これまでクリニックの経営は、継続することができれば安定して続けられることができました。
しかし、近年ではクリニックが増加傾向にあり、自宅周辺にも同じ診療科が何軒もあるというような状態です。
そうなると問題としては、患者様に選ぶ選択肢ができるので、診察内容や接遇マナーなど、厳しく見られているということです。
こうした競争社会に加えて、2020年の新型コロナウイルスの感染を恐れて、患者様の受診が大幅に減少してしまい、クリニックそのものの経営が困難となっています。
今回は、改めてクリニックに求められているもの、これから必要となることを考えていきます。
これからのクリニックに必要なこと
世の中がどんな状況になろうと、クリニックにとって必要なことは、「患者様の身になって考え、診察を続けること」です。
それは、診察や治療だけでなく、建物や設備などクリニック全体と、地域との関係性が求められてきます。
地域医療の在り方
開業する際に、地域医療を経営理念として掲げる医師の方もいらっしゃるはずです。
クリニックで患者様を待っているだけでは、今後生き残っていくことは困難となります。
在宅医療、介護、また大規模病院との連携など、いくつかの選択肢を用意しながら診察し、治療していくことが求められます。
地域連携とは
開業時に確認しておきたいのは、地域連携についてです。
地域連携とは、大規模病院とのパイプを作ることで、検査や手術が必要となった場合に、診察・入院がスムーズにできるようにするネットワークのことをいいます。
逆に、大規模病院での治療を終えて、フォローを自宅周辺のクリニックにお願いするケースもあります。
患者様との関係性
大規模病院のように、外来・入院の患者様の診察や治療を繰り返す日々とは違い、クリニックでは、患者様一人ひとりの顔を見ながら、適度な会話がとれるコミュニケーション作りが必要となります。
医師との会話を楽しみにしている患者様も少なくありません。
また、「医師が話してくれない」などクレームが入ることは、クリニックのイメージが悪くなったしますので、不可抗力ケースもありますが、患者様との話し方や接し方には、医師だけでなくスタッフ全員で心がけたいことです。
機能性
クリニックの外観や内装にこだわることも必要ですが、患者様とスタッフが使いやすいクリニックとする必要があります。
動線の見直し
クリニックの動線については、やはり外せません。
スタッフの作業がスムーズになるよう、そして診察室から検査や処置へと患者様が移動しやすいのか、改めて見直してください。
すでに設計時に考えられていますが、開院後に実際はどうなのか、使い勝手や分かりやすさなどをポイントにして見直してみることも必要です。
事業継承によるクリニック内の問題
最近、クリニックで多いのが事業継承です。
親が開業したクリニックを継ぐ形として地元に帰って、開業するケースです。
初期投資が抑えられること、すでに地元に周知されているので、集客に困らないことがメリットとして挙げられます。
この場合、建物を立て直したり、新しい医療機器を導入するなど、大きく変わることがあります。
新しい医療機器で多くの患者様を治療できるのは、非常に喜ばしいことです。
こうした変わっていく部分と、これまで大事にしてきた部分との兼ね合いを大事にしないと、離れていく患者様もいますし、何より親子でトラブルとなっては、クリニック経営は上手くいきませんので、ご注意ください。
建築デザイン
最近では、おしゃれな建物のクリニックが増えています。
外観はクリニックの顔ともなるので、綺麗で分かりやすいデザインにすることも大切です。
また、院内においては、案内表示の分かりやすさ、色使い、大きさや形にもこだわりたいところです。
クリニックに訪れる患者様の年齢層は幅広いですから、高齢者から子供まで誰が見ても分かるようなデザインやロゴを採用してください。
増築
開業時のビジョンに増築してサービスを増やしていくことを考える医師の方もいらっしゃるはずです。
ある程度の将来を見据えて、土地と建物を用意しておく必要があります。
将来導入した医療機器があるのなら、施設基準を満たすような面積と設備を必要となります。
また、介護施設を新設したいと考えていらっしゃるなら、隣や近くの土地をあらかじめ購入しておくこと。
なかなかすぐには見つかりませんので、少しずつ進めておきましょう。
コロナ禍での対応
いま、早急な対応を迫られているのは、新型コロナウイルスの感染対策です。
発熱・倦怠感など、類似する症状で受診を希望される患者様はいらっしゃいます。
そのため、クリニックに来院だれても自家用車内で待機をしてもらったり、感染そのものを防ぐために、電話での診察を実施しているクリニックもあります。
今後の流行を考えると、感染対策を整えてしばらく継続する必要があります。
安全性
患者様は年齢層が広いだけでなく、身体に不安を抱える方も少なくありません。
病院が安全であること、それは事故を防ぐというだけでなく、衛生面からも考えたいところです。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、障害の有無だけでなく、国籍や性別など様々な人種の人たちが利用することを考えながらデザインされたものをいいます。
クリニックで分かりやすいところでいえば、多目的トイレ、廊下などに設けられた手すり、開閉がスムーズにできるドアなどが挙げられます。
ユニバーサルデザインは、クリニックをはじめとする医療機関には当たり前のようにあると思われています。
つまり、対応ができていない部分があれば、逆にイメージダウンとなってしまいます。事故予防にもなるので、対応が必要だと思われる場所には、早めの対策をしておきましょう。
感染防止対策
空気・飛沫感染などを防止できるように、衛生面からの感染防止対策は徹底したいところです。
コロナ禍によって、感染防止には敏感になっている患者様も少なくありません。
消毒は院内にこまめに設置したり、マスクやフェイスシールドの義務付け、スタッフの検温をしてください。
場合によっては、患者様にもお願いするケースがあるので、その際には告知をして丁寧な説明を加えてください。
快適性
繁忙期や日々の時間帯によっては、待ち時間が長くなってしまいます。
患者様も仕方ないと理解をしてくださいますが、やはり辛いものです。
そこでクリニックとして、少しでも患者様のストレス軽減ができるように設備などを見直してください。
待合室
待合室は、もっともストレスがかかりやすい場所です。こんなところにポイントをおいて見てください。
・天井を高く、自然光を取り入れる
・ソファーなどの色を暖色系で選ぶ
・適度に距離を置いて座れるようにする
どうしても冷たい印象になりがちですが、色や空間の使い方で、クリニックの印象が変わり、患者様にも安心感が与えられます。
空調
クリニックの空調は一年を通して快適さが求められます。
スタッフに関しては、常に動いているので、薄着の方もいらっしゃいます。
患者様からの要望を重視するべきですが、風の当たり方や各部屋ごとに設定温度が変えられるなどして対応してください。
清潔さ
クリニックは、何より清潔感が必要です。
汚れている時には速やかに清掃できるように道具の配置を考えておきましょう。
また、処置や検査で出た汚物については、行政の指導に沿って適切に行なってください。
まとめ
クリニックに求めるもの、必要となるものについてまとめてみました。
2020年の新型コロナウイルスをきっかけに、今後の対応については大きく変わっていくことが考えられます。
そんな中でのクリニック経営やその他の問題についても、違った方法を求めらることが考えられます。
それでも、クリニックは、地域の患者様にとって必要なものです。
どうぞ十分な対応で経営を継続してください。