざという時に混乱しないように備えておくことも重要です。クリニックは地域に密着して医療を届ける役割がありますが、それを果たすためには十分な準備と日頃の確認が欠かせません。

少しずつでも対策を進めることで、患者様やスタッフにとって安心できるクリニックを作り上げていきましょう。

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