いま、日本の建設の特徴として、「複合施設」があります。
駅から直結したビルには、オフィスや百貨店などを入っており、多くの人が集客されています。郊外に行けば、ショッピングモールがあり買い物や映画などが楽しめる施設になっています。
そんな大型商業施設で、クリニックを開業するケースが増えているのはご存知でしょうか?新しい開業のスタイルとして、検討されている医師の方も多いはずです。
大型商業施設で開業するメリットについて、ご紹介します。
クリニックを開業したら大変なこと
開業したら、医師は経営者という肩書きが増えます。これまでの勤務医時代のように、患者様の診察や治療だけに専念していればいいというわけにはいきません。
初期投資の返済や従業員の給与など、お金を工面するのは経営者である医師です。最初は大変ですが、なんとかして経営を軌道に乗せたいところです。
最も大変なことは集客
そんな経営者の医師を悩ませる問題の中で、最も大変なことは「集客」です。クリニックにおいて、患者様が来るのは当たり前のことですが、患者様が来るということは、意外にも大変です。
いま、クリニックを開業する医師は増えています。このままクリニックが増え続けると、患者様は取り合いになり、競合との差別化が必要となります。
さらに、国の医療費問題から、病気にならないように予防することに注目が集まっています。現在の診療報酬制度では、予防でクリニックは経営を成り立たせることはできません。少しでも早く、この問題に取り組み、患者様を集客させていきたいところです。
集客できる大型商業施設
集客問題を解決できる1つの方法として、大型商業施設で開業するという方法があります。人の集まる場所に開業することで、お客様を誘導することができます。
どんな大型商業施設があるのか、ご紹介します。
駅から直結のビル
都心や地方都市で多く見られますが、駅と直結したビルがあります。
駅を利用する人を集客したり、逆に駅近くとしてアクセスの良さで集客することができます。仕事の帰りに、買い物と診察をかねてなど、クリニック以外の目的と一緒にできるのが魅力の一つです。
直結の場合はビルというケースも多いため、商業施設以外にオフィスとして利用されることもあり、多くの企業が入っているのも特徴の一つです。
これだけ多くの人がビルを出入りするのですから、一人ひとりの目的は分かりません。そこを利点として、「人にあまり知られたくない診療科」が開業しています。
例えば、不妊治療です。非常にデリケートな問題であり、人に知られたくない女性もいます。そんな方への配慮として直結したビルでの開業は適しています。
郊外のショッピングモール
いま、多くのショッピングモールが郊外にあります。食料品から日用品、洋服など、一つの場所で、さまざまなニーズに合わせた買い物ができます。
買い物以外にも、映画館があったり娯楽施設、レストランフロアがあるので、1日をここで過ごす家族やカップルも多いはずです。
こうした、ショッピングモールでの開業も集客を助けてくれます。
例えば、テナントに薬局やメガネ・コンタクトレンズが入っていることです。クリニックで処方された薬は、調剤薬局にて受け取ります。開業時に隣接する形で設けるケースがほとんどですが、ショッピングモールの場合は、テナントとしてあるので、業者を探す手間が省けます。
同様に、メガネやコンタクトレンズもテナントがあるので、そちらを利用してもらうことができます。
ショッピングモールの場合は、家族連れが多いので家族で受診すれば、集客にも期待ができます。
大型商業施設で開業する3つのメリット
大型商業施設が、集客に適している場所だということが分かりました。では、その他にメリットとなることが3つあります。
立地条件がいい
駅前と言わず、駅と直結しているビルにクリニックがあるのは、非常に便利です。天気の悪い日はもちろん、歩くことに不安のある患者様には、バリアフリーとなっているので、通院時の困難が解消されます。
郊外のショッピングモールについては、都心とは違い必ずしもアクセスが良いとは限りません。郊外では、移動手段が車という方がほとんどです。車で行けるショッピングモールは、郊外の人たちには非常に利便性が良いことが分かります。
駐車場に困らない
大型商業施設には、必ず駐車場があります。郊外のショッピングモールはもちろん、駅直結のビルにも契約した駐車場があるので、心配はいりません。
駐車場の場所を確保するのは、開業するクリニックの悩みの一つでもあります。地域住民が快く貸してもらえたら問題ありませんが、土地探しから進まないケースもよくあります。
大型商業施設では、多くの集客を見越して建設時から土地を確保しています。また、施設も大きいので、立体駐車場を建設して各フロアへのアクセスの良くすることもできます。
待ち時間
診察までの待ち時間は、少しでも短縮したいものです。同じ待ち時間でも、大型商業施設なら、時間を潰す手段があります。
買い物をしたり、カフェでお茶を飲んだりと、その人の気分に合わせて、待ち時間を解消することができます。調剤薬局に処方箋を出して待つこともありません。「後で取りに来ます」という一言で、買い物や用事を済ませることができます。
その他のメリット
その他にも、大型商業施設ということで、クリニックが日曜日に診察をしているケースがあります。大型商業施設では、最も人が集まるのが、土日祝の休日となります。また、地域のクリニックは休診となります。
患者様のことを考えると、休日に診察してもらえるクリニックがあることは、とても助かります。クリニックとしても集客に繋がるので、お互いにメリットがあります。
最近では、スポーツジムが入っている大型商業施設も珍しくありません。健康のため、医師から運動を勧められる患者様もいます。クリニックとジムが一緒にあると、効率よく通うことができて、検査の数値にも結果として現れるはずです。
クリニックがあることを知らない人が多い
大型商業施設での開業のメリットは多くありますが、意外と知られていないことがあります。
周りに通院を知られたくない診療科などには、返って通いやすいメリットはありますが、クリニックがあることは知ってもらわないと、そういうクリニックを探している人たちにも気づいてもらえません。
大型商業施設自体は、集客ができてもクリニックに集客ができなくては意味がありません。
そのために、考えられたのが「医療フロア」を設けることです。
ワンフロアを医療フロアにすることで、それを一つのウリにすることができます。他のフロアでは、人も多くガヤガヤしていても、医療フロアは静かで落ち着いているので、体調が悪い人でも安心して来院することができます。
まとめ
大型商業施設によって、街の商店街の衰退などが問題となる地域もあります。しかし、買い物から娯楽がそろい、クリニックがあると、そこには一つの「街」として存在することができます。
家族やカップル、子供からシニアまで幅広い世代が来ることを可能にする大型商業施設での開業は、大きなメリットがあると考えます。