クリニックを経営するときに常に意識しなければいけないのが競合の存在です。
競合とは同じ地域にある診療科が同じ病院のことです。
もし競合への対策が不十分であればお金をかけて始めたクリニックも集患が出来ず、収入が入らず、最悪の場合は閉めなくてはいけなくなることもあり得ます。
競合調査は開業の成功を左右するのです。
開業の失敗を避けるためには病院を建てる前に地域の競合を前もって十分に調査しておく必要があります。
競合が多い地域に開業してしまうと最初から苦戦を強いられるでしょう。
また、開業した後も油断は禁物で、後に競合が同じ地域に開業することもあり得ます。
そうすれば自ずと競合対策が必要になります。
このように競合は開業医にとって常について回る問題なのです。
そこで今回は競合に負けないクリニックにするポイントを開業前と開業後の2つのパターンに分けてご紹介していきます。
クリニックの開業を考えている方、近所に競合ができたという方はぜひ最後まで読んでくださいね。
収入を確保するため。
クリニックを経営するなら競合を意識すべき理由3つ
競合に負けないクリニックにするポイントをまとめる前にまずは競合を意識すべき理由をまとめました。
1.収入を確保するため
競合を意識すべき理由はなんと言っても収入を確保するためです。病院を経営していくためにはお金が必要です。
家賃を払わなくてはいけませんし、スタッフに毎月給料を渡さなくてはいけません。
また、開業時にお金を借りていればそれを返済していかなくてはいけません。
もし競合調査を怠れば集患できず、こうした出費を払えなくなる可能性も出てきます。
そうした事態を防ぐためにも競合に常に意識を向けるべきなのです。
2.地域の病院事情は常に変化するから
開業前に地域の病院事情について十分に調べて適切な場所で開業していたとしても、ずっとその状態が続くわけではありません。
新しく地域に病院がオープンすれば病院事情はガラリと変わります。
あなたが魅力的な場所だと思ったということは他の人にも魅力に思えるのです。
このように一度建てたからといって安心できるわけではありません。
新しくクリニックがオープンしたときにこちらが何も対策しなければただ患者をとられてしまうだけなので、対策を取ることが重要です。
3.患者はクリニックをなかなか変えたくない
病院は自分の体のことを診てもらう場所です。
それだけに何年も同じ病院に通っていれば先生との信頼関係ができてかかりつけ医を変えることはなかなかありません。
そのため競合のクリニックに通っている患者さんに自分のクリニックに来てもらうことはとても難しいです。
そこで強力な競合がいないところに開業し、その後も患者を奪われないようにするための対策が必要なのです。
慎重に立地を決める。
競合に負けないクリニックにするために開業前にできること5つ
競合に負けないクリニックになるかは開業前の準備に大きく関わっています。
そこで開業前にするべき競合対策を5つまとめました。
1.競合が居ない立地に開業する
同じ地域にある競合のクリニックに負けないように対策をすることは必要ですが、そもそも競合が居ない場所で開業するというのも1つの競合対策になります。
例えば、内科を利用する人が地域に1日100人居て内科の病院が複数あれば100人の患者の取り合いになりますが、競合が居なければその患者は全て自院に来てくれます。
ただし、競合がないからと言って患者がほとんどいないような地域で開業すれば全く意味はありません。
そこで患者が居て、且つ競合も出来るだけ少ないような場所を探しましょう。
立地選びは開業において特に重要なポイントなので力を入れましょう。
2.競合の診療科目を調べる
競合のない地域に開業しようとしても、地元で開業する場合や人が多い都心部にしたい場合など、どうしても競合がいる場合がありますよね。
もし、競合を避けられない場合はその地域にある病院の診療科目を調べてみましょう。
例えば、同じ内科でも呼吸器科や循環器科など細かい科目は違う場合があります。
前面に出している科目が違えば同じ地域に開業しても患者の取り合いになりにくいので集患に悩まされにくくなります。
3.競合の特徴を調べる
競合は診療科目だけでなく特徴も知っておきましょう。
