開業医の成功のために、必ずこだわって欲しいのが物件探しです。
値段が高いとか安いとかより、その賃料または購入額に似合うだけの売り上げを見込めるかがポイントです。
どういった物件が売り上げを伸ばして、開業を成功へと導くのかをご紹介します。
賃料と売上のバランスとモチベーション
クリニックとして物件を選ぶ時には、賃料と売上のバランスを考える必要があります。賃料を安くして売上を伸ばせばいいだけと、考えがちですがそこが落とし穴です。
クリニックは、患者様が来院することで売上がでます。安い賃料の物件は、患者様が来院しやすい場所にあるでしょうか？賃料を安くするより、初期投資を抑えるよりも、患者様が来院しやすい場所にあるかを考えてください。
そして、患者様の来院のしやすさと同じぐらい大事にして欲しいことがあります。
それが、ご自身のモチベーションです。
ご自身が開業されるのですから、誰にも遠慮はいりません。土地と建物は、どんなに時間がかかっても納得のいくものを見つけてください。
物件選びで重要視する5つのこと
開業医で成功する物件は、5つのことで決まります。
特別に難しいことではありません。どちらかといえば、再確認するという感じです。何回も聞いて耳にタコかもしれませんが、一緒に確認していきましょう。
まずは、ご自身の考える賃料や土地の広さや位置などを決めてください。様々な物件を見ていく中で、意見が変わることもありますが、基本となる自分の考えをまとめて物件を見ることで、選びやすくなります。
情報収集
ご自身の理想に近い物件をピックアップしていきましょう。
情報だけなら、WEBでも集めることができるので、勤務医として忙しく働いていても、開業に向けて準備を始めることができます。
また、時間がある時に、開業を予定地と考えている付近の様子を調べてみましょう。地盤はしっかりしているのか、元々はどんな土地だったのかを確認してください。
例えば、土地は平地でなんら問題ないように見えても、実は沼地を埋め立てた土地だったということも、珍しくはありません。地盤がゆるいと、鉄骨など建設する場合に地盤を強化させる作業が増えるので、余分にお金が必要となります。
土地に関する情報もWEBで調べられますし、不動産屋などに問い合わせても確認することができます。
物件を確かめる
日々の業務の中でも、物件をピックアップすることができたら、不動産屋や建設会社と連絡を取り、現場に見に行きましょう。
WEB上で見る印象と、現場の印象は異なることがあります。例えば、居抜きなどの建物が、WEBの画像では奥行きがあり、広く感じそこが魅力的だったのに、現場で見たらイメージしていたより、狭い感じがしたということがあります。
物件の周辺は意外と見落としがちです。開業の雰囲気に合っているのかを、自分の目で確かめましょう。まだ、この段階で決める必要はありません。納得がいかなければ、もう一度情報収集に戻ればいいことです。
イメージする開業スタイル、患者様が来院する風景などが思い描ける物件が見つかるまで現場で物件を堪忍していきましょう。
立地条件の確認
いくつか物件を見たら、ご自身の理想とするものとすり合わせてみましょう。
・改めて必要だと思ったこと
・新しく追加したいこと
・いらないと判断したこと
初めての開業ですから、分からないことや新しい発見があることは当たり前です。そのためには、一度立ち止まって考えをまとめて直してみましょう。ここでは、立地条件の参考となるポイントを紹介します。
2-3-1.利便性
開業するのが、都心か郊外化で利便性は大きく変わってきます。都心では、ほとんどの人が電車を利用して来院されます。
その場合は、駅近くか、駅直結のビルへのテナントで開業する方が、患者様を集客しやすくなります。また、駐車場も用意したいとなれば、近隣にパーキングがあるかも確認する必要があります。
郊外の場合は、患者様のほとんどが車での来院が予想されるということです。普段の生活から車での移動が基本となっているので、駐車場が確保できる土地を探す必要があります。
2-3-2.交通状況
クリニックまでの道や道路の交通量なども把握できると、集客の伸びに違いがでます。
例えば、駅から歩いてくることを想定しているなら、道順は分かりやすいものか、目印となるものがあり、案内が的確にできるのか。迷いやすい道のりなら、その物件は選択肢からはずことも考えた方がいいということになります。
