医療機関の種類についてまとめてみました。
医療機関の種類
医療機関と一口にいっても、様々な医療機関があります。経営主体別で紹介しますと
1 独立行政法人○○病院(昔の国立病院がこれに当たります)
2 県立病院・市民病院
3 学校法人立病院
4 株式会社立病院
5 宗教法人立病院
6 民間医療法人
7 一人医療法人
8 個人経営診療所
などの法人があります。
1から5(一部6も含む)までは入院施設を持っている大きな病院ですが、7は医師が一人 で税務上の都合で個人が法人経営をされている医療施設です。
医療法人○○会××クリニック という表現をされるケースがそれに当たります。
また、医療法の区別としては、病院は勤務されている常勤医師が三人以上いる、または入院ベッドを二十床以上有する医療施設をいいます。
一床以上十九床以下の病床を届け出している医療施設は、有床診療所と呼び、ベッドを有しない医療施設を無床診療所と区別されます。
病院や有床診療所でも、その受け入れる患者様の病状の違いから救急患者受け入れ指定を受けている医療機関、比較的症状が安定した患者様を受け入れる医療機関、脳卒中などの後遺症がある患者様を治療するリハビリテーションを中心とした医療機関など……様々な区分に分けられます。
医療事務を学習される方は、各医療施設がどんな治療を中心に行っているのかによって 学ぶ中心が違います。
8の個人経営診療所は町のお医者さんをイメージしてみてください。
医療機関とは別の区分になりますが、保険診療による施設として保険調剤薬局があります。医薬分業の進展に伴い、医療事務と共に調剤事務の資格取得をめざす方も増えてきましたので、併せて後段にてご紹介します。
日本には、平成二年には病院(二十床以上の医療施設)が一万千四百軒ほどありましたが、看護師不足、行政指導による長期入院規制、医師の高齢化により病床を抱えられなくなったケース、介護保険制定による寝たきり入院患者は介護施設へ入所するような指導があるなどの環境 変化により、平成二十六年には八千五百軒程度に減少しております。
無床診療所と呼ばれるいわゆるクリニックの数はあまり変化がなく八万五千軒ほどあります。クリニックは個人経営(または一人医療法人)がほとんどですので院長が高齢化されると、ご子息が継承されない限り、閉院となるケースがほとんどです。
新規開業もあるけれど、閉院されるクリニックもあり、その数は十年前とほとんど変わっていません。ちなみに歯医者さんの数は五万件(余談ですがコンビニは六万件)あります。
その他、ここまでは保険証を持っていけば保険の負担割合(社保本人三割負担)で診療が受けられる施設ですが、保険診療が受けられない施設もあります。接骨院や整体院、針治療を行っている施設があります。保健所が管轄する業種になりますが、医療保険が利かないことがあり(一部保険診療適応あり)、医療事務の学習とは別のシステムになります。
また、美容整形やビューティークリニック等を名乗る診療所もありますが、この様 な施設では保険診療をしていることはほとんどありません。ただし、お客様の体に対して注射 器で液を注入するなどの医療行為が実施されるために医師の配置が必須で、開業するには保健 所へ届け出または許可が必要となります。
先に紹介しました1から5の規模が大きい医療施設における医療事務員はほとんどが派遣会 社の職員が従事しています。
某市民病院五百五十床の事務長と話をする機会があり尋ねてみた ところ、医療事務スタッフの人数は百十人いますが市職員(常勤正規雇用者)は十名で、他の百人は派遣会社から派遣していただいています、とのことです。
規模が大きい民間病院におき ましても何件かお尋ねしましたら、その比率の差こそあれ、医療事務員の大半は派遣会社職員です。
出典:医療事務を目指す方へ勉強する前に読んでほしい本