例えば先生が若くて新鮮さがある、アットホームな雰囲気があるなど、様々な特徴があると思います。
それと同じ特徴のクリニックを開業してしまうと当然実績がある競合の方が選ばれやすくなるでしょう。
しかし、反対に競合とは違う特徴のクリニックにすれば競合とは合わない患者に来院してもらえます。
4.競合に実際に足を運ぶ
競合に関する情報は実際にクリニックに足を運んで初めて得られることもあります。
ぜひ一度ライバルになる病院に行ってみましょう。
院内の雰囲気や看板に書かれていることなど様々な情報を得られるでしょう。
その後は既に知っていた情報と合わせて自院をどのようなクリニックにするのか考えてみましょう。
5.強みをアピールする
競合があっても選ばれるクリニックになるためには強みをアピールすることが大切です。
例えば内科でも内視鏡検査を行っていることを前面に押し出したり、小さな子供の診療も受け付けることをアピールしたりすればそれを求める人が集まってきます。
もちろん、何をアピールすれば効果的かは周りにどんな病院があるかによって変わるので競合について調べたことをもとに自院がアピールする強みを決めましょう。
必要に応じて対策を練る。
競合に負けないクリニックにするために開業後にできること5つ
競合対策をして開業しても後から新しく病院がオープンし、患者の取り合いが発生することもあり得ます。
そこで続いて開業後にできる競合対策についてまとめていきましょう。
1.地域の情報を常に集めておく
もし新しく競合のクリニックがオープンすることになったら早めに対策を始めるべきです。
なぜなら早くに行動すればその分流れる患者さんを減らすことができるからです。
早く対策をし始めるためにはいち早く新しいクリニックができることを把握しなければいけません。
そのためには常に地域の情報に敏感になっておく必要があります。
2.ホームページを確認する
新しいクリニックの情報を簡単に収集できる方法はホームページを見ることです。
ホームページには診療科目や何をアピールしているかといった競合分析に役に立つ情報がたくさん載っているので見れば競合対策の参考になります。
ただし、全てのクリニックがホームページを持つわけではないのでもしサイトがなければ自分の足で競合のクリニックに行って特徴を確認しましょう。
3.口コミを集める
競合対策をするとき、そのクリニックの利用者の口コミもまた貴重な情報になります。
そこで競合の口コミを集めましょう。
患者が来たときにさりげなく聞いてみたり、院内のアンケートで地域の病院について質問したり、ネット上で口コミを探したりと方法はたくさんあります。
実際に利用している人のリアルな声によって競合のより詳しい特徴や、地域の人が病院に対して求めていることも分かり、集患対策に繋がります。
4.必要に応じてアピール方法を変える
新しい競合の特徴が分かったら必要に応じて自院のアピール方法を変えていきましょう。
例えばもし競合が自分のクリニックと全く同じ診療科目だった場合は具体的にどんな治療を行なっているのか、
その中でも特にターゲットはどこなのかといったより細かい部分を明確にしてアピールすれば差別化を図ることができ、もっと患者が増えるきっかけになるかもしれません。
方針が変わったときは院内のポスターやホームページに書かれている内容も忘れずに変えましょう。
5.認知度を上げる活動をする
新しくオープンした病院は最初はなかなか患者が集まりません。
なぜかというとまだ十分な知名度がないからです。
対して先にオープンしていたあなたの病院はかなり地域に認知されているはずです。
そこで改めて地域における認知を確固たるものにするために講演を開いたり、地域が発行する冊子に寄稿したりと認知をより広げる活動をしましょう。
まとめ
開業医にとって競合は大きな脅威です。
十分に競合対策をしていなければ収入が入ってこなくなり、最悪の場合病院の経営ができなくなってしまうこともあり得ます。
まず大前提として強力なライバルがいない地域に開業することが大切です。
もしも、開業後に競合となる新しいクリニックがオープンすることになったらその特徴をしっかり把握し、適切な対策をしましょう。
競合はクリニックにとって決して良いものではありませんが、対応次第では自院をもっと良いものにするチャンスにもなり得ます。