多くの患者さんに来てもらえるクリニックにするためには常に患者さんが過ごしやすく、満足して帰ってもらえるような環境にしておく必要があります。
なぜなら患者さんは病院に対して期待値よりも良い印象を抱けばまた来ようと思うからです。
反対に期待値を下回ってしまうともう来ようとは思ってもらえないでしょう。
このようにクリニックの印象を良くすることはリピーター獲得に繋がります。
では患者さんに満足してもらえるようなクリニックにするにはどうしたら良いのでしょうか。
患者さんが病院に対してどう思っているのかを把握したいのであれば患者満足度調査を行うという方法があります。
患者満足度調査とはいわゆる病院について尋ねるアンケートです。
アンケートなら簡単にできると思われがちですが、効果的に行うためには質問内容にこだわったり、調査方法を工夫したりといったポイントを押さえる必要があります。
そこで今回は患者満足度調査をする意義、調査方法、アンケートの内容などを解説していきます。
クリニックに対して患者さんがどう思っているかを知りたい方、もっと集患したいという方はぜひ参考にしてくださいね。
患者満足度調査とは
お店や企業でよく使われる「顧客満足度」という言葉を耳にしたことが一度はあるのではないでしょうか。
その病院版を「患者満足度」と言い、それを調べることを「患者満足度調査」と言います。
患者満足度調査を行うと患者さんの満足度や不満などクリニックに対する考え方が見えて、クリニックのサービスを改善するためのヒントになります。
リピーターが増える。
患者満足度調査を行うメリット6つ
患者満足度調査をすればクリニックだけでなく患者さんや病院で働くスタッフにもメリットがあります。
詳しいメリットを6つご紹介しましょう。
1.クリニックの改善点が見つかる
クリニックに患者さんが集まらないのは何か理由があるはずです。
院長やスタッフで集患できない原因を挙げて改善をしたつもりでもあまり効果が見られないことは少なくありません。
クリニックの何を改善すべきかを一番知っているのはやはり利用する患者さんです。
患者満足度調査では患者さんに直接意見を聞くことによって本当に改善すべき点を見つけることができます。
2.リピーターが増える
患者満足度調査を実施して見つけた改善点を直せばクリニックに対する満足度が上がります。
すると期待以上のサービスを受けられたと感じる患者さんが増え、またクリニックをリピートしてくれるはずです。
このようにサービスを改善することでリピーターが増え、他の病院に患者さんが流れてしまうのを防ぐことができます。
3.新規患者が増える
患者満足度を上げるとリピート患者だけでなく新規患者も増えます。
クリニックのリピーターはもし病院を探している友人や知人がいればあなたのクリニックを勧めるはずです。
その人達が来院することによって新規の患者が増えます。
新規患者を集めるには広告を出したり、サイトを作ったりと色々な方法がありますが、やはり知っている人からの口コミは信頼性が高く、実際の行動を促しやすいです。
4.信頼されるクリニックになる
患者さんにとって病院は自分の体のことを相談する場所です。
そのため、出来れば信頼できるクリニックに通いたいと思うものです。
納得のいく治療をしてもらえたり、スタッフの対応が良かったりすれば安心して何度も通ってもらえるようになります。
患者満足度を高めることは患者さんの心の拠り所を作ることにも繋がるのです。
5.治るまで受診してもらえる
病気によっては1回の診察だけではなく様子を見るため何度か来院してもらうようにお願いすることがありますよね。
しかし、状態が良くなったのか、そのまま再来院することがない患者さんもいます。
医者に指示されたにも関わらず診察に来なければ病状が悪化してしまうことも考えられます。
そのため、出来る限り指示には従ってもらうのが理想です。
患者満足度が高ければここでしっかり治そうと思い、完治するまで通ってもらえるので、患者さんの健康に繋がります。
6.スタッフのモチベーションアップになる
患者さんからの意見の中には厳しい意見もあるかもしれませんが、
中には
「いつも真剣に話を聞いてもらえて嬉しい」
「スタッフの人が優しくて安心できる」
といったポジティブな意見もあるでしょう。
そうした意見は院長はもちろん、スタッフや看護師のモチベーションを高めてくれます。
患者満足度調査を通して得られた良い意見もぜひ病院全体でシェアしましょう。
調査会社に委託する。
患者満足度調査の方法3つ
では患者満足度調査を行うには具体的にどうしたら良いのでしょうか?