また、車での来院が想定されるなら、周辺道路からクリニックへの出入りに不安はないかを確認してください。
・交通量が多く、渋滞しやすい
・幹線道路で右折または左折ができない
・一方通行で回り道する
こうした状況は来院時のストレスとなるので、避けることをオススメします。
2-3-3.周辺の環境
現場を見に行くと、周辺の様子が分かります。近隣の騒音や、どんな建物があるのか、それによって町や人のイメージができます。別の物件でも参考にすることができます。
また、近くに学校や公共施設がある場合には、住宅地に近くため、家族全員が来院されることも考えられるので、集客に大きく影響がありそうです。
もう一歩踏み込んで、夜間の様子を見ることができたら、昼との違いを確認しておきましょう。
クリニックは夕診があります。夜間は街灯がないと暗くて、女性が歩くのが怖いような場所は、夕診の集客に影響することが分かります。
2-4.建物の確認（テナントの場合）
テナント物件を探している方は、こちらのポイントを参考にしてください。
2-4-1.内装の様子
建物の内装は、画像とは全く違うことがあります。
こちらも必ず、現地にて確認をしてください。
・広さ
・天井の高さ
・照明
・壁材や床
開業するスタイルや診療科にもよりますが、圧迫感のある空間は人を不安にするので、広さや天井の高さは、十分に取りたいところです。
照明や壁や床材は、使用できるものや状態を確認しておきましょう。
2-4-2.テナントの出入り口
クリニックにとって、出入り口は広さを確保したいところの一つでもあります。車椅子や杖を使って来院する患者様を想定しているからです。
1階のテナントの場合は、出入り口から直接道に出る場合があります。歩行者や自転車と接触するようなことがないように、交通量を確認しておく必要があります。
2-4-3.エレベーターの有無
ビルのテナントに入る場合、エレベーターの有無を確認してください。患者様はもちろん、ご自身も階段だけでは不便を感じるはずです。
また、定期的に点検がされ、故障などトラブルがないかを管理人に確認してください。
2-4-4.耐加重
建物の耐震なども気になるところですが、医療機器を搬入するので、耐加重について確認をしておきましょう。
レントゲン撮影機器や治療に必要な医療機器は、重くて大きいものがほとんどです。設置できるのか、ビルが耐えられるのか、こちらについても管理人に確認してください。
2-5.地域の土地状況
ここでは、周辺の環境というより、地域の将来について土地状況を確認してください。
都心は大きく変化することはありませんが、経済状況や新規事業が参入してくる可能性などがあるのか、発展が見込めるなら、土地は価値が上がり、クリニック経営にも良い影響があると考えます。
郊外については、人口が増えるのか、過疎化が進むのか、または土地開発があるのかなど、確認する必要があります。
また、地域連携が整い紹介できる病院あることも強みになります。
今後、開業する医師が増えれば、患者様を確保することが難しくなってきます。こうした将来性を考えて、物件を選びをしていきましょう。
2-6.アドバイスをもらい、自分で選ぶこと
物件は、不動産屋や建設会社などが所有していることがほとんどです。
不動産屋であれば、物件を売るだけでなく建設会社を紹介してくれたり、相談に乗ってくれます。
建設会社であれば、物件の紹介から建設までの一連の流れを請け負う形で、全ての不安を解決することができます。開業する物件探しは、ほとんどの方が初めてのことなので、悩んでしまうのは当たり前です。
しかし、最後はご自身で決める必要があります。あとで後悔もしたくなければ、誰かのせいにするようなこともしたくないですよね。分からないことは相談して、アドバイスをもらいながら、物件を決めてください。
3.まとめ
冒頭でもお伝えしましたが、ポイントを確認してみると、当たり前のことだなと感じたのではないでしょうか？
最大のポイントは、納得がいくまで悩み、自分で決めるということです。これができるかで、開業することへの覚悟がさらに固まると考えます。
忙しい中でもできることがあります。少しずつでも、前進できるように頑張ってください。