患者満足度調査の方法を3つ挙げて、その特徴をまとめていきましょう。
1.アンケート用紙に記入してもらう
調査といえばやはりアンケート用紙に記入してもらうという方法をイメージする方が多いのではないでしょうか。
病院は普段から初診の方や前回の受診から日が空いている人に紙の問診票を記入してもらっているところが多いので、馴染みがある方法ですよね。
どんな世代の人にも協力をお願いしやすいのがアンケート用紙で調査をするメリットです。
2.タブレットを利用する
患者満足度調査はiPadなどのタブレットを使うことでも行えます。
タブレットを使えば資源の無駄になりませんし、調査結果が自動で集計されるのでスタッフによる集計の手間が省けるというメリットがあります。
ただし、高齢者などIT機器の操作に慣れていない人にとっては回答がしにくく、アンケートをお願いする際に使用方法の説明が必要になることは覚えておきましょう。
3.調査会社に委託する
患者満足度調査は全てクリニック内で済ませるのではなく、外部委託するという方法もあります。
調査会社にお願いすればアンケート用紙の作成や集計など作業を任せることができますし、オンライン上で集計結果を管理することで一目で改善点を確認できます。
また、何度も依頼すれば過去の調査結果との比較もでき、クリニックがきちんと改善点に対してアプローチ出来ているかどうかも確認できます。
もちろん費用はかかりますが、手間が省けてより満足度の高いクリニックにすることに繋がります。
待ち時間、受付対応
患者満足度調査で質問すべきこと7つ
患者満足度調査を意義あるものにするためにはクリニックの改善に役に立つ項目を尋ねることが欠かせません。
そこで患者満足度調査で質問すべきことをまとめていきましょう。
1.回答者の情報
病院を上手く経営していくためにはどんな患者さんが利用しているのかを把握することが欠かせません。
そこで性別、年代、どこから来たかなど回答者に関する情報を尋ねましょう。
ここでの注意点はあまり詳しく聞くと特定されることを恐れてアンケートに協力してもらえないことです。
安心して回答してもらえるように質問を用意しましょう。
2.医師の対応
病院に来る理由はやはり不調を直してもらいたいからです。
それだけに医師の対応は満足度に大きく関わります。
そこで医師の態度や治療内容の説明など、対応に関する質問をしましょう。
なかなか自分では上手く診察できているかが分からないものなので回答結果は診察を見直す上でとても役に立つでしょう。
3.看護師やスタッフの対応
患者満足度調査ではスタッフや看護師の対応についても質問しましょう。
スタッフは受付時に関わり、看護師は治療の一部を担ったりと案外患者さんと接する機会は多いもの。
それだけにもし無愛想だったり、対応が良くなければリピートしてもらえないこともあります。
そこでスタッフの対応について尋ね、結果は病院で働く人全員で共有してクリニック全体の改善に繋げましょう。
4.待ち時間について
患者の満足度を大きく下げる原因としてよく挙げられるのが待ち時間です。
特に受付をした人から順番に診察するようにしている病院では混雑時には受付から診察までに1時間以上待つ場合もあります。
そこで受付してから診察されるまでの待ち時間や診察が終わってから会計をするまでの待ち時間について不満を感じていないかどうか確かめましょう。
5.設備について
病院は自分の体のことを診てもらう場所です。
それだけに清潔感は大切なポイントです。
新しくて綺麗な病院だと快適に過ごせますが、掃除が行き届いておらず汚い病院ならやはり印象は良くありません。
設備については働いている人ではなかなか気づけないこともあるので調査から思わぬ気づきが得られるかもしれません。
6.予約システムの利用について
予約制を導入している病院では予約システムの満足度についても調査しましょう。
患者さんの利便性を高めるために導入しているにも関わらずあまり効果が出ていなければ意味がなくなってしまいます。
そこで予約制で待ち時間を少なくできているか、思うように予約は取れているかといったことについて聞き、より予約制を活用するためのヒントにしましょう。
7.自由記入欄
上記で挙げた内容以外にも患者さんは気になることや病院にどうしても伝えたいことがあるかもしれません。
そこで自由記入欄を設けてより具体的な意見も集められるようにしましょう。
事前に予告をする。
患者満足度調査の有効回答を増やす方法2つ
患者満足度調査を活用するためには回答ミスや無回答をなくすことが必要になります。
そこで患者満足度調査の有効回答を増やす方法を2つご紹介しましょう。
1.事前に院内で予告する
院内のポスターやデジタルサイネージなどで事前に患者満足度調査の実施や調査期間について告知しましょう。
調査があることを事前に知れば患者さんは「もしかしたら自分も回答することになるかもしれない」と心の準備をすることができます。
2.アンケートを渡す際の声がけ
アンケート用紙やタブレットを渡す際にはただ渡すだけでなく
「より患者さんに満足してもらえるクリニックにするためのアンケートです」
「1〜2分で終わるのでぜひご協力ください」
とその意義や簡単に終わることを伝えましょう。
するとただお願いされる場合に比べて協力しようという気持ちを持ってもらえます。
患者満足度調査が終わった後にすべきこと
患者満足度調査は回答してもらったらそれで終わりではありません。
回答結果を確認し、患者さんがクリニックに対してどのような印象を持っているかを知りましょう。
結果を通して改善すべきことが分かったら、改善策を練ってそれを実行し、クリニックの満足度を上げていきましょう。
また、ポジティブな回答があればスタッフや看護師に共有することでそれぞれのモチベーションを高め、さらに良いサービスを提供することに繋がりますよ。
まとめ
患者満足度調査とはクリニックを利用する患者さんが病院に対してどのような印象を持っているかを知れるものです。
クリニックの改善点が見えるのでそれを直すことで集患に繋がりますし、満足度が上がれば患者さんにとっての信頼できる病院になることができます。
アンケートの内容にこだわったり、事前告知や声がけによって有効回答率を上げたりして患者満足度調査を有意義なものにしましょう。